課税範囲

住宅の貸付け

  1. 課税取引
  2. 非課税取引
    1. 土地等の譲渡及び貸付け
    2. 物品切手等の譲渡
    3. 国等の手数料等
    4. 医療の給付、社会福祉事業等、助産に係る給付
    5. 授業料、入学金等
    6. 住宅の貸付け(2件)
  3. 免税取引

介護付有料老人ホームにおける住宅の貸付けの範囲の判定に当たっては、賃借人が日常生活を送るために必要な場所と認められる部分はすべて住宅に含まれると解されるから、これらの部分の貸付けは非課税となる住宅の貸付けに該当するとした事例

裁決事例集 No.79

 請求人は、関係法人に有料老人ホーム施設として賃貸した建物のうち、介護職員が使用する事務室、スタッフステーション、宿直室、厨房等は、いずれも当該施設の入居者が使用するものではなく、住宅の貸付けに該当しないから非課税とならない旨主張する。しかしながら、消費税法上、非課税となる住宅の貸付けの範囲の判定に当たっては、住宅に係る賃借人が日常生活を送るために必要な場所と認められる部分はすべて住宅に含まれると解するのが相当であるところ、介護付有料老人ホームは、単なる寝食の場ではなく、入居した老人が介護等のサービスを受けながら日常生活を営む場であるから、介護付有料老人ホーム用の当該建物の内部に設置された事務室、スタッフステーション、宿直室、厨房等の介護サービスを提供するための施設は、入居者が日常生活を送る上で必要な部分と認められることから、これらの部分の貸付けは非課税となる住宅の貸付けに該当する。

《参照条文等》
消費税法第6条、別表第一第13号

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請求人が所有する物件の賃貸借に係る契約において、賃借人が当該物件を住宅として転貸することが契約書その他において明らかであるとした事例(平成26年1月1日から平成26年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却・平成28年9月7日裁決)

平成28年9月7日裁決

《ポイント》
 本事例は、消費税法上、非課税とされる住宅の貸付け(消費税法別表第一第13号)には、住宅が転貸借及び再転貸借される場合も含まれると判断したものである。

《要旨》
 請求人は、消費税法基本通達6-13-7《転貸する場合の取扱い》(本件通達)が想定するのは転貸借取引のみであるところ、請求人が不動産販売会社(本件会社)から取得した物件(本物件)を本件会社に賃貸する取引(本件賃貸借取引)は、その契約(本件賃貸借契約)の内容からすれば、本物件が再転貸借されること及び本物件に実際に居住することができない法人が再転貸人になることが想定されているから、本件通達適用の前提を欠いており、また、仮に本件通達適用の余地があるとしても、本件賃貸借契約等において、本件会社が本物件を実際に人の居住の用に供することが明らかでないなどとして、本件賃貸借取引は、非課税取引である「住宅の貸付け」には該当しない旨主張する。
 しかしながら、「住宅の貸付け」が非課税とされる趣旨は、住宅の貸付けを行う事業者が賃借人に対し、消費税相当額を転嫁しないことにより、住宅賃借人を政策的に保護することにあるものと解され、消費税法第6条《非課税》に規定する別表第一第13号に掲げる「住宅の貸付け」は、「当該貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされているものに限る」と規定されていることからすれば、本件通達の適用範囲を限定しようとする請求人の主張に合理性は認められず、また、本物件に係る本件会社との売買契約書及び賃貸借契約書の記載内容、本件賃貸借契約締結時の請求人に対する本件会社の社員の説明などからすれば、本件賃貸借契約における賃借人である本件会社が本物件を住宅(人の居住の用に供する家屋等)として転貸することが契約書その他において明らかであるから、本件賃貸借取引は「住宅の貸付け」に該当し、その全額が非課税取引となる。

《参照条文等》
 消費税法第6条、別表第一第13号
 消費税法基本通達6-13-7

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