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その他
- 評価の原則
- 土地及び土地の上に存する権利
- 家屋及び庭園設備
- 動産
- 取引相場のない株式
- 出資の評価
- 預貯金
- 貸付金債権等
- 預託金制のゴルフ会員権
- 施設建築物の一部の給付を受ける権利
- 構築物
[1]同族会社に対する貸付金、[2]仮名預金及び[3]土地の各財産の帰属について判断を示し、原処分の一部を取り消した事例
- 被相続人のJ社に対する貸付金が存在するか否かについて判断するに、[1]同社の平成2年5月期の決算報告書には、被相続人からの長期借入金及び短期借入金が計上されていたこと、[2]請求人らは、被相続人の同社に対する貸付金が存在することを前提として、Yや遺言執行者と遺産の分配に係る協議をしていたこと、[3]被相続人の同社に対する貸付金についての合意事項を定めた覚書はそのような協議を経て作成されたものであること、[4]同社は、相続開始後に同社の財産をもって被相続人からの借入金を返済する旨の取締役会決議をしていること、[5]当該取締役会決議に則した「仕訳」が同社の関与税理士によって作成されていること、[6]請求人らは、相続開始後に行われた税務調査で被相続人の同社に対する貸付金が申告漏れになっているとの指摘を受けた際、Yに対し、当該貸付金は合意書及び覚書によりYに帰属させたものであるから、Yが申告するべきである旨要求していることなどを総合すると被相続人の同社に対する貸付金は存在していたものと解するのが相当である。
- 仮名預金については、[1]仮名預金は、被相続人が生前架空名義で設定していた5億円の定期預金の一部であるところ、これは相続開始後に解約されているが、これら一連の手続はYにより行われていること、[2]P地裁の判決は、仮名預金について、その時期や目的はともかくとして遅くとも被相続人の死亡前に同人からYに対し、生前贈与ないし死因贈与がされたものと認められる旨判断していることから、被相続人の生前にYに贈与されたものと解するのが相当である。
- 土地については、J社の帳簿には計上されていないものの、登記簿上は同社名義となっていること、固定資産税は同社が負担していることなどが認められ、これらの事実によれば、特段の事情がない限り、土地の所有権は同社に帰属すると推認するのが相当である。
平成10年11月5日裁決
周知の埋蔵文化財包蔵地については発掘調査費用の額の80%相当額を控除して評価することが相当であるとした事例
本件各土地は、周知の埋蔵文化財包蔵地に該当すると認められるJ貝塚の区域内に所在し、実際にその一部に貝塚が存在していることから、宅地開発に係る土木工事等を行う場合には、文化財保護法第93条の規定に基づき、埋蔵文化財の発掘調査を行わなければならないことが明らかである。しかも、その発掘調査費用は、その所有者(事業者)が負担することになり、その金額も、発掘調査基準に基づき積算したところ約○億円もの高額になる。そうすると、上記宅地開発における埋蔵文化財の発掘調査費用の負担は、一般的利用が宅地であることを前提として評価される本件各土地において、その価額(時価)に重大な影響を及ぼす本件各土地固有の客観的な事情に該当すると認められ、本件各土地に接面する路線に付されている路線価は、周知の埋蔵文化財包蔵地であることを考慮して評定されたものとは認められず、また、財産評価基本通達上に発掘調査費用の負担に係る補正方法の定めも認められないことから、本件各土地の評価上、当該事情について、所要の検討をするのが相当である。そして、周知の埋蔵文化財包蔵地についての発掘調査費用の負担は、土壌汚染地について、有害物質の除去、拡散の防止その他の汚染の除去等の措置に要する費用負担が法令によって義務付けられる状況に類似するものと認められる。土壌汚染地の評価方法については、課税実務上、その土壌汚染がないものとして評価した価額から、浄化・改善費用に相当する金額等を控除した価額による旨の国税庁資産評価企画官情報に基づく取扱いをしているところ、これは、土壌汚染地について、土壌汚染対策法の規定によってその所有者等に有害物質の除去等の措置を講ずる必要が生じその除去等の費用が発生することなどの要因が、当該土壌汚染地の価格形成に影響を及ぼすことを考慮したものであり、この取扱いは当審判所においても相当と認められる。そこで、本件各土地に存する固有の事情の考慮は、類似する状況における土地評価方法についての取扱いを明らかにした本件情報に準じて行うものとし、本件各土地は、本件各土地が周知の埋蔵文化財包蔵地ではないものとして評価した価額から、埋蔵文化財の発掘調査費用の見積額の80%に相当する額を控除した価額により評価することが相当と認められる。
