法人税法の特例

他の支出との区別

  1. 特定設備等の特別償却
  2. 中小企業者の機械等の特別償却
  3. 新築貸家住宅等の割増償却
  4. 交際費等の課税の特例
    1. 他の支出との区別(17件)
    2. 損金不算入額の計算
  5. 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例
  6. 土地の譲渡等がある場合の特別税率
  7. 収用等の場合の課税の特例
  8. 特定資産の買換えの場合等の課税の特例
  9. 準備金
  10. 税額控除
  11. 新規取得土地等に係る負債の利子の課税の特例
  12. 移転価格税制
  13. タックスヘイブン対策税制

野球場のシーズン予約席料は交際費等に該当するとした事例

裁決事例集 No.2 - 38頁

 請求人が契約した野球場の予約席には、請求人の社名看板が掲示されているとしても、それは小型のものであって入場者の目安のための社名表示にすぎないものと認められるから、野球場予約席料は、広告宣伝効果を意図したものとは認め難く、野球場入場券を取引先に贈答するために支出した費用と認められるので、交際費等に該当する。

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得意先の板前に支払った分銭は交際費等に該当するとした事例

裁決事例集 No.5 - 43頁

 請求人は、その得意先である各旅館等の調理部門の責任者である板前に支払った分銭(各旅館等に対する売上金額に一定率を乗じて算定した金額)は売上戻し手数料であって、交際費等に該当しないと主張するが、本件分銭は取引を円滑に行う目的をもって板前に支出されるものであると認められ、販売収益の一部の還元金として得意先である旅館等に支払われるものでないから、仮にその支出が売上金額に対して比例的であっても交際費等に当たるとみるのが相当である。

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得意先の従業員に対するコミッションは交際費等とするのが相当であるとした事例

裁決事例集 No.6 - 65頁

 得意先の従業員に対するコミッションについて、請求人は、現金仕入れ又は売上割戻金として処理していたが、本件コミッションの支払先は、得意先の担当者であって取引の相手である事業者そのものでなく、また、支払先の決定、支払金額の算出等についてはすべて請求人が任意に行っており、相手方は、この金員を請求する権利があったとは認められないから、交際費等として処理するのが相当である。

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観光バスの運転手等に対する「心付け」は交際費等に該当するとした事例

裁決事例集 No.13 - 69頁

 請求人は、自己の経営するドライブインに駐車する観光バスの運転手等に対する「心付け」を駐車誘致費として損金に算入しており、これを交際費等と認定した原処分は違法であると主張するが、観光バスの運転手等がドライブイン等に立ち寄るのは走行の安全性の確認と観光客の便宜を図る運転手等の本来的任務の遂行そのものであって、当該運転手等が請求人の経営するドライブインに駐車したことにより、そのドライブインにおける商品の販売料が増加し経済的効果があったとしても、それは観光バス等の駐車に伴う副次的効果にすぎず、「心付け」は請求人に対する特定の役務の提供に対する対価とは認められないから、これを運転手等への報酬又は手数料であるとする請求人の主張は認め難い。また、運転手等は、観光バス会社等の指示に基づき請求人の経営するドライブインに観光バスを駐車誘致した者であるから請求人の事業に関係のある者に該当し、当該「心付け」は駐車誘致行為に対する運転手等への謝礼すなわち贈答に該当するから、これらは租税特別措置法第62条第4項に規定する交際費等となる要件に該当することは明らかであり、これを交際費等と認定した原処分は相当である。

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得意先等の接待に伴って支出した料理飲食等消費税は交際費等に該当するとした事例

裁決事例集 No.13 - 76頁

 料理飲食等消費税は、料理店等がその利用料金の領収の際合わせて徴収して納付する間接税であって、通常その利用料金に含まれる性格をもつものであるから請求人が得意先等の事業関係者に対する接待、きょう応のため料理店等においてなした飲食等に伴って支出された料理飲食等消費税は、交際費等に該当することは明らかである。

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特定の顧客に贈呈した美術書に係る費用は、広告宣伝費ではなく、交際費等に該当するとした事例

裁決事例集 No.17 - 86頁

 クラブを営む請求人が特定の顧客等に対して市販されているものと何ら異なるところがない美術書を贈呈したのは、これによって受贈者の歓心を買い、その来店を期待したものと認められるので、これに要した費用は、不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した広告宣伝費とは認められず、交際費等に該当する。

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昼食弁当等の少額なものを除外して交際費等の損金不算入額を計算したことは失当であるとした事例

裁決事例集 No.17 - 92頁

 租税特別措置法第62条第1項の規定は、支出された個々の費用の額の多寡により適用されるものではなく、請求人が昼食弁当等の少額なものを除外して交際費等の損金不算入額を計算したことは失当である。

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使途不明金と認定された取引先の板前等に対する手数料の一部について販売促進費ではなく交際費等として損金算入を認容した事例

