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生命保険金
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請求人が受け取った養老生命共済金は被共済者の法定代理人である請求人が負担した共済掛金に係るものであるから一時所得に該当するとした事例
裁決事例集 No.35 - 9頁
請求人は、本件養老生命共済契約の締結及び共済掛金の支払は、いずれも長男の親権者としての監護行為として行ったものであり、共済掛金の負担者は、長男であるから、本件共済金は長男の相続財産であると主張するが、[1]共済証書の契約者名は、請求人名義であること、[2]契約申込書に、請求人が長男の法定代理人として契約に同意する旨の表示はなく、一方、商法第674条第1項の被共済者の同意について、請求人が法定代理人として記名押印していること、[3]共済掛金を、長男の普通預金口座から支払ったとする事実は認められないこと、[4]その他共済契約及び共済掛金の支払について親権者としての監護行為であるとする事実は認められないことから、共済掛金の負担者は請求人であり、請求人が受領した本件共済金は、請求人の一時所得の収入金額であるとした原処分は相当である。
昭和63年6月13日裁決
長男の死亡に伴い父親が受け取った保険金は、被保険者である長男が負担した保険料に係るものであるから、みなし相続財産に該当するとした事例
裁決事例集 No.37 - 65頁
税法上、保険金受取人の取得した保険金が、一時所得として所得税の課税対象となるのか、相続財産とみなされて相続税の課税対象となるのかは、その保険金に対応する保険料の負担者が何人であるかによって判定されるべきものであり、その保険料負担者とは単に保険契約者をいうのではなく、実質上の負担者をいうものと解されるところ、長男の死亡に伴い父親(請求人)が受け取った本件生命保険金は、長男を被保険者とし、父親を保険契約者及び保険金受取人とする生命保険契約に基づくものではあるが、その保険料は、親せきなどから被保険者である長男に贈られた就職祝金をもって長男が全額負担したものと認めるのが相当であり、相続税法第3条第1項に規定する相続財産とみなされる場合に当該するというべきであるから、一時所得に当たるとした原処分はその全部を取り消すべきである。
平成元年3月31日裁決
保険契約に係る保険料の負担者は死亡者であり、死亡保険金は相続税の課税対象とされるべきである旨の請求人主張の事実は認められず、一時所得に該当するとした事例
請求人は、本件保険契約に係る契約者及び保険料の負担者は、いずれも死亡者である長男であるので、本件死亡保険金は相続財産として相続税の課税対象とされるべきであると主張する。
しかしながら、[1]第1回の保険料は長男が支払った事実はあるものの、請求人の妻がその支払いの直後に長男に小遣いを渡していることから、同人が当該保険料を実質的に負担したとは必ずしもいえないこと、[2]長男の預金口座から本件保険料が支払われている事実は認められないこと等から、本件保険料の負担者が長男であるとは認められない。
したがって、本件の死亡保険金は、相続財産には該当せず、一時所得に該当するものと認めるのが相当である。
平成8年3月28日裁決
生命保険契約に係る保険料の負担者は被相続人であり、死亡保険金は相続税の課税対象とすべき旨の請求人の主張は認められず、請求人が保険料の負担者であるとして一時所得に該当するとした事例
請求人は、本件保険契約に係る保険料の負担者は死亡した妻であり、また、保険契約者が請求人となっていたことは知らなかったので、本件死亡保険金は相続財産として相続税の課税対象とすべきである旨主張する。
しかしながら、[1]死亡した妻は無収入であること、[2]請求人は妻に対する労務の対価を支払ったことの事実を証する帳簿書類を提出しないこと、[3]妻名義預金には、労務の対価としての定期・定額の入金はなく、請求人の営む事業に係る収入金が入金されており、かつ、当該預金からの出金には、本件保険料のほか、請求人に係る国民年金の掛金や家電製品の支払があること等を勘案すると、当該預金は請求人の家事費等の支払の一部に充てるために、請求人の営む事業に係る収入金の一部を入金していたものと推認され、妻に対する労務の対価を入金していたものとは認められないから、当該預金は、名義は妻であったとしても請求人に帰属する預金であると認められる。また、請求人は本件保険契約に係る保険会社から自ら保険契約者であることを証明の上、借入れを行っていることから本件保険契約の保険契約者が請求人であることを認識していたことが認められる。
したがって、請求人の主張にはいずれも理由がなく、妻名義預金から支払われていた本件保険料の実質負担者は請求人と解するのが相当であり、原処分庁が本件保険金を請求人の一時所得として所得税の課税対象としたことは相当と認められる。
平成10年9月2日裁決
個人年金保険契約の解約に伴い支払われた解約返戻金等を他の年金保険契約の保険料に充てた場合、その解約返戻金等が一時所得の総収入金額に算入されるか否かが争われた事例
請求人は、本件解約返戻金は生命保険会社の年金契約を解約し郵便局の年金契約へ契約替えした結果生じたにすぎない等の理由から課税されない旨主張するが、所得税法施行令第183条第2項の規定により本件解約返戻金等が一時所得に該当することは明らかであり、また、現に生命保険会社から本件解約返戻金等の支払いを受けているのであるから、それを郵便局の年金保険の原資として払い込んだとしても所得が実現したことには変わりがないこと等から、請求人の主張には理由がない。
平成11年11月9日裁決
生命保険契約を解約したのではなく満期保険金を据置したにすぎないから一時所得の発生はないとの請求人の主張を排斥した事例
本件契約は養老保険契約であり、本件保険金は被保険者である請求人が保険期間満了日まで生存していたことによって支払を受けるべき満期保険金等であることが認められる。
また、据置契約は、本件保険金を原資として、請求人の意思によって新たに締結されたものであり、本件契約とは別個の預金契約であると認められる。
そうすると、本件保険金は、本件契約の保険期間満了後、請求人側に現実に金員が支払われることなく、新たに締結した別個の契約に引き継がれたものにすぎないと認められ、いずれも平成10年中にその支払を受けるべき権利が確定していることが認められるから、平成10年分の一時所得となり、この点に関する請求人の主張は採用できない。
平成12年11月8日裁決
生命共済契約により受領した死亡共済金について、非課税所得となるのか、一時所得として課税対象となるのかが争われた事例
請求人は、同人を契約者、その妻を被共済者とする生命共済契約により受領した死亡保険金について、本件共済掛金の負担者は妻であるから、みなし相続財産に該当し非課税所得となる旨主張する。
しかしながら、本件共済契約の契約者及び本件死亡保険金の受取人は請求人であり、本件共済掛金は請求人名義の預金口座から口座振替の方法により支払われていることは、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、特に反証のない限り、本件共済契約の契約者である請求人が、本件共済掛金の実質的な負担者であると事実上推定され、当審判所の調査によっても、この推定を覆すに足りる証拠資料は見当たらなかったから、本件死亡保険金は、みなし相続財産には該当せず、非課税所得にも該当しないこととなり、一時所得に該当することとなる。
平成12年10月30日裁決