所得金額の計算

通常の商品販売

  1. 収益の帰属事業年度
    1. 通常の商品販売(3件)
    2. 委託販売
    3. 請負収入
    4. 仲介手数料収入
    5. 役務提供による収入
    6. 土地建物等の譲渡収入
    7. その他の譲渡収入
    8. 賃貸料収入
    9. 利息収入
    10. 債務免除益
    11. 契約金収入
    12. 名義書換料収入
    13. 過年度損益修正
    14. 帳簿締切日との関係
    15. 違約金収入
    16. 損害賠償金
    17. 権利変換に伴う収入
  2. 益金の額の範囲及び計算
  3. 損失の帰属事業年度
  4. 損金の額の範囲及び計算
  5. 圧縮記帳
  6. 引当金
  7. 繰越欠損金
  8. 借地権の設定等に伴う所得の計算
  9. 特殊な損益の計算
  10. 適格合併

輸出取引に係る収益計上基準として船荷証券引渡基準(荷為替取組日基準)は公正妥当な会計処理の基準として相当なものとはいえず、船積日基準によるのが相当であるとした事例

裁決事例集 No.32 - 170頁

 請求人は、船荷証券は商品を表象する有価証券であって、その引渡しによって商品の所有権が移転するものであるから、船荷証券を荷為替手形に添付して銀行に引き渡す日を商品の引渡しの日とする船荷証券引渡基準は法人税基本通達に定める引渡基準に該当すると主張するが、船荷証券引渡基準は、貿易慣習における所有権及び危険負担の移転時期に合致しない基準であり、また、売主は荷為替手形を銀行に売り渡すことにより、初めて輸出商品に対する所持・支配を失うものでなく、しかも、引渡しの時期を比較的自由に決定できるし意性が入り込む余地があるものであるから、公正妥当な会計処理の基準として相当とはいえない。
 結局、商品の占有移転の時期及び経理実務の慣習からみて、輸出取引の収益計上基準としては、船積日基準によるのが相当である。

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競走馬の売買に係る収益の計上の時期は、業界の取引慣行に照らし、売買代金の全額を受領した時とするのが相当であるとした事例

裁決事例集 No.43 - 191頁

 たな卸資産である競走馬の売買後も引き続き売主の管理の下に飼育、調教等が行われる場合において、売主が売買代金の全額を受領した時を当該競走馬の引渡しの時期とし、この時をもって収益を計上するものとして、継続してこれに基づく会計処理が行われる限り、その収益計上基準は業界の取引慣行に照らし公正妥当なものと認めるのが相当である。

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請求人の取引形態は、委託販売ではなく買戻条件付販売と認められるから、取引先への納入済み商品につき期末売掛金として当該事業年度の売上金額に加算することは相当である。また、これに伴い、前事業年度末の売掛金を認定し、売上金額から控除すべきであるとした事例

裁決事例集 No.46 - 124頁

 出版業を営む請求人は、売上げについて、法人税基本通達2−1−3の委託販売としての経理処理を継続的に行っているのであるから、委託販売による計算書未着分は売上げに計上する必要はないと主張する。
 しかし、出版業において、通常、委託販売とよばれる取引は、出版社が取次店に対して見込み数量により出版物を送付し、取次店は売れ残り品を返品するという特約のある販売形態であり、基本通達にいう委託販売ではなく、買戻条件付販売である。
 請求人の取引も、取次店との約定書等に照らし、買戻条件付販売と認められる。
 なお、請求人は委託販売としての経理処理をしていない。
 したがって、事業年度末における取引先への納入済み商品につき、期末売掛金として本件事業年度の売上金額に加算することは相当である。
 請求人は、仮に買戻条件付売買であるとした場合、前事業年度末の売掛金残高を本件事業年度の売上金額から控除すべきであると主張するが、本件事業年度の売上金額を算定する場合には、年度中の入金額に年度末の売掛金の額を加算した金額から、前事業年度末の売掛金残高を控除すべきであると認められる。
 これにより、所得金額を計算すると、その額は修正申告の額に満たないので、更正処分はその全部を取り消すべきである。

(注)請求人の修正申告は、前事業年度末における取引先への納入済み商品を期末棚卸として減算していなかった。

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