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範囲
- 収益の帰属事業年度
- 益金の額の範囲及び計算
- 損失の帰属事業年度
- 損金の額の範囲及び計算
- 圧縮記帳
- 引当金
- 繰越欠損金
- 借地権の設定等に伴う所得の計算
- 特殊な損益の計算
- 適格合併
欠損会社である被合併法人が有していた航路権は営業権に該当すると認定した事例
裁決事例集 No.11 - 29頁
海上運送法による事業免許は一定の免許基準により運輸大臣がその免許の可否を決定することとなっており、厳格な規制に基づき事業を営む権利が取得されるものである。したがって、免許を受けた一定の航路において一般旅客定期航路事業を営むという航路権は、固有の経済的価値を有するものということができ、たとえ被合併会社が欠損会社であってもこの航路権を取得するために要した費用は営業権の対価として取り扱うのが相当である。
昭和51年3月27日裁決
欠損会社から有償取得した営業権の償却費について損金算入を認めた事例
裁決事例集 No.18 - 67頁
債務超過となっていた旧会社からの事業の譲受けに際して取得した営業権を償却したことについて、請求人は設立直後から大手工事会社の下請業者の中でも第1位の地位を保ち、相当の業績をあげているが、これは旧会社が特別の費用を投じたことにより親会社から得てきた工事施行能力等に対する信用度を請求人がそのまま引き継いだからにほかならず、この信用度が正に営業権と認められ、その営業権の取得価額も、旧会社が投じた特別の費用の見積額によっており妥当と認められるから、その償却費の損金算入を認めるのが相当である。
昭和54年7月13日裁決
営業店舗の賃借権の譲受価額には営業権に相当する額が含まれていないとした事例
裁決事例集 No.24 - 75頁
営業店舗の賃借権の譲受けに伴って営業権を取得したとの主張について、前賃借人の取扱商品と請求人の取扱商品は異なり、仕入先関係・従業員の引継ぎが全くなかったこと、譲受け時には閉店状態にあったこと、売買当事者間での譲渡価額の計算で営業権の積極的な評価がなかったことを総合して判断すると、前賃借人の営業をそのまま引き受けた営業譲渡とは認められず、譲受価額には営業権の取得価額は含まれていない。
昭和57年7月13日裁決
パチンコ遊技場経営に供されていた土地、建物の取得において営業権の取得があったとは認められないとした事例
裁決事例集 No.30 - 101頁
請求人は、本件土地、建物の譲受けに伴い、当該建物において営まれていたパチンコ営業に係る営業権の取得があったと主張するが、当該パチンコ営業については、[1]近年欠損続きであったこと、[2]超過収益力の要因となる事実が認められないこと、[3]請求人はその譲渡人の商号、取引先、従業員等を引き継いでいないので、営業の譲受けがあったとも認められないことから、本件営業権の取得の事実はなく、本件営業権に係る減価償却費の額の損金算入を認めなかった原処分は相当である。
昭和60年7月11日裁決
外国のオークションを通じて購入した本件テーブル等は、時の経過により価値が減少する資産に当たるとした事例
裁決事例集 No.42 - 102頁
外国のオークションを通じて購入したテーブル3脚及び電気スタンド8台は、[1]美術年鑑等に登載された作者により限定して制作されたものでないこと及び[2]美術館の照明器具や絵画購入者などの来客接待用として事業の用に供することによりその経済的価値は減少するものと認められることから、減価償却資産に当たるとするのが相当である。
平成3年12月18日裁決
一般貨物自動車運送事業の許可(青ナンバー権)を有する会社の売買に関し、当該会社が存続し、営業していること等から、買主に支払ったのは、会社の社員持分権の対価であって、営業権の対価ではなく、その支払額につき営業権として減価償却することはできないとした事例