平成20年9月25日裁決
評価対象地は、道路等の公共公益的施設用地の負担が必要であるとは認められないから、財産評価基本通達24-4に定める広大地に該当しないとした事例(平成23年11月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し・平成27年11月25日裁決)
《ポイント》
本事例は、評価対象地について道路等の公共公益的施設用地の負担を必要としない開発想定図は接道状況を踏まえた経済的に合理的な開発想定図と認められ、道路の接続状況が評価対象地と明らかに異なる開発事例は評価に当たり比較すべき開発事例とは認められず、また、評価対象地の相続開始日後の開発形態のみにより経済的に最も合理的と認められる開発であるか否かを判断することは相当でないと判断したものである。
《要旨》
請求人らは、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》(広大地通達)に定める開発行為を行うとした場合における公共公益的施設用地の負担が必要か否かの判断について、分譲が販売である以上、購入者側のニーズや需要という経済的合理性に応えた上でのものでなければならず、請求人らが相続により取得した土地(本件土地)は、請求人らの開発想定図又は分譲完了直前図のように道路を設置することにより、宅地としての財産価値が高まり、経済的に最も合理的な分譲ができることから、広大地通達に定める広大地に該当する旨主張する。
しかしながら、本件土地について道路等の公共公益的施設用地の負担を必要としない原処分庁の開発想定図は、本件土地の広大地通達に定めるその地域(本件地域)における標準的な宅地の地積に、本件土地がその四方を幅員約6mないし約8mの公道に面している接道状況を踏まえたものであり、同図の各区画には、間口距離、奥行距離及びその形状も特段不合理とする点は認められないこと、
本件土地の所在する地域及びその周辺地域において、相続開始日前おおむね10年以内に行われた戸建住宅用地としての開発は4事例が認められ、いずれも道路の設置を伴う開発であるところ、これら開発事例の土地は公道と面していないなど道路の接続状況が本件土地と明らかに異なるとして、いずれも本件土地の評価に当たり比較すべき開発事例とは認められないことからすると、本件土地は、戸建住宅の敷地として都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に道路等の公共公益的施設用地の負担が必要であるとは認められないから、広大地通達に定める広大地に該当しない。また、本件土地は、相続開始日から約1年5か月を経過した頃に実際に道路が設置された開発が行われているが、本件土地の相続開始日後の開発形態のみにより、本件土地について相続開始日において開発行為を行うとした場合に道路の設置を伴う開発が経済的に最も合理的と認められる開発であるか否かを判断することは相当でない。
《参照条文等》
相続税法第22条
財産評価基本通達24-4
審判所認定地域が各土地に係る広大地通達に定める「その地域」に当たると判断した事例(平成24年5月相続開始に係る相続税の各更正の請求に対する各更正処分・全部取消し・平成28年9月26日裁決)
《ポイント》
本事例は、各土地の地域に係る土地の利用状況及び周辺地域の状況等の事情を総合勘案して、審判所認定地域が各土地に係る広大地通達に定める「その地域」に当たると判断したものである。
《要旨》
原処分庁は、請求人らが相続(本件相続)により取得した各土地(本件各土地)の財産評価基本通達24-4《広大地の評価》(広大地通達)の適用につき、広大地通達に定める本件各土地の「その地域」は、原処分庁の主張する地域(原処分庁主張地域)は用途地域が工業地域に指定され、工場、事務所、戸建住宅及び駐車場等が混在する地域であるのに対し、その周囲は用途地域が第一種住居地域と指定されており、戸建住宅を中心とする地域であることから、本件各土地に係る「その地域」は原処分庁主張地域の用途地域、すなわち工業地域である旨主張する。
しかしながら、原処分庁主張地域において、本件相続の開始前20年間に工場の新築はなく、工場として利用されている戸数の割合は僅かであること、
