所得金額の計算

使用人給与、賞与

  1. 収益の帰属事業年度
  2. 益金の額の範囲及び計算
  3. 損失の帰属事業年度
  4. 損金の額の範囲及び計算
    1. 売上原価
    2. 山林ぶ育費
    3. 有価証券の評価
    4. 固定資産の取得価額
    5. 減価償却資産の償却等
    6. 繰延資産の償却等
    7. 役員報酬、賞与及び退職給与
    8. 使用人給与、賞与及び退職給与
      1. 使用人給与、賞与(4件)
      2. 使用人退職給与、見舞金
    9. 寄付金
    10. 外注費
    11. 海外渡航費
    12. 賃貸料、使用料
    13. 売上割戻し
    14. 弔慰金
    15. 支払利息
    16. 為替差損益
    17. 貸倒損失及び債権償却特別勘定
    18. 横領損失
    19. 損害賠償金
    20. 不動産取引に係る手数料等
    21. 福利厚生費
    22. 資産の評価損
    23. 燃料費、消耗品費
    24. 雑損失
    25. 使途不明金
    26. その他の費用
  5. 圧縮記帳
  6. 引当金
  7. 繰越欠損金
  8. 借地権の設定等に伴う所得の計算
  9. 特殊な損益の計算
  10. 適格合併

従業員の一部の者に手当と称して支給した金員について損金算入を否認した事例

裁決事例集 No.8 - 17頁

 請求人が、毎年6月及び12月に一部の従業員に対し、手当と称して給与に上積み支給したとする金額は、退職慰労金規程等に基づいて計算されていること、毎年これらの金額を積み立て、その累積額を拘束していること、当該金額を借入金として経理しながら、職員等からの他の借入金と区別して利息も付していないこと等、経済的実質的な観点からみて、給与として支給したものとは認められないとした原処分は相当である。
 また、請求人所定の上記規程等が、法の規定する退職給与規程にも該当しないので、給与とした金額は、税法上の退職給与引当金勘定への繰入額にも当たらない。

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旧会社における勤務月数を計算の基礎に含めた使用人賞与についてその全額を新会社の損金に算入すべきものとした事例

裁決事例集 No.21 - 140頁

 旧会社(合資会社)の解散の翌日において設立され、旧会社の従業員のうち相当数の者を雇用した新会社(株式会社)が、旧会社から引き継いだ使用人に対し、設立後1か月以内に支給した賞与について、旧会社の就業規則には賞与の支給に関する支給対象期間、支給時期及び支給額の定めがないこと、したがって、旧会社は解散の時において退職使用人に対する賞与の支払債務を負っていたものとは認められないことから、当該使用人に対する賞与を設立後1か月以内に支給したとしても、当該賞与は新会社においてその総額を決定し、各人別の金額を確定されたものであると認められ、新会社が当該賞与の全額をその支給した日を含む事業年度の損金の額に算入したのは相当であって、当該使用人賞与額の一部を、新会社が旧会社において支給すべき賞与を支給したものとして、旧会社に対する贈与であると認定したのは相当でない。

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定期預金として管理されていた従業員賞与は各従業員に支給されたものとは認められないとした事例

裁決事例集 No.26 - 133頁

 請求人が当事業年度の決算賞与として、決算期末に支給したとする従業員賞与(本件賞与という。)については、[1]その支給日、各人ごとの支給金額及びそれを定期預金として請求人が保管することを各従業員に周知させていないこと、[2]本件賞与から源泉所得税等を控除した残額が、経理担当職員名義あるいは各従業員名義の定期預金とされ、その定期預金証書は、各従業員に交付されず、使用印鑑と共に請求人が一括保管していたこと、[3]当該定期預金は翌事業年度において3回にわたって解約され各従業員に現金で支払われていること、[4]当該定期預金の利息は代表者が現金で受け取り、調査日現在なお、請求人の金庫で保管していたことなどの事実を総合勘案すると、当該定期預金は、解約されて各従業員に支払われるまでの間、各従業員が自由に処分し得る状態にあったものではなく、請求人に帰属していたと認めるのが相当であるから、本件賞与は、当事業年度において各従業員に支給されたものとは認められない。

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請求人が従業員の賞与に含めて支給した金額は、請求人が関連法人に寄付すべき金額を賞与に上乗せする形で仮装経理したものであるとした事例

裁決事例集 No.45 - 227頁

 請求人は、関連法人から要請があった寄付金につき、従業員が、支給された賞与のうちから寄付したものである旨主張するが、次の事実から請求人の関連法人に対する寄付金を本件賞与に仮装したものである。

  1.  支給明細書が2通あり寄付金相当額を含めた明細書は、原処分調査時に交付している。したがって、退職した従業員は、寄付金相当額を含めた明細書の交付を受けていないこと。
  2.  寄付金の額は、基本賃金を基準にして算定しており、従業員は寄付申込書を白紙で請求人に提出している。また、寄付に応じなかった従業員はその計算がなされていないこと。
  3.  請求人は、従業員が寄付申込書を提出する前に、寄付金相当額を預り金として経理していること。

 したがって、法人の寄付金については損金算入限度額が定められていることから、請求人は、関連法人に対する寄付を従業員の名を借りて行うことにより、請求人の名で寄付した場合における法人税の負担の軽減を図ったものと認められる。

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