推計課税

推計課税

  1. 推計課税(13件)

必要経費を実額により計算することが可能な場合において、その必要経費を経費率によって推計計算することは許されないとした事例

裁決事例集 No.32 - 77頁

 請求人は、必要経費の計算について、青色申告書以外の申告書の提出者(いわゆる白色申告者)との権衡上、実額計算が可能である場合であっても、白色申告者に適用される経費率による推計計算が有利であると認めるときは、その選択により、推計計算が許されるべきであると主張するが、所得税法では、実額計算が原則であり、推計計算は実額計算ができない場合にやむを得ず許される補完的な計算方法であるから、実額計算が可能である場合には、推計計算は許されない。
 したがって、請求人は、青色申告者であり、事業所得に関する所定の帳簿書類を備え、継続記録を有しており、事業所得の金額計算について実額計算が可能であるから、請求人の主張は採用できない。

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原処分庁は、各店舗の水道光熱費を基礎として同業者比率法により各店舗ごとの所得金額を算定しているが、各店舗の水道光熱費の合計金額を基礎とする推計方法がより合理的であるとした事例

平成23年6月24日裁決

《ポイント》
 請求人が原処分庁と異なる推計方法を主張した場合には、裁決において、いずれがより合理的な推計方法であるかを判断し、他に、より合理的な推計方法があればそれを採用することとしているところ、この事例は、請求人が主張する推計方法により所得金額が算定できるか否か、また、どのような推計方法(何を推計の基礎とするか)がより合理的であるかを判断したものである。

《要旨》
 請求人は、所得金額の推計方法は資産負債増減法によるべき旨主張し、一方、原処分庁は、請求人と同業種であると認められる個人事業者のうち、水道光熱費の金額が請求人の各店舗ごとに0.5倍以上、2倍以下である青色申告者を類似同業者として抽出し、当該類似同業者の水道光熱費の総収入金額に占める割合の平均値(平均水道光熱費率)を求め、請求人のそれぞれの店舗ごとの水道光熱費の金額を平均水道光熱費率で除して店舗ごとの総収入金額を算出し、さらに類似同業者の所得率の平均値(平均所得率)を乗じて算出する方法によるべきである旨主張する。
 しかしながら、請求人から提出された貸借対照表は請求人の資産をすべて網羅したものであるとは認められないから、当該貸借対照表に基づいた資産負債増減法による推計の方法を採用することはできない。
 また、原処分庁は、店舗ごとに水道光熱費を推計の基礎として所得金額を算出して合計する方法を採っているが、請求人は、近接する地域内の各店舗において「スナック」という同一の業種を営んでいるから、請求人が営む事業全体を事業規模の判断要素とし、それとの近似性という観点から、各店舗の水道光熱費の合計金額を基礎として、これにより「スナック」を営む同業者の中から類似同業者を選定し、当該類似同業者の平均水道光熱費率及び平均所得率を適用して、請求人の総収入金額及び事業所得の金額を算定する方法がより合理的である。

《参照条文等》
 所得税法第156条

《参考判決・裁決》
 東京地裁昭和61年5月26日判決(税資152号192頁)

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原処分庁が用いた同業者比率法による推計において、同業者の選定漏れがあったとした事例

平成23年6月9日裁決

《ポイント》
 裁決においては、請求人が特に推計方法に合理性がない旨を主張していない場合であっても、必ずその合理性につき判断することとしているところ、この事例は、争点とはなっていなかったが、同業者比率法による推計の合理性について審理し、原処分庁の選定した類似同業者以外にも、請求人の事業所得の金額を推計する際に選定されるべき類似同業者の存在を認めたものである。

《要旨》
 原処分庁は、請求人の本件各年分の事業所得の金額を、総収入金額に類似同業者の平均特前所得率(類似同業者の青色申告特典控除前の事業所得の金額を総収入金額で除した数値の平均値)を乗じて推計の方法により算定しているところ、およそ業種、業態に類似性のある同業者にあっては、特段の事情がない限り、同程度の収入に対して同程度の所得を得るのが通例であり、このことは請求人の営む事業の場合にあっても例外ではなく、かつ、請求人に特段の事情があるとは認められないから、原処分庁の用いた推計方法には合理性があると認められる。
 ところで、原処分庁は、国税局管内に事業所を有し、請求人と同業種の者で、かつ、その年分の総収入金額が請求人のそれの0.5倍以上2倍以下であるなど事業規模の類似する事業を営む青色申告者を類似同業者として、本件各年分について各5件を選定しているところ、原処分庁の類似同業者の選定方法についてその適否を審理した結果、類似同業者の選定漏れが平成18年分については1件、平成19年分及び平成20年分については各6件認められることから、本件各年分の平均特前所得率を再計算すると、いずれも原処分庁の主張する率を下回ることとなる。