良好な住宅地としての発展等を目的とした土地区画整理事業が施行されたこと、
本件各土地の所在する地方自治体の都市計画の方針により、住居系の土地利用への誘導が図られていることを踏まえると、本件各土地の所在する地域(本件地域)における土地の標準的な使用は工場用地から住宅用地に移行しつつあるものと認められる。そして、
本件地域は戸建住宅や共同住宅の建築において用途制限に差のない第一種住居地域に定められた地域(本件周辺地域)に囲まれるように存しており、容積率及び建ぺい率も同一であること、
本件地域及び本件周辺地域(審判所認定地域)の東側には川幅約8mの川が流れており、これを境に土地の利用状況が異なることなどの事情を総合勘案すると、審判所認定地域が本件各土地に係る広大地通達に定める「その地域」に当たると認めるのが相当である。
《参照条文等》
相続税法第22条
財産評価基本通達24-4
本件各土地は利用価値が著しく低下していると認められることから、財産評価額から10%を減額して評価すべきであり、本件意見価額は客観的な根拠が何ら示されておらず、請求人の主張には理由がないとした事例(平成26年7月相続開始に係る相続税の更正の請求に対する通知処分・一部取消し・平29年4月7日裁決)
《ポイント》
本事例は、本件各土地の現況を的確に確認した上で、本件各土地は一体として利用されているとは認められず、畑と宅地ごとにそれぞれ一の評価単位として評価すべきであること、また、本件各土地は利用価値が著しく低下しているから、本件各土地の財産評価額から10%を減額して評価することが相当であるとしたものである。
《要旨》
請求人が、相続で取得した畑及び各宅地(本件各土地)の評価は不動産業者の作成した意見書による価額(本件意見価額)によるべきであるとして更正の請求をしたことに対し、原処分庁が、更正をすべき理由がない旨の通知処分をしたところ、請求人は、本件各土地の評価に当たって、本件各土地が無道路地であり、がけ地を含む上、公道から本件各土地まで重機が届かないという制約のために本件各土地の上の建物を取り壊すことができないなどの事情を考慮すべきであるから、本件意見価額を踏まえると、財産評価基本通達の定めにより算定した価額(財産評価額)からの減額割合を60%とすべきである旨主張する。
しかしながら、本件意見価額は、本件各土地の周辺の取引相場の裏付けを欠く上、具体的な数値や客観的な根拠が何も示されておらず、適正な時価を示しているとはいえないため、請求人の主張には理由がない。なお、本件各土地は、本件各土地の周辺の一連の土地との高低差を比較検討すると著しい高低差があり、その利用価値が付近にある他の土地の利用状況からみて著しく低下していると認められることから、国税庁ホームページのタックスアンサー「NO.4617利用価値が著しく低下している宅地の評価」の取扱いにより、本件各土地の財産評価額から10%を減額して評価するのが相当である。また、本件各土地は一体の土地として利用されているとは認められないことから、畑と宅地ごとにそれぞれ一の評価単位として評価すべきである。
《参照条文等》
相続税法第22条
財産評価基本通達7、7-2
請求人らが相続により取得した土地のうち、集合住宅の敷地の用に供されている土地は開発行為を了し、既に有効利用されていることから、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》に定める広大地には該当しないが、被相続人の居宅の敷地の用に供されている土地は、開発行為を想定した場合、公共公益的施設用地の負担が必要と認められるから当該広大地に該当すると判断した事例(平成24年6月相続開始の相続税の各更正の請求に対する各更正処分・一部取消し・平成30年9月20日裁決)
《ポイント》
本事例は、集合住宅の敷地の用に供されている土地については、集合住宅の入居率や利用可能期間からすれば、近い将来新たな開発行為を行う必要は認められず、集合住宅の敷地として既に有効利用されているといえるから広大地には該当せず、一方、被相続人の居宅の敷地の用に供されていた土地については、合理的な開発を行うことを想定した場合、公共公益的施設用地の負担が必要であると認められるから広大地に該当すると判断したものである。
《要旨》