裁決事例集 No.21 - 146頁

 原処分において使途不明金として認定した取引先の板前等に対して支払った本件手数料のうち、板前等の一部の者に係る手数料については、領収書等によりその板前等に支出した事実が認められ、その支出は取引を円滑に行う目的で支払われたものであり、かつ、その金額は売上金額に比例したものでないこと、また、販売額の還元金として取引先である旅館等に支払われたものでないことが認められるところから、請求人の主張する販売促進費ではなく交際費等として損金算入を認めるのが相当である。

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同業者に対する調整金員は交際費等に該当するとした事例

裁決事例集 No.25 - 109頁

 請求人が外注費として支出した調整金員については、[1]請求人が公共工事の落札時に、次点入札業者との間で互いに実体のない工事の架空伝票を起票して調整金員(請負金額の約10パーセントから15パーセント程度)を次点入札業者に支払っていること、[2]業者間における競争入札による出血工事等の問題を避けるために、入札業者間で慣行により支出されていること等事業関係者間での取引を円滑化するために支払われる一種の謝礼金とみることができ、事業に関係のある者等に対する贈答その他これに類する行為のために支出する費用といい得るのであって、租税特別措置法(昭和57年法律第8号による改正前のもの)第62条第4項に規定する交際費等に該当する。

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葬儀に引続き他の場所で行った「おとき」の費用は社葬費用に当たらないとした事例

裁決事例集 No.29 - 111頁

 請求人の前代表者の死亡による社葬費用を法人の損金に算入することは妥当であるが、葬儀に引続き場所をホテルに移して行った「おとき」は、死者に対する追善供養を目的とする法会の一環であり、主として請求人の取引先の者に飲食を供したものであるから、それに係る費用を社葬費用に当たるものとみることはできない。
 したがって、「おとき」に係る費用のうち、取引先の者を対象とするものは交際費等、また現代表者の親族、友人を対象とするものは現代表者個人の負担とするのが相当である。

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本件交際費は外国船主が負担する旨の契約により立替払をしたものであって、請求人の費用ではないとする主張を排斥した事例

裁決事例集 No.30 - 213頁

 海運代理業を営む請求人は、本件交際費について、外国法人の船主らが負担する旨の包括的承認契約により立替払をしたにすぎないから、請求人の費用ではないと主張するが、個々の荷主の接待等は、船主らの指示によるのではなく専ら請求人の裁量により行われていること等から、請求人の費用として交際費等の損金不算入額の計算の対象とすることが相当である。

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表彰制度に基づいて入賞代理店に支払った海外旅行費用相当額の金員は交際費等に該当するとした事例

裁決事例集 No.30 - 225頁

 請求人は、代理店を対象とする表彰制度に基づき支出した本件支払手数料について、金銭の支払に代えて海外旅行を実施したものではなく、当該金員は銀行振込みの方法によって直接入賞代理店に支払っていること及び海外旅行の参加を強制したものではないことなどを理由として、売上割戻しであると主張するが、請求人は入賞代理店に対して、賞品として海外旅行招待の目録を渡して海外旅行を実施していること及び本件支払手数料は、その旅行の実施の前後にわたって支払われ、かつ、支払金額が、その団体旅行費用相当額であること等に照らすと、本件支払手数料は、もともと、得意先である代理店を海外旅行に招待することを目的として支出されたものであるから、本件支払手数料は、租税特別措置法第62条第3項に規定する交際費等に該当すると認めるのが相当である。

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得意先の役員に対しブランド商品の販売に係るロイヤリティ契約等に基づき支払った手数料は、交際費等に当たらないとした事例

裁決事例集 No.42 - 293頁

 請求人と得意先の代表者等との間におけるコミッション及びロイヤリティ契約は、得意先の代表者等が所有するブランド商品の販売に係るコミッションないしロイヤリティの支払に関して、請求人と得意先の代表者等との間で正当に取り交わされたものであると認められるから、この契約等に基づき、請求人が当該ブランド名を使用して商品販売を行ったことによりそのコミッションないしロイヤリティとして支払った手数料及び販売した商品のクレーム費用は、交際費等には該当しない。

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外注費として計上された本件利益金は、工事受注の際のいわゆる降り賃として、共同企業体の入札を有利に進めるための請託に関連して支出された談合金等であるから、交際費等の額に該当するとの原処分庁の主張が排斥された事例

裁決事例集 No.58 - 188頁

 原処分庁は、3社共同企業体の構成員である請求人がJ社に支出した本件利益金は、本件工事の受注の際のいわゆる降り賃として、本件共同企業体の工事の入札を有利に進めるための請託に関連して支出された談合金等であって、本件外注費は交際費等の額に該当する旨主張する。
 しかしながら、[1]J社は、本件共同企業体の運営委員会等に社員を出席させ、本件共同企業体の意思決定及び現場の業務運営に参加している事実があること、[2]J社は本件工事の瑕疵に対して責任割合相当の負担をしている事実があることを総合すれば、本件工事は、J社を加えた実質4社の共同企業体によって施工されたものであり、J社に支出した外注費は、J社が実質4社の共同企業体の構成員たる地位に基づいて得た利益金の分配であるとするのが相当である。
 したがって、3社共同企業体がJ社に支出した金額のうち、その構成員たる請求人がその出資割合に応じて負担した金額を交際費等の額に当たるとして損金不算入とした原処分は、その全部を取り消すべきである。

