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課税標準

課税資産の譲渡等の対価の額

  1. 課税資産の譲渡等の対価の額(12件)
  2. 輸入貨物の課税標準
  3. その他

競走馬賞金の「課税資産の譲渡等の対価の額」(消費税法第28条“課税標準”第1項)は、競走馬賞金全額と解するのが相当とした事例

裁決事例集 No.43 - 390頁

 競走馬賞金の「課税資産の譲渡等の対価の額」(消費税法第28条第1項)は、[1]請求人と調教師との預託契約によれば、調教師への進上金は請求人から調教師に対する報償金と認められること、[2]賞金等の支払調書によれば、進上金が競馬主催者から調教師に対する分配金とは認められないこと及び[3]本件進上金は、消費税法第30条第1項の仕入税額控除の対象となるが、請求人は同条の申告もしており二重課税の問題も起らないことから、競走馬主催者から請求人に交付される競走馬賞金全額(調教師に支払う進上金を差し引く前の金額)と解すべきである。

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軽油引取税の特別徴収義務者に該当しない一般販売店は、同税相当額を価格に上乗せして顧客から対価を受領しているとしても、当該相当額は課税資産の譲渡等の対価の額に含まれるとした事例

裁決事例集 No.49 - 460頁

 課税資産の譲渡等に関連して取得する金銭のうちに軽油引取税が含まれている場合において、同税の特別徴収義務者(特約店)に該当しない一般販売店は、同税を徴収する者ではなく、納税する者であり、また、一般販売店が、軽油引取税相当額を価格に上乗せして顧客から対価を受領しているとしても、当該相当額は同税自体ではなく、売却価格の一部にすぎず、その対価の受領は同税の徴収ではないことから、課税資産の譲渡等の対価の額に含まれる。
 また、特約店との間で軽油に関する委託販売契約を締結している場合、委託販売手数料が役務の対価として課税資産の譲渡等の対価の額となるところ、当該契約にそった取引の処理をしていないことから、委託販売とは認められない。

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軽油引取税の特別徴収義務者に該当しない者が同税相当額を価格に上乗せしても、当該相当額は課税資産の譲渡等の対価の額に含まれるとした事例

裁決事例集 No.53 - 477頁

 請求人は、消費税法取扱通達10−1−10には軽油引取税は利用者等が納税義務者となっているので課税資産の譲渡等の対価の額に含まれないと定めているだけで、特約業者と一般の販売業者が軽油を販売する場合では、軽油引取税を課税資産の譲渡等の対価の額に含むか否かの取扱いが異なる旨を当該通達に明記すべきである旨主張するが、地方税法第700条の3第1項によれば、軽油引取税の納税義務者は特約業者から軽油を引き取る者とされており、また、特約業者は特別徴収義務者として軽油引取税を納税義務者から徴収して都道府県に納付すると規定されていることからすると、特約業者にあっては、軽油引取税の特別徴収義務者として納税義務者から軽油引取税に相当する額を預かったにすぎないのであるから、課税資産の譲渡等の対価の額に含まれないが、一般の販売業者にあっては、納税義務者として特別徴収義務者である特約業者に支払った軽油引取税に相当する額を軽油本体の価格に上乗せしたところで顧客に販売するものであり、軽油引取税に相当する額は販売価格の一部にすぎず、課税資産の譲渡等の対価の額に含まれると解される。
 なお、消費税法取扱通達に軽油引取税等個別消費税を限定列挙しているのは、これらの税がすべて特別徴収によって租税を徴収されることにかんがみれば、当該税目の定めは特別徴収義務者に対するものであるものと解するのが相当であり、当該通達に特約業者が販売した場合と一般の販売業者が販売した場合に区別して定める必要はないというべきである。
 また、請求人は消費者が特約業者と一般の販売業者から軽油を購入した場合には、同一商品について税法が「一物二価」を強いることになり、社会的に不公平を生じさせる結果となる旨主張するが、法令を適用することが社会的不公平を生むかどうかなど、法令自体の適否を判断することは当審判所の権限に属さない。
 さらに、請求人は、予備的に、特約業者と一般の販売業者間で軽油委託販売契約を締結し、また、帳票類の軽油の欄に委託販売であることを明らかにすれば、軽油引取税は課税資産の譲渡等の対価の額に含まれない旨主張するが、請求人の販売形態は委託販売によるものではなく、通常の買取りによるものであるから、請求人の主張は採用できない。

