源泉徴収

給与等

  1. 給与等(32件)
  2. 退職給与
  3. 配当所得
  4. 報酬、料金等
  5. みなし配当
  6. 著作権の使用料
  7. 匿名組合契約等の利益の分配

企業支配力を更に強化するために取得した株式の買入価格のうち通常の株式の価額を超える部分は認定賞与にあたらないとした事例

裁決事例集 No.18 - 62頁

 企業支配に係る対価の額は、新たに他の企業を支配するために通常の価額を超えて支出される金額のほか、既に支配している企業に対する支配力を維持又は強化するために通常の価額を超えて支出される金額もこれに含まれると解されるところ、本件の場合、請求人が新たに取得した株式は、既に請求人が40パーセント強の株式を所有している会社の株式ではあるが、企業支配を更に強化することを目的として、発行済株式の100パーセントの株式を保有するべく取得したものであるから、これを株式の所有者によって企業支配の対価の有無を区別する理由はなく、同時に同一単価で請求人の役員から取得した株式についても、一般株主から取得した株式と同様に、その取得価額のうち通常の1株当たりの株式の価額を超えて支出した金額は、企業支配の対価と認めるのが相当である。
 したがって、当該役員からの本件株式の取得は、高価買入れに当たらない。

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懲戒解雇した従業員に対し地位保全仮処分申請に係る裁判所の決定に基づき支払った金員は給与所得に該当するとした事例

裁決事例集 No.22 - 91頁

 懲戒解雇した従業員に対して、地位保全仮処分申請に係る裁判所の決定の履行として支払った金員は、当該決定が懲戒解雇の意思表示の効力を雇用関係存在確認訴訟事件の本案判決確定に至るまで停止させるとともに、本案判決確定まで請求人は当該従業員に対して毎月所定の金員を支払うよう命じていることなどから、請求人と当該従業員との間に雇用関係の存在することが認められるので、所得税法第28条第1項に規定する給与所得に該当するものとすることが相当である。

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従業員地位保全・金員支払仮処分申請に係る裁判所の決定に係る給付金支払債務について、その金額につき差押えを執行された場合においても源泉徴収義務があるとした事例

裁決事例集 No.24 - 67頁

 従業員としての地位保全と賃金の仮払いを求める仮処分の決定の支払命令に基づく本件給付金員支払債務について、その金額につき差押えを執行されたため所得税の源泉徴収をする機会がなかったと請求人は主張するが、本件給付金員に係る給与に対する源泉所得税は、その支払者が所得税法第222条の規定に基づきその後の給与等の支払分から控除するか、又は受給者に対して当該税額に相当する金員の請求ができることになっている以上、給与支払者たる請求人の源泉徴収義務には何ら影響がない。

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職人に対し支払った報酬は外注費ではなく給与に該当するとした事例

裁決事例集 No.25 - 60頁

 請求人が支払った報酬は一人親方に対するものであって、外注費として取り扱うべき旨請求人は主張するが、本件報酬について、各職人の労務の提供は、職人個々の独立した事業として行われたものとは認められず、かつ、その労務の提供の対価は基本賃金のほか時間外勤務手当等の支払基準により支払われていることからして、請求人と職人との間の雇用契約書の作成はないものの、その実質は請求人がこれら職人を雇用の上、その就労の対価、すなわち給与等として支払ったものと解するのが相当である。また、仮にこれら職人が請求人主張の一人親方に当たるとしても、その支払う報酬が当該親方の危険と計算によらず、請求人の指揮監督の下に提供された労務の対価としての性質を有するものであれば、所得税法第28条第1項に規定する給与等に当たるとみるのが相当である。

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損金に算入した養老保険の保険料相当額が、保険金受取人である従業員に対する給与(経済的利益の共与)に当たるとした事例

裁決事例集 No.32 - 110頁

 本件保険契約は、万一の場合の保障と貯蓄との二面性のある養老保険契約であって、保険金受取人である従業員は、保険事故の発生又は保険期間の満了の際には当然に保険契約上の利益、すなわち保険金請求権を自己固有の権利として原始的に取得するものであり、請求人はその報酬として保険者に対し本件保険料を支払い損金に算入していることから、当該従業員は本件保険料相当額の経済的利益を亨受していると認めるのが相当であり、本件保険料の額を給与所得の収入金額と認定し、源泉所得税の納税告知をした原処分は違法とはいえない。

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貸付金に係る利息相当額の経済的利益の供与に基づく源泉所得税の納税告知を取り消した事例

裁決事例集 No.35 - 134頁

 請求人の専務理事らが横領、流用した金額を請求人からの貸付金であると認定するには、[1]専務理事らが請求人の資金を使用したことにつき、請求人から借り受ける趣旨の意思を表示したかどうか、[2]金利ないし利率、返済期限、担保などについて専務理事らがどのように認識していたか、また、[3]請求人の側においても、専務理事らに対する貸付けの認識があるかどうか、更にその債権管理方法をどのようにしているかなどの事実に照らして請求人と専務理事らとの間に金銭消費貸借契約(ないし準消費貸借契約)が成立し、請求人が貸付金債権を取得したかどうかを判定すべきであるところ、本件において、専務理事らが上記[1]の借受けの意思を表示したことを認め得る証拠はなく、また、金銭貸借において通常定められる上記[2]のような借入れの条件が定められたものと認識していたことを示す証拠もなく、金銭消費貸借契約が成立したことは認められないから、請求人が専務理事らに対し貸付けをなしていたとはいえず、したがって、貸付金に係る利息は発生しない。

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不動産売買業を営む法人が、土地売買により生じた簿外収益の一部を同法人の実質的代表者に賞与として支給したものと認定し、源泉徴収に係る所得税の納税告知処分をしたことは適法であるとした事例

