所得計算の特例

所得金額の計算

  1. 交換の特例
  2. 低額譲渡
  3. 譲渡代金の回収不能
  4. 保証債務の履行
    1. 保証債務の存否
    2. 保証債務の履行のための譲渡
    3. 求償権の行使不能
    4. 対象資産の範囲
    5. 所得金額の計算(3件)
    6. 申告手続
  5. 事業廃止の場合の必要経費

保証債務の求償権を行使できない額の計算は譲渡代金のあん分によるべきであるとした事例

裁決事例集 No.4 - 1頁

 本件保証債務を履行するために譲渡した資産は居住用及び非居住用の二つの使用区分からなっているとしても、同一人に対し同一時期に同一契約により一括して譲渡しており、本件資産の譲渡に係る求償権が行使できない保証債務の履行額及び譲渡費用の額は共通的なものとして支出しているので、これらの金額を、本件資産の居住用及び非居住用の用途別の譲渡代金の比によりあん分するのが相当と認められる。

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借入金で保証債務を履行した場合における借入金の利子は履行に伴う求償権の額には含まれないとした事例

裁決事例集 No.19 - 46頁

 所得税法第64条第2項に規定する「保証債務の履行」とは、その実質において、債務者の債務等を保証人が肩代わりして弁済することをいうものであるところ、債務者の債務等とは、主たる債務及び主たる債務に従属する利息、違約金等保証債務の履行として債権者に対して弁済しなければならないものをいい、保証人が保証債務を履行するための借入金の利息、抵当権設定費用等債権者以外の者に対して支払ったものは含まれない。したがって、同項に規定する「その履行に伴う求償権」とは、保証債務の履行により同時に生ずる求償権をいうものであって、その求償権の額は保証債務の履行の額と同額であるはずであるというべきところ、民法上、債務の履行のための関連費用についての求償権があるとしても、これらの関連費用の額に相当する金額は同項に規定する「その履行に伴う求償権の額」に含まれると解することはできない。

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保証債務の履行に関連して支出した訴訟費用等は保証債務の履行に伴う求償権の範囲に含まれないとした事例

裁決事例集 No.23 - 92頁

 所得税法第64条第2項に規定する「保証債務の履行」とは、その実質において主たる債務及び主たる債務に従属する利息、違約金、損害金等を保証人が肩代わりして弁済することと解すべきであって、保証債務の履行に関連して支出した訴訟費用、弁護士費用及び不動産鑑定料については、民法上求償権の行使ができるとしてもそのことをもって同条項にいう求償権と同一に解されなければならないというものではなく、それらに係る求償権を同条項にいう「その履行に伴う求償権」の額に含めることはできない。

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