《参照条文等》
 所得税法第156条

《参考判決・裁決》
 東京地裁昭和61年5月26日判決(税資152号192頁)

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請求人の売上金額を割箸の仕入本数から推計により算定することは必ずしも合理的であるとはいい難いとした事例

平成23年6月17日裁決

《ポイント》
 この事例は、割箸の仕入本数を推計の基礎項目とする原処分庁主張の推計方法が必ずしも合理的とはいい難いとして、水道光熱費の金額を推計の基礎項目とし、事業所得の収入金額及び課税資産の譲渡等の対価の額を推計したものである。

《要旨》
 原処分庁は、焼肉店を営む請求人の事業所得の収入金額を推計する方法として、割箸の年間仕入本数から客数への反映のない本数を5%として控除した本数を推定客数とし、客1人当たりの平均単価を乗じて算定する方法が合理的である旨主張する。
 確かに、来客数が増加すれば、割箸の消費量も増加し、それに伴い収入金額も増加することから、店舗で費消された割箸と当該店舗の収入金額には、一定の相関関係があるといえる。このことから、推計課税において割箸を効率項目として用いる計算方法は、一応の合理性が認められる。
 しかしながら、原処分庁が採用したロス率(5%)それ自体について合理的な算定根拠を確認することができないのみならず、割箸の仕入れの態様等にもかんがみると、ある年における割箸の実際の費消本数とその年の割箸の年間仕入本数(1,000本単位での仕入れがされている。)との間の相関関係は概括的、近似的にしか把握し得ないのが通常であると考えられるから、割箸の年間仕入本数のうちその年の客数に反映しない本数を当該年間仕入本数に基づいて割合的に把握する推計方法自体が必ずしも合理的とはいい難い。
 飲食店営業の場合、類似同業者にあっては、特段の事情がない限り、同程度の水道光熱費の割合に対し、同程度の収入を得、同程度の収入に対し、同程度の所得を得るのが通例であり、請求人の営む事業についても上記特段の事情はうかがわれないことからすれば、請求人の事業所得の金額を算定するに当たっては、請求人の水道光熱費の金額を類似同業者の収入金額に対する水道光熱費の金額の占める割合の平均値で除すことにより、収入金額を算定し、同業者所得率を乗じる方法が、他により合理的な推計の方法が見当たらない本件においては合理的であるということができる。

《参照条文等》
 所得税法第156条

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請求人の事業所得の金額を推計により算定する際に用いた同業者率の算定が合理的でないとした事例

平成23年6月23日裁決

《ポイント》
 この事例は、同業者比率法による推計課税において、損失の金額が生じている同業者の所得率につき、原処分庁がこれをゼロとして計算したことには合理性がなく、当該同業者については損失率をそのまま用いて計算することが合理的であるとしたものである。

《要旨》
 原処分庁は、まる1営業を開始した平成17年分ないし平成20年分のいずれの年分についても、本件店舗事業に係る売上原価の額を、同業者13件の収入金額に対する売上原価の額の割合の平均値で除して収入金額を算定し、まる2当該収入金額に同業者13件の収入金額に対する青色申告特別控除前の所得金額の割合(同業者所得率)の平均値を乗じて本件店舗事業に係る所得金額を算定する方法が合理的である旨主張する。
 しかしながら、原処分庁が同業者所得率の算定に当たり採用した同業者のうちの一部の者について、所得金額がマイナス(すなわち、損失の金額が生じている。)であるにもかかわらず、推計の過程においてこれをゼロとしているところ、特にこれらの同業者の所得金額がマイナスとなっていることが、特殊な事情に基づくものであると認めるに足りる証拠はないことから、推計の過程においてはこれらのマイナスの所得金額はそのまま適用するのが合理的である。

《参照条文等》
 所得税法第156条

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原処分庁が用いた資産負債増減法による推計において、推計の基礎とされた資産及び負債の認定に誤りがあるとした事例

平成23年7月8日裁決

《ポイント》
 資産負債増減法による推計において、その納税者と生計を一にする者がある場合には、両者の資産、負債及び処分(消費)した所得を区分せずに推計の基礎として、その納税者の所得の金額を算出する方法を採ることが合理的である。
 この事例は、請求人と生計を一にする親族名義の預金口座であっても、生計を一にしない者に貸していたと認められるものについては、推計の基礎から除外するのが相当としたものである。

