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報酬との区分
- 収益の帰属事業年度
- 益金の額の範囲及び計算
- 損失の帰属事業年度
- 損金の額の範囲及び計算
- 圧縮記帳
- 引当金
- 繰越欠損金
- 借地権の設定等に伴う所得の計算
- 特殊な損益の計算
- 適格合併
親会社からの受入外人役員に支給した子女教育費について役員賞与であるとした事例
裁決事例集 No.10 - 34頁
支給される子女教育費が、臨時的な給与であるかどうかは、受給者における使途とは関係なく、支給の実態により判断すべきところ、請求人が外人役員に対して支給した本件子女教育費は、毎月規則的に、継続して支給されるものではなく、年1回ないし2回支給されており、また、その具体的な数額は支給時に確定するものと解される。従って、支給されたその金員は臨時的な給与、すなわち役員賞与に該当すると認められ、損金の額に算入することはできない。
昭和50年9月6日裁決
期中に増額しそ及して支給した役員報酬は賞与に当たるとした事例
裁決事例集 No.14 - 21頁
請求人は、当事業年度において役員報酬を2回にわたり増額し、2回目の増額に際しては3か月そ及して支給することとし、その増額分は各受給者に支給することなく請求人に貸し付けたこととしている。また、同増額分については、その後継続して支給されておらず後に大幅に減額していること、本件2回にわたる増額がいずれも適式な株主総会等の決議によるものでないこと等の事実が認められる。これらの事実を併せ考えると、請求人は当事業年度がたまたま好況であり、予想を上回る収益が確実視されるに至ったところから、当事業年度の利益調整を意図してこれらの報酬を支給したものと思われ、特にそ及して支給したことについて、他に合理的な理由を見出すことができない。したがって、そ及して支給した当該増額差金はあらかじめ支給基準の定めのない臨時的な給与に当たるものというほかはなく、これを役員に対する賞与であると認定した原処分は相当である。
昭和52年7月5日裁決
期末に一括支給した役員報酬の増額改定差額は臨時的な給与であり役員賞与に該当するとした事例
裁決事例集 No.23 - 146頁
請求人が当事業年度の取締役会において役員報酬を既往の月分にさかのぼって増額改定することを決議し、これに基づいて当事業年度末に一括支給した本件追加支給額は、役員別の具体的支給額の決定を一任されている役員が報酬の定例支給日までにこれを決定していなかったことなどからあらかじめ定められた支給基準に基づいて支給された給与と認めることができず、たとえ過去における役員報酬の減額部分を補てんする目的で追加支給したとしても、年度末に一括支給した支給形態からみて臨時的な給与であることに変わりなく役員賞与に該当する。
昭和57年1月19日裁決
給料手当勘定に含めて支出した金員は慶弔費等の支払に充てられた事実はなく役員賞与に該当するとした事例
裁決事例集 No.31 - 114頁
請求人は、会計処理上給料手当勘定に含めて支出した本件給与の額は全額取引先関係者に対する慶弔費及び販売促進費の支払に充てたものであると主張するが、本件給与の額がこれらの支払に充てられた事実を認めるに足りる証拠はなく、代表者の個人的消費に充てられたものと推認されるから、その全額が代表者に対し給与として支給されたと認めるのが相当であり、その支出の時期、回数、金額及び趣旨等からすれば、役員賞与に該当すると認めるのが相当である。
昭和61年6月18日裁決
役員給与の一部の金額を未払金に計上した上、従業員に対する賞与の支給時期に支払った場合、当該金員は役員賞与に該当するとした事例
裁決事例集 No.37 - 174頁
役員に支給された給与が報酬となるか、賞与となるかは、実際に支給された給与が定期的な給与か、臨時的な給与かという支給形態ないし外形によって判断すべきところ、[1]本件役員報酬について、あらかじめ定められた支給基準に基づいて定時にその全額を支払うことができないとする特段の事情もないこと、[2]毎月の役員報酬の一部を未払金とし、その額をおおむね盆、暮れの従業員に対する賞与の支給期に支払っていること、[3]賞与の支給期に支払った金額は、未払金残高を超える金額であることから、未払金勘定に赤字が生じているが、当該赤字の金額を各事業年度の期末においては、その残高がちょうど零円となるように、その後の当該役員報酬の未払金で補てんしていること等から判断すると、当該未払金は、当初から役員賞与として支給すべきものを形式的に定期の給与にしたものにすぎない。
平成元年6月7日裁決
法人が役員に支給した一時金が定期の給与となる歩合給でなく役員賞与に当たるとした事例
裁決事例集 No.39 - 255頁
法人がその役員に対して、月俸、年俸等の固定給のほかに歩合給又は能率給を支給している場合において、これらの支給が使用人に対する支給基準と同一の基準によっているときは、これらの給与は法人税法第35条第4項に定める臨時的な給与としないで定期の給与とするのが相当と解されるところ、本件役員に対して、収入保険料に基づく歩合給は毎月支給されていないし、本件一時金の額は同人らの収入保険料の実績額に基づいて算定されていないから歩合給ではなく、かえって、一時金の支給を受けていない他の使用人については同時期に賞与を支給しているから、本件一時金は夏期、冬期、決算期等通常賞与を支給すべき時期に、一時金の名目で支給した臨時的な給与すなわち賞与に該当する。
平成2年6月19日裁決
取締役会の決議に基づき期首にそ及して支給することとした役員報酬の増額改訂差額は、役員賞与に該当するとした事例
裁決事例集 No.39 - 268頁
