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使用貸借に係る土地
- 評価の原則
- 土地及び土地の上に存する権利
- 家屋及び庭園設備
- 動産
- 取引相場のない株式
- 出資の評価
- 預貯金
- 貸付金債権等
- 預託金制のゴルフ会員権
- 施設建築物の一部の給付を受ける権利
- 構築物
親子間で使用貸借した土地の相続税評価額は自用地としての価額によるべきであるとした事例
裁決事例集 No.6 - 57頁
親子間の使用貸借について財産価値が認められないところ、被相続人所有の土地に相続人所有の家屋があったが、土地の使用関係については、相続人に借地権があると認めるに足る証拠もなく、単なる使用貸借関係であったことが認められるから、本件土地の相続財産の評価に当たっては、自用地として評価するのが相当である。
昭和47年12月22日裁決
贈与を受けた土地を贈与者に無償で使用させた場合のその土地の評価額は自用地の価額によるべきであるとした事例
裁決事例集 No.7 - 41頁
建物とその敷地を所有していた父がその土地を子に贈与し、その後父が当該土地を無償使用することとなった場合における当該土地に係る贈与価額の評価に当たっては、自用地として評価するのが相当である。
昭和48年12月8日裁決
使用貸借により貸し付けられている土地について、使用借人が賃貸建物の敷地として利用していても自用地の価額により評価するのが相当であるとした事例
裁決事例集 No.32 - 269頁
被相続人が相続人たる請求人に使用貸借により貸し付け、請求人が賃貸建物の敷地として利用していた本件宅地の価額は、一般に土地使用借人の敷地利用権が権利性の薄弱なることを理由に零と評価され、借家人の敷地利用権が土地使用借人の敷地利用権に従属し、その範囲内の権能にすぎないところから、本件宅地が自用のものであるとした場合の価額により評価するのが相当である。
昭和61年12月2日裁決
請求人の家屋が建築されている宅地は、以前請求人が地上権を有していたが、その建築前に地上権は抹消登記されており、かつ、地代の支払もないから、その貸借は使用貸借と認められ、自用地としての価額により評価するのが相当であるとした事例
裁決事例集 No.37 - 218頁
請求人が相続により取得した宅地の上には、請求人の家屋が建築されているが、[1]請求人が本件宅地の上に有していた地上権は、本件家屋が建築される前に抹消登記されていること、[2]本件宅地の賃貸借としての地代の支払が行われていないこと、[3]相続開始数年前、請求人等が本件土地の持分を贈与により取得した際に、請求人等は、本件土地の持分を自用地としての価額により評価し、贈与税の申告書を提出していること等から、被相続人と相続人との本件宅地の貸借は、使用貸借によるものと認められるので、本件宅地の価額は、自用地としての価額により評価することが相当と認められる。
平成1年6月22日裁決
被相続人と請求人との間における本件土地の貸借関係は賃貸借とはいえず使用貸借と認めるのが相当であるから、本件土地は自用地として評価すべきであるとされた事例
請求人は、本件土地は請求人が貸家の敷地として固定資産税等の1.7倍以上の地代を支払って借りていたものであるから貸宅地として評価すべきであるが、貸借に当たって、権利金の授受もないことから評価基本通達26(貸家建付地の評価)に定める程度に評価すべきであると主張する。
ところで、土地の貸借に当たって、当該土地の公租公課を負担する程度のものは使用貸借であると解されているところ、請求人は、本件土地を借り受けるに当たり賃貸借契約及び地代の取決めをせず、領収書のただし書には「固資税、都計税、S町3−718、R町1−909分」等と記載されているのみで、本件土地地代とは記載されておらず、請求人の不動産所得の青色申告決算書に支払地代として計上することなく、公租公課と計上していることが認められ、また、請求人が支払った額が本件土地の固定資産税等の1.7倍となっているのは、被相続人から負担の要求をされた、請求人が相続する予定の本件土地及びその他の土地の固定資産税等の合計額が当該価額になっているにすぎず、本件土地の使用対価としての性格のものとは認められないので、本件土地の貸借は使用貸借と認めるのが相当である。
そうすると、使用貸借による敷地利用権は、権利性の薄弱なものであり、経済的価値を有しないものと解され、また、借家人の敷地利用権は、建物所有者の敷地利用権に従属して、その範囲内での権能にすぎないと解されているので、本件土地の価額は、自用地としての価額から控除すべき建物所有者の敷地利用権の価額はないものとして算定するのが相当である。
平成8年3月29日裁決
関連会社の地上権の設定の有無について、本件は、当事者間の特殊な信頼関係に基づく土地の使用関係であって、地上権の設定の事実は認められないとした事例
請求人は、本件土地に関連会社の地上権が設定されているから、更地価格の10%の価額で評価すべきであると主張するが、被相続人と同社との間の本件土地の使用関係は、[1]貸借契約がないこと及び[2]権利金及び地代の授受の事実がないことから、当事者間における特殊な信頼関係に基づくものであって、本件土地について、同社が継続的に使用している事実は認められるものの、同社が当初から地上権行使の意思をもって使用していたと認めるに足る証拠はないので、結局、本件土地に同社の地上権の存在を認めることはできない。
また、同社に地上権が存在する旨の地裁判決については、当該訴訟の被告である請求人らが全く争わずに確定したものであり、請求人らが同社の意思決定権を有するものであることからすれば、時効取得という法的手段を用いて本件地上権の存在を確定させようとして、本件訴訟を同社に提起させ、被告が争わなかったことに起因するものであり、その訴訟を提起したこと自体が、相続税の軽減という動機を経済的、実質的に行為化したものと判断するのが相当である。
平成8年12月9日裁決