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ビール、飲料水メーカーの特約店及び容器問屋に容器を納入する本件取引は、単なる役務の提供ではなく、自己の計算において容器等を売買しているものであるから、特約店等から受領する容器等保証金相当額は、消費税の課税資産の譲渡等の対価の額に該当するとされた事例

裁決事例集 No.57 - 529頁

 請求人は、ビール及び飲料水メーカーの特約店等との間における容器等に係る取引において、特約店等から容器等保証金と容器等の納入手数料を併せて収受しており、容器保証金については、消費税法基本通達5−2−6で資産の譲渡等の対価の額に該当しないものと取り扱われているのであるから、容器等がどのような流通過程を経ようとも容器等の所有権がメーカーにある以上容器等保証金としての性格が変わるものではなく、流通過程により消費税の取扱いが異なることとなるのは不合理である旨主張する。
 しかしながら、本件取引においては、回収先である酒類小売店等から納入先を指定されることもなく、又納入先である特約店等から回収先を指定されることもないこと及び請求人が酒類小売店等に支払う金額、又は特約店等が請求人に支払う金額は、各当事者間において自由に決定していることなどからすると、請求人は酒類小売店等や特約店等からも独立した事業者として酒類小売店等から容器等を買い取り、これを特約店等に売却しているものと認めるのが相当であり、請求人は自己の判断において任意の酒類小売店等から容器等を引き取って、これを自己の判断において任意の特約店等に納入しているのであるから、単なる役務の提供をしているのではなく、自己の計算において容器等の売買をしているのである。
 よって、本件取引は、本件通達の適用対象外の取引であり、受領する総額が消費税の課税対象となる。

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請求人の課税売上げは受託販売の手数料収入ではなく卸売販売による売上であり、各課税期間の基準期間の課税売上高が3,000万円を超えているので消費税を納める義務は免除されないとした事例

裁決事例集 No.65 - 878頁

 請求人は、同人が営む青果物の集荷業の業態は受託販売であり、基準期間における受託販売に係る仲介手数料の課税売上高は3,000万円以下であるので、消費税の納税義務はない旨主張する。
 しかしながら、請求人は農家から青果物を仕入れ、その青果物を漬物会社へ卸しているものと認められ、受託販売に係る仲介手数料のみを収受していたとは認められず、各課税期間の基準期間の課税売上高は、いずれも3,000万円を超えることとなるから、請求人には消費税の納税義務があるので、請求人の主張には理由がない。

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適法な競売手続により落札された競落代金は、裁判所が評価した最低競売価額より相当高額になったとしても、課税資産の譲渡等の対価の額として相当であるとした事例

裁決事例集 No.66 - 322頁

 請求人は、裁判所の競売による建物の売却価額は創出された特異な価額であるから、裁判所評価額を税務計算における譲渡対価の額にすべきである旨主張する。
 しかしながら、競売手続は、裁判所により適法に行なわれており、また、民事執行法60条1項及び同法63条3項からみれば、裁判所評価額は落札可能な最低限度額を示したものであり、実際に売却された価額、すなわち、競売価額でないことは明らかである。
 さらに、譲渡とは、権利を他に移転することをいい、競売、公売、収用、物納又は現物出資等も含まれると解されるところ、抵当権を実行するための競売は、担保権の内容を実現する換価行為であり、競落人は、目的不動産の所有権を承継取得するものであるから、「資産の譲渡」に該当し、競落代金が譲渡対価の額となる。
 なお、請求人は、落札価額が特異な価額である旨主張するが、不動産の売買に当たっては、買主にとってその取得の必要性が大きければ大きいほど通常の取引価額を超えた売買が行なわれ、売買価額が高額になることは一般に見られるところであり、高額であるからといって、その売買価額が当該不動産の売買価額に当たらないという理由にはならない。