請求人は、昭和59年に有限会社Gの代表者から、同社の有する一般貨物自動車運送事業の許可(いわゆる青ナンバー権)を売買により取得したとし、当時の有限会社Gは、運送用車両はもとより、従業員もなく、事業を行っていなかったのであるから、その当時、有限会社Gで唯一評価できるのは、青ナンバー権であり、請求人の支払った対価の対象目的物は、同社の有する青ナンバー権そのものであるので、これが営業権に該当することは明らかであると主張し、減価償却資産である営業権として経理したこと及び上記の額を減価償却費として損金の額に算入したことは、正当な会計処理である旨主張する。
ところで、法人が他の者から青ナンバー権を有償で承継取得し、これを自らの事業の用に供している事実があれば、適正な価格で営業権として資産計上すること及び任意償却をすることも当然認められる。
しかし、[1]有限会社Gは、解散等の事実はなく、現在まで継続している法人であること、[2]有限会社Gの出資金900万円の全部を請求人が有していること、[3]請求人は、有限会社Gに対し、所有していた貨物自動車を売却するほか、請求人の運送事業に係る顧客を移管し、同社は、運送事業を営んでいるが、請求人は、運送事業を営んでいる事実はないこと等が認められるのであるから、上記の売買の価格は有限会社Gの社員の持分の実勢価額と認められ、請求人は同社の社員の持分のすべてを取得したことにより、結果的に同社の青ナンバー権を支配しているに過ぎないのであるから、売買価額の全額が社員の持分の取得の対価として投資有価証券勘定に計上すべきものであり、その一部につき営業権の減価償却として損金の額に算入することはできない。
平成6年10月17日裁決
パチンコ遊技場業を営んでいる会社の売買に関し、当該会社の正味財産を超える金員を支払ったとしても、当該会社が存続し自ら営業をしていること等から、買主が支払ったその全額が当該会社の社員持分権の対価であって営業権の対価ではないことから、その支払額について営業権の取得の対価として減価償却をすることはできないとした事例
請求人は、パチンコ遊技場を営む有限会社の社員持分の全部をパチンコ遊技場経営の権利と併せて1億5,800万円で譲り受け、当該会社の正味財産が1,030万円余りであったことから、1,100万円を当該会社への出資金として経理処理をするとともに、正味財産を超える1億4,700万円は、当該超過収益力に係る無形の財産的価値の見積額であり、将来の請求人の営業利益によって償却されるべき営業権の取得価額にほかならないとして、無形の減価償却資産である営業権の取得の対価として経理し、本件各事業年度において営業権の減価償却費735万円を損金の額に算入したことは正当な処理である旨主張する。
しかしながら、当該会社は継続してパチンコ遊技場業の許可を有してその営業を営んでいること等からすると、請求人が将来の期待利益である超過収益力を得るために当該会社の営業権を取得し、自らの事業の用に供してパチンコ遊技場を営んでいる事実は認められないから、当該会社の正味財産を超える金員を営業権の取得の対価として経理処理し、営業権の減価償却費を損金の額に算入することはできない。
平成8年12月10日裁決
工事移転のために支出した費用のうち、既存設備の移転費用及び少額減価償却資産の取得費用は損金の額に算入されるとした事例
《要旨》
原処分庁は、新工場におけるエレベータ工事、電気設備工事、内装工事等の各工事費用(本件各工事費用)の金額が、機械及び装置、建物附属設備並びに建物として、減価償却資産の取得価額に該当し損金の額に算入できない旨主張する。
しかしながら、本件各工事費用には、既存の機械設備の移設に要した移転費用として、また、法人税法施行令第133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》に規定する少額の減価償却資産の取得価額として、損金の額に算入することが相当と認められる金額があるから、これらについては、原処分庁の主張は採用できない。
《参照条文等》
法人税法第2条第23号、第31条第1項及び第6項
法人税法施行令第13条、第54条第1項、第133条
法人税基本通達7−1−11
減価償却資産の耐用年数等に関する省令第1条
耐用年数の適用等に関する取扱通達1−1−3、2−2−2