法人税法上役員に支給される給与が報酬となるか賞与となるかは、実際に支給される給与が定期の給与か臨時的な給与かという支給の形態をもって判断することとなり、請求人は、役員に対し毎月規則的に反復継続して給与を支給しているから当該金額をもって役員報酬と認めるのが相当であり、請求人が取締役会の決議に基づき未払として一括損金の額に算入した改訂差額は、役員賞与と認めるのが相当である。
平成2年4月24日裁決
役員報酬の一部を未払金として経理し、その未払金を一般の賞与支給時期に支払うなどしていた事例につき、当該未払金に相当する金額は、臨時的な給与と認められ、役員賞与に該当するとした事例
請求人は、会計処理上給料手当勘定に含めて支出した本件給与の額は全額取引先関係者に対する慶弔費及び販売促進費の支払に充てたものであると主張するが、本件給与の額がこれらの支払に充てられた事実を認めるに足りる証拠はなく、代表者の個人的消費に充てられたものと推認されるから、その全額が代表者に対し給与として支給されたと認めるのが相当であり、その支出の時期、回数、金額及び趣旨等からすれば、役員賞与に該当すると認めるのが相当である。
平成6年4月15日裁決
毎月の役員報酬の一部を未払計上し、当該未払額を使用人の賞与の支給時期に支払った場合に、当該未払額は法人税法第35条に規定する役員賞与に当たるとした事例
法人税法第35条第4項に規定する「臨時的な給与」の意義については、法令に格別の規定はないが、同項が、「毎年所定の時期に定額を支給する旨の定めに基づいて支給される給与」も「臨時的な給与」に含まれ得ることを前提として、「他に定額の給与を受けていない者」に対し支給したものについてこれを「臨時的な給与」のうちから除外していること並びに社会通念によって考えれば、単に当該給与の支給時期又は支給額が予め定められているか否かのみによって一律に決まるものではなく、その支給時期、支給回数及び支給の趣旨等を、年間のその他の給与の支給状況全体との関連において考察し、これによって当該給与が経常性のない一時的なものと認められるときは、同項に規定する「臨時的な給与」に該当するものと解するのが相当である。
これを本件についてみると、本件未払金勘定貸方計上額は、その支給時期及び支給回数が使用人の賞与の支給日及び支給回数と同じであることからすると、その全額が経常性のない一時的なものと認めるのが相当であること、
平成17年7月計上額は、その計上日にその全額が各役員に対し支給されているところ、同人らに対する同月の前3か月及び後4か月の各支給額が、それぞれ定額であることからすると、同人らに対する各支給額のうち当該各定額を超える額は、支給状況全体との関連から、経常性のない一時的なものと認めるのが相当であること、
平成17年12月計上額のうちHに係る計上額は、その計上日にその全額が同人に対し支給されているところ、同人に対する同月の前後3か月の各支給額が定額であることからすると、同人に対する支給額のうち当該定額を超える額は、支給状況全体との関連から、経常性のない一時的なものと認めるのが相当であること、
平成17年12月計上額のうちE、G及びFに係る各計上額は、その計上日にその全額が同人らに対し支給されているところ、同人らに対する同月の前4か月の各支給額が上記
のとおり定額であり、また、同人らに対する同月の後7か月の各支給額も、それぞれ定額であることからすると、同人らに対する各支給額のうち上記各定額(同月の後7か月の各支給額)を超える額は、支給状況全体との関連から、経常性のない一時的なものと認めるのが相当であり、比較する各定額が平成17年12月の後7か月の各支給額ではなく、同月の前4か月の各支給額であることについては、これを認めるに足る証拠はないのであるから、比較する各定額は同月の後7か月の各支給額とするのが相当であることから、本件未払金勘定貸方計上額並びに上記
、
及び
の各超過額は、法人税法第35条第4項に規定する「臨時的な給与」すなわち役員賞与に該当し、本件各事業年度の損金の額に算入することはできない。
平成19年12月5日裁決
請求人の支給した役員給与は事前確定届出給与に該当せず、損金の額に算入することはできないとした事例
請求人は、請求人が支給した役員給与のうち、事前確定届出給与に関する届出書において、支給対象者とした役員に支給した役員給与は、事業年度首において年俸通知書により期末報酬額を期末に支給する旨を通知し、その旨を記載した事前確定届出給与に関する届出書を期限内に税務署長へ提出していること、
使用人兼務役員に対する給与は、年俸制に基づく年俸の金額から毎月支給する給与の金額を控除した差額を支払ったものであり、損金算入できない使用人兼務役員の使用人としての職務に対する賞与に該当しないことから、いずれも損金の額に算入されるべきである旨主張する。
しかしながら、事前確定届出給与は、職務執行の開始の日から1月を経過する日までに役員給与の支給時期や支給金額が確定していることを要するところ、当該日までに、株主総会の決議等により、役員給与の支給すべき確定額及び確定時期を定めたとはいえず、事前確定届出給与に関する届出書において支給対象者とした役員に支給した役員給与は、事前確定届出給与に該当するとは認められないこと、また、
使用人兼務役員に対する給与は、上記役員給与と同様な経緯で支給時期及び支給金額が決定され、同日に支払われているが、当日に他の使用人に賞与を支払った事実もないことから、使用人としての職務に対する給与と認められないので、いずれも損金の額に算入することはできない。
《参照条文等》
法人税法第34条第1項、第2項
法人税法施行令第69条、第70条
法人税基本通達9−2−14、9−2−15、9−2−16
平成22年5月24日裁決