《要旨》
 原処分庁は、資産負債増減法を用いた推計においては、請求人と世帯を一にする者がある場合、その世帯員の資産及び負債も推計の基礎に含めて純資産の増減額を算出し、その後に、世帯員の所得金額などの請求人の所得を源泉としない純資産の増加要因について、減算することになる旨主張する。
 しかしながら、請求人と生計を一にする者名義の預貯金のうち、V銀行j支店及びW銀行j支店の子の妻名義の普通預金口座はいずれも同人の兄であるSに貸していたものであり、また、Sは請求人と生計を一にする者ではないと認められることから、これらの口座は推計の基礎から除外し、これらの口座を除く各口座に係る預貯金の全てを推計の基礎とするべきである。よって、これと一致する限度において、原処分に誤りはないが、これに反する部分は、誤りである。

《参照条文等》
 所得税法第156条

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原処分庁が用いた効率法による推計方法には合理性が認められるとした事例

平成24年6月29日裁決

《要旨》
 請求人は、本件J店に係る客単価を16,000円と認定してされた原処分の推計課税は事実誤認に基づく違法なものである旨主張する。
 しかしながら、基本的な料金設定について本件J店より低額であった本件L店における平均客単価が16,116円であることなどからすれば、本件J店の客単価は少なくとも基本料金のうちの最低料金相当額である16,000円を上回ることが容易に推認されるのであり、そうであるとすれば、本件J店の客単価を16,000円であるとしてされた原処分の推計方法は合理性を有すると認められる。

《参照条文等》
 所得税法第156条

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常に外注工賃が存在する業態については、進行年分の外注工賃を考慮した所得率を用いるのが最も合理的な推計方法であるとした事例

平成25年4月22日裁決

《ポイント》
 本事例は、請求人の事業所得の金額を推計により算定する場合において、原処分庁が採用した収入金額に進行年分の算出所得率(総収入金額に占める一般経費差引後の所得金額の割合)を乗じて計算した金額から提示された一部の領収証に基づく外注工賃のみを差し引いて算定するという推計方法は合理性がなく、常に外注工賃が存在すると認められる業態については、進行年分の外注工賃を考慮した所得率を用いるのが最も合理的な推計方法であるとしたものである。

《要旨》
 原処分庁は、請求人が請け負っているソフトウェア等の開発業務(本件業務)について、本件各年分の収入金額に、進行年分の算出所得率(総収入金額に占める一般経費差引後の所得金額の割合)を乗じて計算した金額から、提示された一部の領収証に基づく外注工賃のみを差し引いて事業所得の金額を推計の方法で算定しているところ、本件各年分と進行年分における本件業務の内容には同一性があるとしつつ、請求人が、本件各年分の本件業務について、収支状況を明らかにする記帳をしておらず、提示した領収証以外の外注先及び支払金額等を明らかにしない以上、原処分庁の採用した推計方法は合理性がある旨主張する。
 しかしながら、まる1本件各年分及び進行年分における本件業務の内容には同一性が認められること、まる2本件業務は、その内容、金額及び業務の期間等からみれば、到底請求人個人のみで行うことのできない規模であると認められること、まる3請求人は、本件業務を受注し預金口座に請負代金の振込みがあった都度、その振込金額の9割を超える金額を引き出しているところ、このうち進行年分については、当該引き出した金額が外注工賃の支払に充てられたことが、原処分庁の調査によって裏付けられていること、まる4請求人が本件業務の取引内容等について答述した内容は基本的に信用でき、これによれば、本件業務は、受注後、全てを外注し、外注先に完成品と引換えに外注工賃を支払う取引形態であったと認められることなどを総合すると、本件各年分においても、進行年分と同様に、外注工賃を支払っていたと推認することができる。そうすると、本件業務について、常に外注工賃が存在するという業態についても、本件各年分と進行年分とに同一性があると認められるから、本件各年分の本件業務に係る事業所得の金額の算定に当たっては、進行年分の外注工賃を考慮した所得率(総収入金額に占める一般経費及び外注工賃等差引後の所得金額の割合)を用いるのが、請求人の真実の所得の近似値を算定するに最も合理的な推計方法であるというべきである。

《参照条文等》
 所得税法第156条

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資産負債増減法により事業所得の金額を算定したことには合理性があるとした事例(まる1平成17年分及び平成18年分の所得税の各決定処分及び重加算税の各賦課決定処分並びに平成19年分から平成23年分の所得税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分、まる2平20.1.1から平22.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分・まる1一部取消し、まる2棄却・平成26年2月27日裁決)

