ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例要旨 >> 法人税法関係 >> 支払利息
所得金額の計算
支払利息
- 収益の帰属事業年度
- 益金の額の範囲及び計算
- 損失の帰属事業年度
- 損金の額の範囲及び計算
- 圧縮記帳
- 引当金
- 繰越欠損金
- 借地権の設定等に伴う所得の計算
- 特殊な損益の計算
- 適格合併
経営不振のため、支払債務の発生事業年度に損金に算入しなかった借入金の利息を経営好転後に支払っても、その支払の日の属する事業年度の損金には算入されないとした事例
裁決事例集 No.32 - 204頁
請求人は、本件支払利息に係る元本は、請求人が経営不振の時に親会社から受けた借入金であり借入当時には利息を支払える状況になく、本件利息の支払は免除されるものと考えて発生各事業年度の損金の額に算入しなかったものであるが、その後、経営状況が好転したので、親会社と具体的支払期日を定める覚書を取り交わし、それに基づいて本件事業年度に支払ったものであるから本件各事業年度の損金の額に算入されるべきであると主張するが、本件支払利息は、金銭消費貸借契約に基づく借入金の利息であるから、その元本の利用期間に応じて発生し、同時に債務として確定したものと認められるので、その債務の確定した各事業年度の損金とすべきであり、支払った日の属する事業年度の損金に算入することはできない。
昭和61年12月24日裁決
本店ビルの新築工事に際し、その共同事業者に支払った竣工時までの建中金利相当額は本店ビルの取得価額に算入すべきものとされた事例
- 請求人は、本店ビルの新築工事に際し、財団法人H機構(以下「H機構」という。)が共同事業者として参加したのは、H機構の成立経緯等から共同事業という法律的形式をとらざるを得なかっためであり、H機構が負担した共同事業に係る分担金の経済的実質は資金融資であるから、本店ビルの建築中にH機構に対して支払った建中金利相当額は、支払利息である旨主張する。法律的形式と経済的実質とが異なるような場合には、単に当事者によって選択された法律的形式だけでなく、その経済的実質をも検討すべきことは当然であるが、当事者によって選択された法律的形式が経済的実質からみて通常採られるべき法律的形式と明らかに一致しないものであるなどの特段の事情がない限り、当事者によって選択された法律的形式は、原則として経済的実質をも表現しているものと解される。
そこで、H機構との取引についてみると、法律的形式は、H機構が本店ビルの建築費の一部を負担して共同事業者として参加し、本店ビルの竣工後に共有持分を請求人に譲渡したものであるが、この法律的形式が経済的実質からみて通常採られるべき法律的形式と明らかに一致しないものとは認められない。そうすると、請求人には特段の事情は認められず、H機構との共同事業の法律的形式は経済的実質をも表現していると認められる。 - 請求人は、本店ビルの新築工事に際し、その共同事業者であるH機構が負担した共同事業に係る分担金の実質は資金融資であるから、本店ビルの建築中にH機構に対して支払った建中金利相当額は、支払利息である旨主張するが、H機構との共同事業協定書、建物延払条件付譲渡契約書等の各契約内容及びH機構の答述等を勘案するとH機構は本店ビルの建築費の一部を負担して共同事業者として事業に参加し、本店ビルの竣工後にH機構の本店ビルの共有持分を請求人に譲渡したものと認められること及び共同事業協定書等には、建中金利相当額はH機構の本店ビルの共有持分の譲渡代金の前払金であることが明記されていることから、共同事業に係る分担金は本店ビルの建築費であり、建中金利相当額は本店ビルの取得代金であると認めるのが相当である。
平成12年4月26日裁決