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所得の区分
請求人が得た構造計算適合性判定業務などに係る収入は、支払先との契約関係及び労務提供の態様から給与所得に該当するとした事例(平成30年分から令和元年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対し更正をすべき理由がない旨の各通知処分並びに令和2年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分・棄却)
《ポイント》
本事例は、請求人の構造計算適合性判定業務などに係る収入について、支払先との間に雇用契約及び委任関係があることを前提に、支払先の指揮命令の下で、空間的、時間的な拘束を受けて業務を行っていたと認められるから、当該収入は給与所得に該当するとしたものである。
《要旨》
請求人は、請求人が取締役を務める法人(本件法人)から建築基準法第6条の3《構造計算適合性判定》第1項に規定する構造計算適合性判定に係る業務(本件判定業務)などの対価として得た収入(本件各収入)は、自己の計算と危険において独立して営まれた業務によるものであるから、本件各収入に係る所得が所得税法第27条《事業所得》第1項に規定する事業所得に該当する旨主張する。
しかしながら、
請求人は、本件法人の本件判定業務を行う部署の本部長の肩書で、本件判定業務を行うとともに取締役会で議決権を行使し、また、本件法人は、本件各収入を給与として源泉徴収に係る経理及び事務を行っていたのであるから、請求人と本件法人との間には従業員としての雇用契約及び取締役としての委任契約が成立していたと認められる。そして、
請求人は、本件法人の建物で、内部規定に定める業務時間に本件判定業務を行っていたのであるから、本件法人の指揮命令下で、空間的、時間的な拘束を受けていたと認められるほか、
本件各収入は、本件判定業務の成果にかかわらず毎月定額であるから、請求人が報酬面でのリスクを負担していたとは認められず、請求人は自己の計算と危険によって本件判定業務を行っていたとはいえない。そうすると、本件各収入に係る所得は、事業所得に該当せず、所得税法第28条《給与所得》第1項に規定する給与所得に該当する。
《参照条文等》
所得税法第27条第1項、第28条第1項
《参考判決・裁決》
最高裁昭和56年4月24日第二小法廷判決(税資117号316頁)
福岡地裁平成28年10月14日判決(税資266号順号12916)
令和3年11月9日裁決(裁決事例集No.125)