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役員の範囲
- 収益の帰属事業年度
- 益金の額の範囲及び計算
- 損失の帰属事業年度
- 損金の額の範囲及び計算
- 圧縮記帳
- 引当金
- 繰越欠損金
- 借地権の設定等に伴う所得の計算
- 特殊な損益の計算
- 適格合併
同族会社の判定の基礎となった株主に該当する使用人について役員に該当しないとした事例
裁決事例集 No.3 - 13頁
請求人の代表者の子息である本件使用人は、請求人が同族会社であることにつき、判定の基礎となった株主には該当するが、その勤務関係については常時代表者の指揮監督を受けており、加えて、請求人の事業運営上の重要事項に参画している事実が認められないから、給料の支給状況等がたとえ一般使用人と異なっているという事実はあったとしても、それらの事実関係だけをとらえて請求人の役員に該当するとすることはできない。
昭和46年7月17日裁決
更生会社が代表取締役、専務取締役に支給した賞与を損金不算入とした事例
裁決事例集 No.4 - 23頁
法人税法上役員及び使用人兼務役員の範囲につき、更生会社の場合と一般の法人の場合とにより区別していないから、更生会社の取締役で更生会社の事業経営、財産の管理処分権を付与されていないものも、法人税法上の役員に該当し、また、代表取締役及び専務取締役として選任されている者は、法人税法上の使用人兼務役員に該当しない。
昭和47年6月29日裁決
同族会社の使用人のうち同族会社の判定の基礎となった株主等であっても、その会社の経営に従事しているか否かによってその取扱いを異にした事例
裁決事例集 No.6 - 21頁
請求人の代表者の妻及びその妹夫婦は、いずれも同族会社の判定の基礎となった株主等に該当するが、妻は請求人の経営に係る重要事項の決定に参画しているので、使用人兼務役員とは認められないから、同人に支給した賞与は、その全額を役員賞与と認め、一方、妹夫婦は、専ら使用人としての職務に従事し、請求人の経営に参画している事実がないので、これらに支給した賞与は、使用人賞与として損金に算入するのが相当である。
昭和47年10月23日裁決
同族関係者で一定割合の株式を所有する使用人に支給した賞与は役員賞与に該当しないとした事例
裁決事例集 No.16 - 36頁
同族会社の同族関係者である使用人が同社の株式を一定割合以上保有しているが、その使用人は、同社の電気工事部門の責任者として請求人の他の使用人と専ら電気工事の現場作業に従事しているだけで、請求人の電気工事の大口工事の受注契約並びに材料の購入、資金計画、従業員の給与及び賞与の額等、請求人の経営に係る重要事項の決定の業務は代表取締役が専ら行っており、その使用人は当該業務に従事せず、請求人の経営に従事しているとは認められないから、その使用人に対する賞与は法人税法第35条第1項に規定する役員賞与に該当しないので、その賞与の額は損金の額に算入するのが相当である。
昭和53年7月17日裁決
商業登記簿上の役員でなくても実質的に会社の経営に従事している者に支給した賞与の額は役員賞与に該当するとした事例
裁決事例集 No.20 - 181頁
商業登記簿上の役員でない者であっても、自己の名義によって金融機関から事業用資金を借り入れることを決定するなど請求人の資金計画を行い、また、商品の仕入れ及び販売の計画並びに従業員の採用の諾否及び給与の決定を行うなど専ら自己の責任において請求人の業務を運営していることが認められるので、当該者は法人税法施行令第7条第1項第1号に規定する使用人以外の者で請求人の経営に従事している者に該当し、同法第2条第15号に規定する役員に当たるから、同人に支給された賞与の額を役員賞与として損金の額に算入しなかった原処分は適法である。
昭和55年2月20日裁決
名目上の監査役にすぎない者に対して支給した賞与は役員賞与に当たらないとする請求人の主張を退けた事例
裁決事例集 No.25 - 65頁
法人税法第2条第15号は、監査役を法人税法上の役員としており、この場合に、実質的に監査役としての職務を果たしていないものを除外するというような規定は置いていないから、商業登記簿上監査役である者が日常使用人としての職務に従事し、実質的に監査役としての職務を果たしていなかったとしても、同人は請求人の役員であり、したがって、同人に支給した賞与は損金に算入することはできない。
昭和58年2月28日裁決
協同組合の専務理事に支給した賞与は役員賞与に該当するとした事例
裁決事例集 No.33 - 85頁
定款の定めによって選任された専務理事は、法人税法第35条第5項の規定により「使用人としての職務を有する役員」には該当しないから、その専務理事に支払われた賞与が一般使用人と同一の支給基準に基づく支払であるなどの事実が認められるとしても、これを損金の額に算入することはできない。
昭和62年5月12日裁決
請求人の使用人について経営に従事していたとは認められず、みなし役員に該当しないとして処分の全部を取り消した事例(平22.4.1から平24.3.31の各事業年度の法人税の各更正処分、平22.4.1から平23.3.31の法人税に係る過少申告加算税の賦課決定処分、平23.4.1から平24.3.31の法人税に係る過少申告加算税の賦課決定処分、平23.4.1から平24.3.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分(過少申告加算税の賦課決定処分をあわせ審理)、平成22年7月から平成23年12月の各期間分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及び不納付加算税の各賦課決定処分、平24.4.1から平25.3.31の事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分ほか・全部取消し、一部取消し、棄却・平成28年3月31日裁決)
《要旨》
原処分庁は、現代表者(E)が代表取締役に就任する前において、請求人の発行済株式の50%を超える株式を保有していたところ、Eが代表取締役として署名押印している契約書面があり、本件調査時に請求人から提出された文書の記載内容やEの申述からすれば、Eは法人税法施行令第7条《役員の範囲》第2号に規定する経営に従事しているものに該当し、法人税法第2条《定義》第15号の役員に該当する旨主張する。
しかしながら、代表取締役でなかったEが代表取締役として署名押印している契約書面があるからといって、代表者でない者が契約当事者になっているにすぎず、その内容も重要な業務に係るものとはいえないことから、経営に従事していたことを裏付けるものとまでは認められず、また、本件調査時に請求人から提出された文書及びEの申述の内容からでは、Eが人事や資金計画に関わっていたことについて、いつの時点においていかなる役割を担っていたのか明らかでなく、これを具体的に裏付ける証拠収集がなされていない。さらに、Eが請求人の経営に従事していたかどうかについて、役員や従業員に確認を行っておらず、経営に従事していたとする具体的な事実関係が証拠資料上明らかではない。そうすると、原処分庁が主張する事実をもって、Eが請求人の経営に従事していたと認めるに足りないといわざるを得ないから、代表取締役に就任する前においてEが法人税法上の役員に該当するとはいえない。
《参照条文等》
法人税法第2条第15号
法人税法施行令第7条第2号