平成26年2月27日裁決

《要旨》
 請求人は、原処分庁が請求人の事業所得の金額を算定するに当たって採用した資産負債増減法は、推計の基礎事実が正確に把握されていないことなどから、その推計方法には合理性がない旨主張する。
 しかしながら、原処分庁が認定した資産負債増減法における純資産の増加額、加算調整項目及び減算調整項目については、一部の加算調整項目及び減算調整項目の内容に誤りが認められるものの、これらはいずれも是正可能なものであって、その他の内容及び金額はいずれも相当と認められ、一部の誤りを是正した後の純資産の増加額、加算調整項目及び減算調整項目により算出された所得金額は、正確性が担保された計算要素に基づき算出された所得金額ということができるから、原処分庁が採用した推計方法には合理性がある。

《参照条文等》
 所得税法第156条

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請求人の事業所得の金額等を類似同業者の平均売上原価率を用いて推計する方法には合理性があるとした事例(まる1平成21年分以後の所得税の青色申告の承認の取消処分、まる2平成21年分から平成23年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、まる3平21.1.1から平21.12.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、まる4平22.1.1から平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・まる1まる2まる4棄却、まる3一部取消し・平成26年6月18日裁決)

平成26年6月18日裁決

《ポイント》
 本事例は、原処分庁が請求人の事業所得の金額等を類似同業者の平均売上原価率等を用いて推計するに当たり、類似同業者を請求人の売上原価の0.5倍以上2倍以下であるなど、機械的に抽出しており、その抽出方法には合理性があると認められるものの、原処分庁が選定した類似同業者のうちに、立地条件等からみて必ずしも請求人と業態が類似するとは認められない者が含まれていることから、この者を類似同業者から除外して、原処分庁が採用した推計の方法により請求人の事業所得の金額等を算定することが相当であるとしたものである。

《要旨》
 原処分庁は、請求人と事業内容・規模等が類似すると認められる青色申告者(平成21年分7件、平成22年分4件、平成23年分5件)の平均的な売上原価率(総収入金額に対する売上原価の割合)に基づいて、請求人の事業所得の金額及び消費税の課税標準額を推計の方法により算定しており、原処分庁の推計の方法には合理性がある旨主張する。
 原処分庁は、請求人が営む店舗の所在地を管轄する税務署管内に事業所を有し、同税務署長に対し青色申告書を提出する者で、請求人と業種、業態及び事業内容が類似し、かつ、売上原価が請求人の売上原価の0.5倍以上2倍以下であるなど事業規模が類似する者を、類似同業者として機械的に抽出しており、このような抽出の方法については合理性があると認められるものの、原処分庁が選定した類似同業者のうち平成21年分の1件については、立地条件等からみて必ずしも請求人と業態が類似するとは認められないから、この者を類似同業者から除外することが相当である。

《参照条文等》
 所得税法第156条

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請求人の事業所得の金額等を類似同業者の平均水道光熱費率を用いて推計する方法に合理性があるとした事例(まる1平成21年分以後の所得税の青色申告の承認の取消処分、まる2平成22年分及び平成23年分の所得税の各更正処分並びに平19.1.1から平20.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分及び無申告加算税の各賦課決定処分・まる1棄却、まる2全部取消し・平成26年7月4日裁決)

平成26年7月4日

《ポイント》
 本事例は、請求人の事業所得の金額等を類似同業者の平均水道光熱費率を用いて推計する方法について、合理性があると認められるものの、推計の基礎とする水道光熱費の額の計算に当たり、原処分庁の認定誤りがあったため、これを是正し、類似同業者を選定し直した上で、改めて平均水道光熱費及び平均所得率を算出し、原処分庁が採用した推計の方法により請求人の事業所得の金額等を算定することが相当であるとしたものである。

《要旨》
 請求人は、原処分庁が採用した類似同業者の水道光熱費率に基づく推計の方法について、類似同業者間の水道光熱費率に較差があること、また、請求人が経営する民宿(本件民宿)が所在する地区の水道料金は他の地区に比べ割高であるなどの特殊事情があるにもかかわらず、これが考慮されていないことから、原処分庁の推計の方法には合理性がない旨主張する。
 しかしながら、類似同業者の水道光熱費率の平均値により推計する場合、その平均値を算出することによって類似同業者間の水道光熱費率に開差があったとしても、各類似同業者の個別性が平均化され、推計の合理性が高められるのであるから、多少の較差があるからといって、原処分庁の推計方法に合理性がないというのは相当ではなく、本件において、これを不合理ならしめる程度の較差は見当たらない。また、仮に水道料金が他の地区に比べ割高であったとしても、基礎数値である水道光熱費の額に占める水道料金の額の割合は、せいぜい10%程度にすぎないことからすれば、水道光熱費の額を基礎とする推計方法を不合理ならしめる程度に顕著な事情とはいえない。したがって、原処分庁が採用した推計の方法には、合理性があると認められる。そして、推計の基礎とする水道光熱費の額の計算に当たり、本件民宿に係る水道光熱費の額から家事費相当額を控除する計算方法は、当審判所においても相当と認められる。しかしながら、家事費相当額の計算上、請求人世帯の人員について、原処分庁の認定誤りが存するため、これを是正した上で、原処分庁が設定した抽出基準に従って、改めて類似同業者を抽出すると、誤って類似同業者に選定された者及び選定漏れの類似同業者が認められたことから、誤って類似同業者に選定された者を除外し、選定漏れの類似同業者を採用し、改めて平均水道光熱費及び平均所得率を算出して、事業所得の金額を推計することが相当である。