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旅行業を営む請求人がその主催旅行のバス乗務員に支払った心付けは、旅行者からの預り金の支払いでなく、交際費等に当たるとした事例

裁決事例集 No.63 - 431頁

 請求人(旅行業者)は、自ら主催する旅行において、目的地への運行を依頼したバス会社の乗務員に対して支払った心付けにつき、[1]旅行パンフレット等に旅行代金に心付けが含まれている旨記載されていること、[2]心付けの金額は内規的に設けられた一定の基準を基礎として、あらかじめ旅行原価の中に見積もり、当該金額を旅行費用の一部として見積書を作成していることから、旅行客から預かって支払ったものであると主張する。
 しかしながら、[1]旅行パンフレット等には心付けの金額が記載されておらず、また、[2]見積書は社内用に作成されたものであり、旅行客は当該見積書に記載された心付けの金額を確認することができないことからすれば、本件心付けの金額は旅行客の具体的な意思によって決定されるのでなく、請求人の判断と責任において決定されるというべきであり、さらに、請求人は、旅行客から本件心付けに相当する金額を別に預かるような手続をしておらず、旅行客からの預り金として実質的に管理していたと認められないから、本件心付けは旅行客が支払ったものでなく、請求人が、他の旅行原価と同様、旅行客から受取った旅行代金の中から支払ったものと認められる。
 そして、本件心付けは、事業に関係のある者に対して支払われ、何らかの収益効果を期待して支払ったものでもなく、請求人が主催旅行における旅程の管理の一環として、当該旅行を円滑に進行させるための謝礼金として支払った金員と認められることから、租税特別措置法第61条の4《交際費の損金不算入》第3項に規定する交際費等に当たる。

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○○教室を営む請求人が、卒業式において供した昼食等に係る費用は、交際費等に該当しないとした事例

裁決事例集 No.75 - 401頁

 原処分庁は、請求人が本件各卒業式において供する昼食費用は、「卒業祝賀パーティー」と称して、出席者に酒食の提供が行われており、請求人が出席者との親睦を深めることなどを目的に酒食のもてなし、すなわち、供応、接待のために行われているものと認められるから、租税特別措置法第61条の4第3項に規定する交際費等に該当する旨主張する。
 しかしながら、請求人は全国に約数千の○○校にて○○教室を営む法人であり、本件各卒業式は、1所定の授業課程を修了した者が、請求人における講師の資格を取得して今後受講生を指導する立場になることについての区切りの行事として、免状授与式を中心に行われること、2規模の拡大等に伴いホテルを会場とするに至ったこと、3請求人の教室が全国に存在し、遠距離から出席する者もいることを考慮して開始時間及び終了時間が設定されていることに併せて、卒業式が長時間に及ぶため、昼食時間帯をまたがって行われていること、及び4供与される食事は、社会通念上供与されると認められる通常の昼食の範囲内にあり、酒類は、儀礼的な乾杯のためにのみ供与されていること等の事情を総合的に判断すると、免状を本件卒業生に授与することを目的とした区切りの行事であり、本件各卒業式の中間に出席者に昼食等を供与する行為は、本件各卒業式の式次第を構成する一要素にすぎないというべきであり、本件各卒業式において昼食等を供与する目的は、事業関係者等との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図ることにあるとは認められない。
 したがって、本件各卒業式の昼食費用等は、租税特別措置法第61条の4第3項に規定する交際費等には該当しないものと認められるから、本件更正処分についてはその全部を取り消すべきである。

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請求人が前代表者に支給した金員は給与等の性質を有するから交際費等に該当しないとした事例

平成24年3月6日裁決

《要旨》
 原処分庁は、請求人の前代表者に支給された給与等(本件各金額)について、同人は請求人に対して人的役務の提供を行っておらず、地元対策等を目的とする同人の影響力に対する謝礼であるから交際費等に該当する旨主張する。
 しかしながら、前代表者は、取締役を退任する際に現在の代表者から、請求人と事業所周辺の住民との協調関係を維持すること、同業者及び取引先との調整等に協力すること、及び、請求人の従業員から相談を受けることや指導をすることなどの業務の依頼を受けており、代表取締役を退任した後、請求人の事務所に毎日出勤してこれらの業務を行っていたと認められる。そうすると、請求人と前代表者との間には雇用契約又はこれに類する合意が成立していると認められ、前代表者は、請求人の事務所等において、請求人の指揮命令に服して、継続的又は断続的に労務の提供を行っていたと認められることから、本件各金額は、労務の対価として支給した給与等に該当し、謝礼金(交際費等)には該当しない。

《参照条文等》
 租税特別措置法第61条の4
 所得税法第28条
 租税特別措置法関係通達61の4(1)−12

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