請求人らは、相続により取得した集合住宅(本件集合住宅)の敷地の用に供されている土地(本件1土地)及び被相続人の居宅の敷地の用に供されていた土地(本件2土地)の所在する周辺地域における標準的使用は戸建住宅の敷地であるから、本件1土地及び本件2土地は財産評価基本通達24-4(平成29年9月20日付課評2-46ほかによる改正前のもの)《広大地の評価》に定める広大地(広大地)に該当する旨主張する。
しかしながら、本件1土地上に存する本件集合住宅は、入居率100%を実現していたと認められる上、今後相当の期間利用することができるものと認められることからすると、近い将来において新たな開発行為を行う必要があるなどの特段の事情は認められないから、本件1土地は本件集合住宅の敷地として現に有効に利用されているといえ広大地には該当しない。一方、本件2土地については、原処分庁が主張する開発想定図によれば、本件私道に隣接する各土地に道路を拡幅したとしても、集合住宅の入居者の駐車場の移設が必要となること、
道路用地に本件土地を取得した相続人以外の相続人の所有権が及ぶこと、
借家人の立ち退きが必要となることなどが考えられ、これらの事情を考慮すると原処分庁の開発想定図は合理性があるものとは認められず、請求人らが主張する開発想定図は、本件土地の所有者以外の者の所有権や賃借権を侵害するような事情はないことなどを考慮すると、合理性があるものと認められ、本件土地を開発する場合、公共公益的施設用地の負担が必要であることから、本件2土地は広大地に該当する。
《参照条文等》
財産評価基本通達24-4
《参考判決・裁決》
平成23年4月21日裁決(裁決事例集No.83)
平成23年9月5日裁決(裁決事例集No.84)
審判所認定地域が各土地に係る広大地通達に定める「その地域」に当たると判断した事例(平成25年10月相続開始に係る相続税の更正の請求に対する更正処分・一部取消し・平成30年11月26日裁決)
《ポイント》
本事例は、各土地の存する地域に係る土地の利用状況及び周辺地域の状況等の事情を総合勘案して、審判所認定地域が各土地に係る広大地通達に定める「その地域」に当たると判断したものである。
《要旨》
請求人は、相続した土地及び取引相場のない株式の発行会社の有する借地権(本件各土地等)について、本件各土地等の存するその地域における標準的な宅地の使用は戸建住宅の敷地で、
その標準的な地積は110㎡ないし120㎡であり、
本件各土地等はその標準的な地積に比して著しく広大であり、戸建住宅の敷地として分割して使用する場合、いずれも潰れ地が生じることになるから、財産評価基本通達(平成29年9月20日付課評2-46ほかによる改正前のもの)24-4《広大地の評価》(広大地通達)に定める広大地に該当する旨主張し、原処分庁は、本件各土地等の存するその地域における標準的な宅地の地積は700㎡程度であり、本件各土地等の経済的に最も合理的な使用は、700㎡程度の工場等の敷地として使用することであるから、広大地通達に定める広大地に該当しない旨主張する。
しかしながら、広大地通達に定めるその地域とは、土地の利用状況の連続性や地域の一体性を分断して土地利用上の利便性や利用形態に影響を及ぼすことがあり得る客観的な事情を総合勘案し、利用状況、環境等がおおむね同一と認められる、ある特定の用途に供されることを中心としたひとまとまりの地域を指すものと解されるところ、本件各土地等の存する地域は、その利用状況及び環境等からみて、幅員の広い幹線道路沿いの地域(本件1地域)とそれ以外の地域(本件2地域)に区分され、本件1地域における標準的な使用は中小の工場の敷地であり、その標準的な地積は670㎡程度であると認められる。一方、本件2地域における標準的な使用は戸建住宅の敷地であり、その標準的な地積は110㎡程度であると認められる。そうすると、本件各土地等の属する地域のうち、本件1地域に存する土地については、地積及び位置等からみて、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく広大な土地とは認められず、広大地には該当しないが、本件2地域に存する土地については、経済的に最も合理的な使用は戸建住宅の敷地であり、標準的な地積に比して著しく広大な土地であって、その開発には潰れ地が生じることから、広大地に該当するものと認められる。
《参照条文等》
相続税法第22条
商業施設の敷地等として一体で使用(又は潰れ地が発生しないように区分して使用)することが経済的に最も合理的であると認められるため、広大地に該当しないとした事例(平成26年3月相続開始に係る更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の各通知処分及び重加算税又は過少申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し・令和2年3月17日裁決)
