ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例要旨 >> 租税特別措置法関係 >> 原価の額
原価の額
- 特定設備等の特別償却
- 中小企業者の機械等の特別償却
- 新築貸家住宅等の割増償却
- 交際費等の課税の特例
- 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例
- 土地の譲渡等がある場合の特別税率
- 収用等の場合の課税の特例
- 特定資産の買換えの場合等の課税の特例
- 準備金
- 税額控除
- 新規取得土地等に係る負債の利子の課税の特例
- 移転価格税制
- タックスヘイブン対策税制
委託販売による仲介料は課税土地譲渡利益金額の計算上土地の譲渡等に係る収益の額から控除する譲渡原価には含まれないとした事例
裁決事例集 No.22 - 254頁
課税土地譲渡利益金額の計算上、土地の譲渡等に係る収益の額から控除する譲渡原価は、租税特別措置法施行令(昭和57年政令第72号による改正前のもの)第38条の4第5項第1号イの規定により「当該譲渡に係る土地等の譲渡直前の帳簿価額(当該帳簿価額のうちに各事業年度において支出した利子の額が算入されている場合には、その額を控除した金額)」と定められており、譲渡した土地が棚卸資産である場合には、法人税法施行令第32条“たな卸資産の取得価額”の規定により取得価額とすべき金額を基礎として適法に算定された税務計算上の帳簿価額をいうものと解され、この帳簿価額に販売費が含まれないことは明らかであるところ、本件仲介料はいずれも土地の譲渡に際し、販売委託による仲介料として支出した費用であることは請求人も自認しているところであるから、本件仲介料を譲渡した土地の収益に対応する譲渡原価に含まれないした原処分は相当である。
昭和56年8月13日裁決
確定した決算において原価外処理している未確定の公租公課を課税土地譲渡利益金額の計算上原価の額に算入することはできないとした事例
裁決事例集 No.25 - 125頁
法人税法は、不動産取得税及び固定資産税のような公租公課を棚卸資産である土地の取得価額に算入するかどうかは法人の選択にゆだねているものと解されるところ、従来の請求人の確定した決算における経理処理は、これらの公租公課を、その確定し又は支出した日の属する事業年度の公租公課勘定(販売費及び一般管理費)で処理するいわゆる原価外処理の方法を採用しているから、課税土地譲渡利益金額の計算上未確定の不動産取得税及び固定資産税を原価の額に算入することはできない。
昭和57年11月30日裁決
課税土地譲渡利益金額の計算に関し、請求人が提出した物件調査等手数料及び外注工事費に関する関係書類は証拠として認められず、また、これらの支出先であるとする3社の経理事務は、いずれも請求人の本社事務所において請求人の経理課長の責任管理の下で行われている等から、物件調査等手数料及び外注工事費は、そのいずれも支払っていなかったと認めるのが相当であるから、土地等の譲渡原価としては認められないとした事例
請求人は、課税土地譲渡利益金額の計算上、物件調査等手数料(「本件手数料」)及び外注工事費(「本件外注費」)を譲渡原価として認めるべきである旨主張するが、本件手数料及び本件外注費に関して異議調査時に提出された仕訳日記帳は、本件手数料及び本件外注費の発生のみを記帳したものであり、証拠としては認められない。さらに、本件手数料及び本件外注費の支払先であるとするA株式会社、B株式会社及び株式会社Cの経理事務は、請求人の本社事務所において、請求人の経理課長の責任管理の下で行われており、その会社印等も請求人の管理の下に保管されていることが認められる。
また、[1]本件手数料については、請求人が原処分庁に対して提出した売買契約書に記載されている仲介業者名は、請求人自ら記入したことを自認していることから、当該売買契約書は仲介業者の関与を裏付ける証拠とはならず、また、本件手数料に係る領収書は、請求人が審査請求後に初めて提出したものであること等から、支払を裏付ける証拠とはいえない。[2]本件外注費については、審査請求に至って提出された見積書及び工事図面に記載の有限会社Iは、昭和50年以降無申告で、所在地には存在した形跡が認められないこと及び土地の前所有者の申述等から、造成工事が行われたと認めるのは、あまりにも不合理である。
以上を総合して判断すると、本件手数料及び本件外注費は、いずれも支払っていなかったと認めるのが相当であるから、譲渡原価としては認められない。
平成6年12月12日裁決