外注費
- 収益の帰属事業年度
- 益金の額の範囲及び計算
- 損失の帰属事業年度
- 損金の額の範囲及び計算
- 圧縮記帳
- 引当金
- 繰越欠損金
- 借地権の設定等に伴う所得の計算
- 特殊な損益の計算
- 適格合併
架空外注費と認定した事例
裁決事例集 No.28 - 193頁
請求人がA社ほかの外注先に対する外注費として計上したことについて、請求人は外注の事実に基づき正当に計上したものであると主張するが、これらの外注先をみると、外注等した時点では既に事業を廃止していたもの及びいまだ事業を開始していないもの並びに外注先の住所地に実在していないものが認められ、また、外注費の決済状況をみると、その支払ったとする小切手が請求人の役員個人の預金とされているもの等が認められるので、いずれも外注費としての支払の事実は認められず架空に計上したものである。
なお、工事収入金額の計上期間につき翌期であるとする請求人の主張は相当であり、原処分の一部を取り消すべきである。
昭和59年10月30日裁決
請求人の本件外注費の計上は、仮装によるものとして損金算入を認めなかった事例
請求人が当該事業年度の損金の額に計上した外注費のうち、[1]G社及びF社に対する工事代については、領収書に記載された所在地にG社及びF社が実在した事実が認められないこと、元請先の社員らは、請求人の依頼によりG社及びF社が作業をした旨記載した作業証明書を作成したこと、本件外注費の支払いに当てられたとされる受取手形が請求人の代表者N及び監査役Jが管理している代表者N個人、その長女及び監査役J個人名義の各普通預金口座で取り立てられていたこと、また、[2]H社に対する車両賃借料については、領収書に記載された所在地が請求人の監査役J個人の住所地であること、当該車両に係る賃貸借契約書が存在せず、T社の売上帳によると販売先が請求人であること、当該車両の修理代等の費用を請求人が負担していたこと、本件外注費の支払いに当てられたとされる受取手形が請求人の代表者N及び監査役Jが管理している代表者N個人及び監査役Jの兄の名義の各普通預金口座で取り立てられていたこと等の事実から、いずれも仮装によるものと認められる。
平成8年3月11日裁決
請求人の費用計上に取引先との通謀や水増しがなく、過大に計上していないとした事例
《ポイント》
本事例は、運搬費が過大な金額であることを請求人が認識していたと認めるべき客観証拠は存在しない上、請求人の取締役業務部長が取引先の担当者と通謀して運搬費を過大な金額としていたことを認定した根拠となる申述の全てが信用できず、裏付け証拠も一切存在しないから、当該申述に基づき、請求人が、運搬費が過大な金額であることを認識して計上したと認めることはできないとしたものである。
《要旨》
原処分庁は、請求人の取締役業務部長が、取引先の担当者と通謀した上で、請求人の海上輸送等に係る各運搬費(本件各運搬費)を水増しして請求人に請求させ、その水増しした金額の一部を取引先担当者から返金させていた旨主張する。
しかしながら、本件各運搬費が過大に計上されたものであるというためには、請求人が故意に過大な金額としたこと、また、過大な金額を支払うことについて通常の取引と認めるべき合理的な理由がないことが必要であるところ、請求人が本件各運搬費が過大な金額であることを認識していたと認めるべき客観証拠は存在しない上、請求人の取締役業務部長と取引先の担当者が通謀して、本件各運搬費を水増しして支払い、その水増しした金額の一部を返金させていた証拠はないから、請求人が本件各運搬費を過大に計上したとは認められない。
《参照条文等》
法人税法第22条第3項
請求人が支出した風俗事業以外の事業に係る業務委託費は、業務遂行上必要と認められるから、法人税の所得金額の計算上損金の額に算入されるとした事例(
平成23年5月1日から平成24年4月30日まで及び平成24年5月1日から平成25年4月30日までの各事業年度の法人税の各決定処分及び無申告加算税の各賦課決定処分、
平成25年5月1日から平成26年4月30日まで及び平成26年5月1日から平成27年4月30日までの各事業年度の法人税の各決定処分及び無申告加算税の各賦課決定処分、
平成24年5月1日から平成25年4月30日までの課税事業年度の復興特別法人税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分、
平成25年5月1日から平成26年4月30日までの課税事業年度の復興特別法人税の決定処分、
平成23年5月1日から平成24年4月30日まで、平成24年5月1日から平成25年4月30日まで、平成25年5月1日から平成26年4月30日まで及び平成26年5月1日から平成27年4月30日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分・

棄却・
一部取消し・平成30年6月29日裁決)
《ポイント》
本事例は、原処分庁が、風俗事業におけるコンパニオン送迎に係る業務委託費を運転手が作成した原始記録により算定して損金算入する一方で、風俗事業以外の事業に係る業務委託費は損金算入できないとしたところ、前者については、請求人が審判所に提出した業務委託領収証により算定して損金算入することはできないが、後者については、業務遂行上必要と認められるから損金算入されるとしたものである。
《要旨》
調査対象事業年度(本件事業年度)のうち、コンパニオン送迎の業務委託先である運転手(本件運転手)が作成した原始記録(本件原始記録)の存在する期間において、請求人は、コンパニオン送迎の業務委託費(本件業務委託費)につき、本件原始記録ではなく、請求人が審判所に提出した本件運転手に係る領収書(本件業務委託領収証)により算定した金額を、法人税の所得金額の計算上損金に算入すべきである旨主張する。
しかしながら、本件運転手の答述等によれば、本件業務委託領収証の記載内容に信用性はないと認められるから、本件業務委託領収書により本件業務委託費の額を算定してこれを損金に算入することはできない。ただし、請求人の業務委託先の中には、コンパニオン送迎ではなく、風俗事業以外の事業の業務を請け負っている者が存在する事実が認められ、当該事業に係る業務委託費は、当該業務の遂行上必要と認められるから、法人税の所得金額の計算上損金に算入することが相当と認められる。
《参照条文等》
法人税法第22条第3項