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航空機等のリースによる所得
航空機リース事業に係る匿名組合の組合員に配分されたとする損失は出資額の減少にすぎず、その所得区分は雑所得に該当するとした事例
請求人は、営業者と請求人との間の匿名組合契約の営業者の事業が航空機リース事業であり、所得税法第26条の不動産所得(損失)に該当するから、請求人の所得も営業者と同じ不動産所得(損失)である旨主張する。
しかしながら、本件匿名組合契約により営業者から請求人に配分される損益の内容を吟味すると、請求人が自ら又は営業者と共同して主体的に本件航空機を賃貸していたとか、それによる収益の稼得や費用の負担を行っていたとはいえず、請求人は、本件航空機リース事業に対する単なる出資者という立場で、本件匿名組合契約に基づいて営業者から損益の配分を受けるものであると認められる。そうすると、営業者から請求人に配分される損益は、営業者への出資に対するもので、請求人が不動産等を利用に供したことにより生じる所得であるとはいえないから、不動産所得に該当するものではなく、また、利子所得、配当所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しないことから、雑所得に該当する。
次に、請求人が本件各年分の確定申告において本件航空機リース事業に係る不動産所得の損失としている金額は、営業者から送付された本件各期間の会計報告書の記載に基づくものであって、本件航空機リース事業に係る損失について、本件匿名組合契約に基づき、請求人が分担するものとして出資割合に応じて配分されたものである。そして、ここでいう損失とは、本件各期間における本件匿名組合契約の各年分における財産の減少額のことであり、損失の分担があることによって、請求人の営業者に対する出資額が計算上その分担する損失の額だけ減少することを意味しているにすぎず、現実の支払によってこれを補てんするものではない。そうすると、請求人に配分された損失は、現実の負担ではなく計算上のものであり、課税上は、本件各年分においていまだ確定しているとはいえないから、請求人の本件各年分の雑所得とすべき金額はない。
平成20年8月21日裁決