《参照条文等》
 所得税法第156条

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原処分庁が推計の基礎とした売上原価の額に、接待交際費及び家事費などの額が含まれていることから、これらの金額を補正すべきとした事例(1平成23年分及び平成24年分の所得税の各更正処分及び無申告加算税の各賦課決定処分、2平24.1.1から平24.12.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに無申告加算税の賦課決定処分・1一部取消し、2棄却・平成28年3月10日裁決)

平成28年3月10日裁決

《ポイント》
 本事例は、推計の基礎数値の正確性を期すためには、同業者比率法による推計の基礎とした売上原価の額が合理的な根拠に基づいて算定される必要があるとしたものである。

《要旨》
 売上原価の額を推計の基礎として同業者比率法により事業所得の金額を算定する場合、売上原価の額が合理的な根拠に基づいて算定される必要があるところ、原処分庁は、各年分の売上原価の額を、請求人から提示された領収書等により仕入金額を計算し、売上原価の額を算定している。当審判所においても、その算定方法自体は相当であると認められるが、原処分庁が算定した各年分の売上原価の額には、接待交際費及び家事費などとともに、業種の異なる店舗の売上原価が含まれていることなどから、これらについて必要な補正等を加えた後の金額を推計の基礎となる売上原価の額とするのが相当である。

《参照条文等》
 所得税法第156条

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原処分庁が選定した類似同業者の中に選定基準に該当しない事業者が含まれていたと認定した事例(平成21年分から平成24年分までの所得税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分、平成22年1月1日から平成22年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の決定処分並びに無申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、平成23年1月1日から平成23年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、平成24年1月1日から平成24年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに重加算税の賦課決定処分・一部取消し、棄却・平成28年9月8日裁決)

平成28年9月8日裁決

《要旨》
 請求人は、請求人の自宅に存したノート(本件ノート)は請求人の事業に係る売上金額が記載されたものではないから、原処分庁が本件ノートを基に請求人の事業所得の金額等を推計の方法により算定したことには合理性がない旨主張する。
 しかしながら、本件ノートに記載された売掛金の額は、請求書の金額及び預金口座に振り込まれた金額と9割以上が一致していることからすると、本件ノートには、請求人の事業に係る売上金額を記載したものとして一定の信ぴょう性があると認められる。加えて、原処分庁は、請求人が営む事業と業種、業態、事業内容、規模等が類似すると認められる青色申告者の平均特前所得率(総収入金額に対する青色申告特典控除前の事業所得の金額の割合の平均値)に基づいて、請求人の事業所得の金額を推計の方法により算定しているところ、原処分庁が類似同業者を機械的に抽出すべく設定した選定基準についてみると、選定対象とした事業者は、1請求人が営む店舗の所在地を管轄する税務署及び同税務署と隣接する税務署の管轄内に納税地及び事業所を有する者に限定し、地域差による収益等のかい離を回避していること、2請求人が営む事業の営業形態との同一性に配慮が認められ、売上金額が請求人の売上金額の0.5倍以上2倍以下であり、複数店舗経営及び兼業ではなく、青色事業専従者がいないなど事業規模等の類似性を十分に考慮していること、3年中途の開廃業がない青色申告者で調査中又は不服申立て中でない者に限定することによって、収入金額等を把握する上で障害となる不安定要素を有する者が除外されるとともに、同業者に係る資料及び金額の正確性が担保されていることから、原処分庁による推計の方法自体は相当であると認められる。ただし、原処分庁が選定した類似同業者の中には、原処分庁が設けた選定基準に該当しない事業者が一部含まれていることから、これらを類似同業者から除外した上で平均特前所得率を算定することが相当である。

《参照条文等》
 所得税法第156条

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