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新築アパートに係る消費税及び地方消費税の還付申告に対し、課税売上げの基となった新築アパート完成見学会のための賃貸借契約は架空であるとしてなされた更正処分及び重加算税の賦課決定処分は適法であるとした事例

裁決事例集 No.72 - 605頁

 請求人は、本件賃貸借契約は存在しており、それに基づき本件賃貸料を受領し領収証をF社の従業員Hに交付しているから、本件賃貸料は課税資産の譲渡等の対価の額として存在する旨主張する。
 しかしながら、F社の備付け帳簿書類等には、本件建物の完成見学会が開催された旨や本件賃貸料が支払われた旨の記載はなく、また、本件賃貸借契約書は、本件建物の完成引渡し後に、請求人の関与税理士からの再三の申出により、Hが、請求人及びF社の記名・押印箇所に他の書類の記名・押印部分をコピーし、切り貼りするなどして作成した架空のものであることなどからすれば、本件賃貸借契約の締結、本件建物の完成見学会の開催及び本件賃貸料の授受の事実は認められないから、本件賃貸料は課税資産の譲渡等の対価の額として存在せず、本件課税期間の課税資産の譲渡等の対価の額及び消費税の課税標準額はいずれも零円となる。
 また、本件課税期間の課税資産の譲渡等の対価の額は零円であるから、課税売上割合は零%となるところ、本件建物は、人の居住の用に供する住宅であると認められるから、本件建物の取得価額等は非課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れの額となり、個別対応方式又は一括比例配分方式のいずれの方式によって算定しても、本件課税期間の消費税の仕入税額控除額は零円となる。したがって、本件課税期間の消費税等の納付すべき税額を零円とした本件更正処分は適法である。
 そして、上記のとおり、本件賃貸借契約の締結及び本件賃貸料の授受の事実が存在しないにもかかわらず、請求人は、Hに依頼して本件賃貸借契約書を作成させ、さらに、本件賃貸料を受領したかのように領収証を作成するなど、課税資産の譲渡等の対価の額を架空に作出したものであり、本件建物の取得価額等は、本来非課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れの額となるところ、請求人は、消費税等の還付を受けるため、あたかも本件賃貸借契約及びそれに係る金銭の授受が存在したかのごとく仮装した事実に基づいて、本件建物の取得価額等を課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れの額として本件課税期間の確定申告書を提出したと認められ、これら請求人の行為は、国税通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装行為に該当すると認められるから、重加算税の賦課決定処分は適法である。

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土地とともに取得した建物の課税仕入れに係る支払対価の額は売買契約書に記載された建物の価額によるべきとした事例

