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請負収入
- 収益の帰属事業年度
- 益金の額の範囲及び計算
- 損失の帰属事業年度
- 損金の額の範囲及び計算
- 圧縮記帳
- 引当金
- 繰越欠損金
- 借地権の設定等に伴う所得の計算
- 特殊な損益の計算
- 適格合併
原石運搬工事の損益計上時期は単位当たりの作業量の検収、すなわち役務の提供の完了の時であるとした事例
裁決事例集 No.22 - 105頁
物の引渡しを要しない請負による損益は、原則的には役務の提供が終わった時期をもって計上の時期であると解されるところ、本件原石運搬工事の性格及び内容は原石の運搬及びこれに付随する諸作業を契約作業量に見合うだけ反復継続的に提供するものであるから、単位当たりの作業量の検収が、すなわち役務の提供の完了を意味するものであり、これをもって損益計上の基準とすべきものであるので、日々の作業量の検収を基準に、部分的、区分的に役務の提供が完了するものであるとした原処分は相当である。
昭和56年8月19日裁決
商社経由のプラント輸出取引における機器類の販売に係る収益を契約プラントの完成引渡しの日に計上した会計処理を相当であるとした事例
裁決事例集 No.32 - 181頁
プラント契約上の契約当事者は、国内商社と外国の公団であるが、本件プラント取引の実態をみると、国内商社は、商社金融、輸出入手続等の総合商社機能を担当し、請求人は、プラント機器の調達と契約プラントの企画、設計から連続運転までの各段階での総合的技術供与(総合エンジニアリング)を担当したとみるのが相当であり、請求人の履行すべき業務が、国内商社に対する機器類の引渡しでもっていったん終了したと考えることは取引実態に適合しているとはいい難く、請求人の調達した機器類が製造プラントとして所定の性能を発揮しはじめて本件プラント取引が終了したとみるべきであるから、当該機器類の販売に係る収益の計上時期は、請求人が契約プラントを完成して外国の公団に引き渡した日とするのが相当である。
昭和61年12月16日裁決
期末現在において未収になっている工事代金等は、損害賠償請求権を行使し、その支払いを受けるべきことが確定した事業年度の益金ではなく、請負工事の完了した日の属する事業年度の収益であるとされた事例
請求人は、本件請負工事等を発注したF遺跡調査会は本件請負工事代金等を支払わないまま解散しており、請求人が本件請負工事代金等相当額を得るためには、F遺跡調査会に工事等を委託していたP市又はF遺跡調査団の調査主任であったHに対して損害賠償をするしかないことからすると、本件請負工事代金等相当額の収益計上時期は、工事等を行った事業年度ではなく法人税基本通達2−1−37に規定するように、損害賠償金の支払いを受けるべきことが確定した日又はその支払いを受けた日を含む事業年度である旨を主張する。
しかしながら、[1]本件請負工事等は、いずれも請求人において本件事業年度中に実際に施工等が行われ、完了し、引渡しを了していること、[2]本件請負工事等に係る原価が、本件事業年度の請求人の所得の金額の計算上損金の額に算入されていること、[3]本件請負工事等については、出来高払いの契約であったと認められること、[4]本件工事等のうち請求人において収益に計上済の工事もあるが、それらはいずれも月単位で請求され月単位で収益に計上されており、また、請求人が請け負った他の工事についても月単位で計算する商慣習となっていたことが認められることからすれば、本件請負工事代金等相当額が請求人のもとに入金されていたかどうかにかかわらず、本件請負工事代金等は、本件請負工事等の完了した日の属する本件事業年度の収益と解するのが相当である。
平成11年6月28日裁決
工事は完了したが代金が未確定の場合、事業年度終了の日の現況によりその金額を適正に見積もるとした事例
《要旨》
請求人は、請け負った施設等の修繕工事(本件工事)については事業年度末にその一部が完了しておらず、引渡しもしていないこと、また、本件工事の契約も解除されたことから工事代金の確定もなく、収益計上できない旨主張する。
しかしながら、当該事業年度末までには本件工事は完了して施設が稼働し相手先にて使用収益されていると認められる。そして、工事代金が未確定の場合には事業年度終了の日の現況により適正に見積もることが相当とされるところ、請求人は本件工事に係る原価明細書を相手先に提示しており、その提示額は代金の見積額として合理的と認められるから、当該金額を当該事業年度の益金の額に算入すべきである。
《参照条文等》
法人税法第22条第2項
法人税基本通達2−1−4、2−1−5、2−1−7