《ポイント》
本事例は、本件地域に存する土地の経済的に最も合理的な使用は、幹線道路沿いの駐車場を備えた商業施設(いわゆるロードサイド店舗)の敷地としての使用であると認められ、A土地は、地積が大きく、駐車場を備えた商業施設の敷地として使用することが可能な土地であり、現に、相続前から駐車場を備えた商業施設の敷地として一体で使用されていることからすると、A土地の経済的に最も合理的な使用は駐車場を備えた商業施設の敷地として一体で使用することであり、潰れ地が生じない場合に該当すると判断したものである。
《要旨》
請求人らは、相続により取得したA土地及びB土地(本件各土地)について、いずれも財産評価基本通達(平成29年9月20日付課評2-46ほかによる改正前のもの)24-4《広大地の評価》(広大地通達)に定める広大地に該当する旨主張する。
しかしながら、請求人らの主張する広大地通達に定める「その地域」は、交通量の多い幹線道路沿いの地域と当該道路沿いでない地域を一つの地域とし、また、用途地域、建蔽率及び容積率がいずれも異なる二つの地域を一つの地域としていることから、広大地通達の趣旨に照らして、ある特定の用途に供されることを中心としたひとまとまりの地域と認めることはできない。そして、当審判所が認定した「その地域」(本件地域)における宅地の標準的な使用である駐車場を備えた商業施設の敷地5画地の平均地積は1,190㎡程度であることからすると、本件地域における「標準的な宅地の地積」は1,190㎡程度であると認められるから、B土地(1,190.61㎡)は広大地通達に定める標準的な地積に比して著しく地積が広大な土地とは認められず、また、本件地域に存する土地の経済的に最も合理的な使用は、幹線道路沿いの駐車場を備えた商業施設(いわゆるロードサイド店舗)の敷地としての使用であると認められ、A土地(2213.77㎡)は、地積が大きく、駐車場を備えた商業施設の敷地として使用することが可能な土地であり、現に、相続前から駐車場を備えた商業施設の敷地として一体で使用されていることからすると、A土地の経済的に最も合理的な使用は駐車場を備えた商業施設の敷地として一体で使用することであり、潰れ地が生じない場合に該当する。したがって、本件各土地はいずれも広大地通達に定める広大地に該当しない。
なお、B土地の評価に当たり、適用する奥行価格補正率が誤っていたため、原処分の一部を取り消した。
《参照条文等》
相続税法第22条
広大地の判定に当たり、開発許可面積基準を満たさないことをもって直ちに広大地に該当しないとすることはできないとした事例
《ポイント》
本事例は、広大地の判定に当たり、開発許可面積基準を指標とすることに合理性はあるものの、当該基準を満たさないことをもって直ちに広大地に該当しないとすることはできず、評価対象地の経済的に最も合理的な使用は道路を開設して戸建住宅の敷地とする開発を行うことであるなどとして、評価対象地は広大地に該当すると判断したものである。
《要旨》
原処分庁は、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》に定める広大地に該当するか否かの判定に当たり、評価対象地(本件土地)は共同住宅の敷地として利用されており、現に有効利用されていること、
その地域における標準的な宅地の面積に比して著しく地積が広大かについては、指標となる各自治体が定める開発許可を要する面積基準(開発許可面積基準)を満たすか否かにより判断すべきであること、
本件土地は、路地状開発をすることができ、公共公益的施設用地の負担が必要とは認められないことから、本件土地は広大地に該当しない旨主張する。
しかしながら、その地域における標準的な宅地の使用は、戸建住宅の敷地としての利用であるから、本件土地は、現に宅地として有効利用されているとは認められないこと、
広大地の判定に当たり、開発許可面積基準を指標とすることに合理性はあるものの、当該基準を満たさないことをもって直ちに広大地に該当しないとすることはできないこと、また、
本件土地の経済的に最も合理的な使用は、道路を開設して戸建住宅の敷地とする開発を行うことであると認められることから、広大地に該当する。
《参照条文等》
相続税法第22条
財産評価基本通達24-4