裁決事例集 No.75 - 711頁

 請求人は、土地とともに取得した建物の取得価額は、時価により合理的に算定すべきであるから、売買契約書に記載された建物の価額によらず、売買代金総額を土地及び建物の各固定資産税評価額の価額比であん分して算定した価額によるべきであり、また、本件建物の課税仕入れに係る支払対価の額も、消費税法施行令第45条第3項及び租税特別措置法関係通達62の3(2)-3の規定等の趣旨に照らし、上記の方法により合理的に算定すべきである旨主張する。
 しかしながら、本件の売買契約は、請求人及びA社が、契約当事者として本件契約書に記載された内容で合意し、本件契約の締結に至ったものと認められ、両者の間に、同族会社であるなど特殊な利害関係あるいは租税回避の意思や脱税目的等の下に故意に実体と異なる内容を契約書に表示したなどの事情は認められず、また、本件契約書に記載された本件建物の価額は、売主が不動産売買の仲介業者に本件土地建物の売却価額の査定を依頼し、その報告書を参考に決定したものであって、当審判所の調査によっても特段不合理なものとは認められないから、本件建物の減価償却に係る取得価額は、本件契約書に記載された本件建物の価額を基に算定するのが相当である。
 また、本件建物の課税仕入れに係る支払対価の額も、本件契約書に記載された本件建物の価額が、契約当事者双方の契約意思を表示するものであり、本件契約書に実体と異なる内容を表示したなどの特段の事情もなく、また、その価額に特段不合理な点が認められないから、本件契約書に記載された本件建物の価額を基に算定するのが相当である。

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個人事業者の法人成りに際して事業用資産の当該法人への引継ぎは、現物出資ではなく、負債の引受けを対価とした課税資産の譲渡であるとした事例

裁決事例集 No.76 - 475頁

 請求人は、自己が営む個人事業を法人組織とするに当たり、まず金銭の出資により法人を設立し、その後、個人事業に係る資産及び資産と同額の負債を当該法人に引き継いだところ、原処分庁が、本件法人成りは「対価を得て行われる課税資産の譲渡」であるとして消費税等の更正処分をしたのに対し、本件法人成りは、「営業」という組織的有機的一体物の譲渡であるから「営業」それ自体を一個の資産ととらえて課税すべきである。したがって、原処分庁が、かかる「営業」を資産と負債に分離・分解した上で、負債の引受額を消費税法上の資産の譲渡等の反対給付と認定し課税したのは違法である。すなわち、本件法人成りの実態は現物出資と同様であるから、消費税法の適用においても現物出資に準じて取り扱うべきで、そうすると、その対価となるべき取得する株式がない本件法人成りにおいて消費税額は発生しない旨主張する。
 しかしながら、消費税の課税対象は、「国内において事業者が事業として対価を得て行われる資産の譲渡等」と解されるところ、消費税法において、資産(非課税取引を含む)及び負債が一体となった「営業」それ自体を一つの課税客体ととらえて課税対象とする規定は存在せず、譲渡された資産の相手勘定を負債とした法人における仕訳処理は、本件法人成りにおいて負債の引受けが資産の引受けの反対給付である証であり、請求人は、資産の譲渡の対価として法人から金銭を収受する代わりに負債を引き受けさせ、債務の支払義務の消滅という経済的利益を得たものであるから、当該負債の引受額は消費税法における資産の譲渡の対価の額に相当する。

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請負代金のうちに法人税法上寄附金の額に含まれるとされる金額があるとしても、当事者間で取り決めた実際の取引額として受領した金額であれば、消費税法上は課税資産の譲渡等の対価の額に含まれるとした事例

平成22年9月21日裁決

 請求人は、関係法人C社から受領した賃貸用マンション(本件建物)の新築工事に係る請負代金(本件請負代金)のうち、C社に対する税務調査により通常の取引価額を超え実質的に贈与したと認められるため法人税法上請求人に対する寄附金とされた部分の金額(本件寄附金)は、請求人においても対価性がないことになるから、消費税法上、資産の譲渡等の対価の額に該当せず消費税の課税対象外となる旨主張する。
 しかしながら、消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額は、その取引額が時価であるか否かにかかわらず、その譲渡に係る当事者間で取り決めた実際の取引額であると解されるところ、本件請負代金は、請求人とC社との間で有効に成立した請負契約に基づき、請求人が本件建物を完成させ引渡しをし、それに対してC社が対価として支払ったものであるから、本件請負代金のうち本件寄附金に相当する金額は、法人税法上は寄附金の額に含まれるとしても、消費税法上は課税資産の譲渡等の対価の額に含まれると認められ、消費税等の課税対象になる。

