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山林
- 評価の原則
- 土地及び土地の上に存する権利
- 家屋及び庭園設備
- 動産
- 取引相場のない株式
- 出資の評価
- 預貯金
- 貸付金債権等
- 預託金制のゴルフ会員権
- 施設建築物の一部の給付を受ける権利
- 構築物
市街化調整区域内に所在する山林については、高圧線下にあることの影響は皆無であるとはいえないとしても、なおこれをしんしゃくすべき特段の理由があるとは認められないとした事例
請求人は、山林については租税特別措置法第70条の6(農地等についての相続税の納税猶予)の規定のような相続税の納税を猶予して租税負担を軽減する制度がない以上、本件高圧線下の土地の価額については、同土地が高圧線下であることにかんがみて50パーセント減額すべきである旨主張する。
しかしながら、本件各契約の内容、利用状況等から本件高圧線下土地の価額について検討すると、被相続人が本件高圧線下土地を山林として使用する上では制約がないこと及び本件土地は市街化調整区域内に所在するから、本来建物の建築自体が制約されており、仮に本件高圧線下土地に建物の建築が認められた場合は、高さ10.9メートル又は12.2メートルの建物が建築できるのであるから、この高さ制限は著しい制限とは認められないことから、本件高圧線下土地を評価するに当たり、高圧線下にあることの影響は皆無であるとはいえないとしてもなおこれをしんしゃくすべき特段の理由があるとは認められない。
平成10年9月30日裁決
傾斜度が30度を超える土地であることから財産評価基本通達に定める方式ではなく個別評価が相当である旨の主張を認めた事例
請求人は、甲土地については、傾斜度が30度を超える土地であることから評価通達に定める方式ではなく個別評価が相当であり、評価額はゼロである旨、乙土地については、不動産業者の買取見積り価額1億円による評価が相当である旨主張する。
しかしながら、甲土地はその形状等により、宅地開発する場合には多額の造成費を要すると見込まれ、仮に宅地に転用したとしても十分な地積を確保することができず、宅地としての客観的交換価値があると認めることはできない。そうすると宅地比準方式により甲土地を評価することは、その結果において適正な客観的交換価値と乖離する価額を導くことになるから、評価通達を適用して評価することには特に不都合と認められる特段の事情があると解するべきである。そして、甲土地の価額は、甲土地とその状況が類似する土地で本件相続開始日に近い時点において売買された土地の正常価格がその客観的な交換価値を正しく示すものと解すべきところ、本件譲渡土地の1あたりの価額983円に甲土地の地積124を乗じた価額である121,892円とするのが相当である。
乙土地については、評価通達の定めを適用して評価することに特に不都合と認められる特段の事情は認められないから、[1]正面路線価、[2]広大地及び有効宅地化率、[3]宅地造成費、[4]不整形地補正率のそれぞれについて評価通達の定めを適用して乙土地の価額を算定すると、102,594,240円となる。
平成14年3月27日裁決