《参照条文等》
 消費税法第2条第1項第8号、第9号、第28条第1項
 消費税法基本通達5−2−14、10−1−1

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個人的な使用に供される輸入貨物について、税関告知書記載の価格に基づいてされた消費税等の賦課決定処分に誤りがあるとして取り消した事例

令和2年5月7日裁決

《ポイント》
 本事例は、原処分庁が、請求人を名宛人とする外国からの郵便物に添付された税関告知書記載の価格に基づき消費税の課税標準を算出するなどした上で、請求人に消費税等の賦課決定処分を行ったところ、当該郵便物の内容品の価格は、請求人が購入した商品の価格であると認められ、当該税関告知書に記載された価格は誤りであると判断して、原処分を取り消したものである。

《要旨》
 原処分庁は、外国から発送された請求人を名宛人とする郵便物(本件郵便物)の内容品の価格は、税関告知書に記載された金額(本件金額)と認められることから、関税定率法(定率法)第4条の6《航空運送貨物等に係る課税価格の決定の特例》第2項の適用がある場合における本件郵便物の課税価格は本件金額に基づいて算出すべきである旨主張する。
 しかしながら、請求人は中古のミニカー1個(本件商品)を購入していたところ、1請求人による本件商品の発注から本件郵便物の受取までを一連の手続としてみた場合に時系列の点で矛盾点がなく、かつ、不自然な点がないことに加え、請求人と本件商品の譲渡人との電子メールの件名や添付された画像データからも、本件郵便物の内容品は本件商品であったと考えるのが自然であること、2本件郵便物の内容品及び本件商品の原産国や重量などをみても、本件郵便物の内容品は本件商品であったと考えるのが自然であること、3請求人と本件商品の譲渡人との電子メールでのやり取りから、本件郵便物の内容品が本件商品以外の別の貨物である可能性は極めて低いことを総合勘案すると、本件郵便物の内容品は本件商品であったと認められる。したがって、本件郵便物の課税価格を本件金額に基づいて算出した賦課決定処分はその全部を取り消すべきである。

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売上先において課税仕入れの過大計上額と認定した金額を、請求人における課税売上額の過大計上額と認定した事例(1平成28年4月1日から平成29年3月31日までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消処分、2平成28年4月1日から平成29年3月31日まで及び平成29年4月1日から平成30年3月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分、3平成28年4月1日から平成28年6月30日まで、平成28年7月1日から平成28年9月30日まで、平成28年10月1日から平成28年12月31日まで、平成29年1月1日から平成29年3月31日まで、平成29年4月1日から平成29年6月30日まで、平成29年7月1日から平成29年9月30日まで、平成29年10月1日から平成29年12月31日まで及び平成30年1月1日から平成30年3月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・1棄却、2却下、3全部取消し、一部取消し、棄却)

令和4年10月25日裁決

《ポイント》
 本事例は、当審判所が認定した請求人の売上先における請求人からの課税仕入れの過大計上額が、請求人における課税売上の過大計上額に該当すると判断したものである。

《要旨》
 原処分庁は、原処分庁が請求人の売上先の更正処分において過大であると認定した課税仕入れの額は、間接的な資料を用いて所得金額を認定する推計課税の方式により算出したものであり、請求人と当該売上先との取引に係る実額で認定された課税仕入れの額とは性質が異なるから、当該売上先の課税仕入れの額を過大であると認定したとしても、請求人の課税売上額が過大であるとは認められない旨主張する。
 しかしながら、当審判所は、当該売上先の課税仕入れの過大計上額を実額で認定しているところ、請求人と当該売上先との間の売買取引が私法上同一の取引であることは明らかであり、当該売上先における課税仕入れの金額と請求人における課税売上の金額とは一致しているから、当該売上先における課税仕入れの過大計上額は、請求人における課税売上の過大計上額と認められ、請求人の課税売上額から減額することが相当である。

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