裁決事例集 No.39 - 332頁

 不動産売買業を営む法人である請求人は、土地の売買により生じた簿外収益の一部とその収益を預け入れた簿外の請求人名義の普通預金の払戻金との合計金員3,200万円余を請求人の会計帳簿に計上せず、かつ、当該土地取引の代金の授受及び簿外普通預金の管理をしていた請求人の代表取締役の夫は、その使途を説明しないのであるが、[1]代表取締役の夫は、請求人の業務の指揮・監督をするなど実質的に請求人の経営の一切を支配しており、かつ、当該土地取引の代金の授受及び簿外普通預金の払出しを自ら行うなど、本件金員を自由に処分できる立場にあったこと、[2]本件金員は、その用途が明らかでないこと、及び[3]本件金員が請求人の費用等に充てられたとする証拠資料はないこと等の事実を総合すれば、本件金員は代表取締役の夫が個人的に費消したものと推認され、したがって、請求人は同人に対し賞与を支給したものと認められるので、その賞与について源泉徴収に係る所得税の納税告知処分をしたことは適法である。

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外国人出向者の日本における税金を立替払した場合に源泉徴収義務を負うとした事例

裁決事例集 No.41 - 255頁

 請求人が、外国法人の出向元法人の依頼により、外国人出向者の日本における租税を日本の税務官署に納付し、これを出向元法人への立替金として経理処理しても、この立替金は、請求人が居住者である外国人出向者に対して給与等を支給したことになるから、請求人はこれに係る源泉徴収義務がある。

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マネキン報酬について、日額表乙欄、丙欄のいずれを適用するかは、正社員の勤務状況に比較して当該マネキンが継続して2月を超えて就労していたかどうかにより判定すべきであるとした事例

裁決事例集 No.43 - 277頁

 請求人は、マネキンに支払った金員について、マネキンの雇用期間が継続して2月を超えないことから、税額表は日額表丙欄を適用すべきである旨主張するが、当該マネキンの雇用期間の延長又は再雇用により継続して2月を超えて雇用されているものと認められるか否かは、マネキンが一つの契約に係る就労を開始する日現在において、過去2月間に就労しない日が月当たりおおむね2週間以上ある場合は、雇用期間は継続していないものと判断して日額表丙欄を適用し、それ以外の場合には、それ以後明らかに雇用関係を打ち切ったものと客観的に認められる空白期間がない限り、依然として雇用は継続しているものと判断して日額表乙欄を適用するのが相当である。

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請求人が支出した金員は、契約金の支払ではなく、請求人自身の債務を弁済しているにすぎないので、源泉徴収義務はないとして納税告知を取り消した事例

裁決事例集 No.44 - 249頁

 請求人がA社の代表者B男を招へいするに際し、対価の支払に代えて、本件借入金を肩代わりしたのであるから、B男に対する対価の支払も同時に履行されたというべきであり、よって、請求人が毎月支出している強化費は、請求人自身の債務を弁済しているにすぎず、原処分庁が主張するB男に対する契約金の分割払には当たらない。
 したがって、所得税法第204条に規定する所得税の源泉徴収義務はない。

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養老保険契約に加入し支払った保険料について、請求人は、所得税基本通達36−31の(3)に該当すると主張するが、当該保険契約は、被保険者が主任以上という基準であり、全従業員がその恩恵に浴する機会が与えられているとは認められず、給与に該当するとした事例

裁決事例集 No.46 - 177頁

 請求人は、本件養老保険契約に係る被保険者について、[1]勤続年数15年以上、[2]年齢40歳以上、[3]定年までの定着度の各要件を総合勘案して、各職種より選定した旨主張するが、1名のやむを得ない例外を除いては主任以上の全従事員が被保険者となっており、保険加入の対象者として主任以上の基準を設けていたことが推認される。
 ところで、請求人においては、主任とは役職名の一つであって、役職の任免は請求人の業務運営上の必要に応じて行われるものとされており、必ずしもすべての従事員が主任以上の役付者になれるとは限らず、また、課長又は主任に任命されていない者で勤続年数15年以上かつ年齢40歳以上の者が3人認められることからみると、全従事員がその恩恵に浴する機会を与えられているとは認められない。
 したがって、本件保険契約については、全従業員がその恩恵に浴する機会が与えられているとは認められず、支払った保険料は、被保険者に対する給与とすることが相当である。

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タクシーによる旅客運送業を営む法人について、休日乗務手当、嘱託乗務員の乗務手当の源泉徴収につき、支給額等を認定し、適用税率を是正し、税額を算定した事例

裁決事例集 No.48 - 335頁

 請求人は、[1]原処分庁は、[イ]請求人の源泉徴収税額の計算の基礎とした各月分の給与の額には、社員乗務員に支給した休日乗務手当の額及び嘱託乗務員に支給した乗務手当の額を除外するという誤りがあり、また、[ロ]他にも源泉徴収税額に誤りがあるとして納税告知等をしたが、[2]処分庁の計算等は誤っており、特に上記[ロ]については請求人に誤りはなく、納税告知等は一部取り消すべきであると主張する。
 当審判所が検討したところ、[1]上記[イ]については、原処分庁及び請求人の計算にはいずれも誤りがあり是正する必要があり、[2]上記[ロ]については請求人の主張は相当である。
 また、適用税率表等を是正して、各月分の源泉徴収税額を計算すると、いずれも原処分に係る額を上回るから、原処分は適法である。

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請求人が負担した本件慰安旅行の参加従事員1人当たりの費用の額は、平成5年分192,003円、平成6年分449,918円及び平成7年分260,332円と、社会通念上一般的に行われている福利厚生行事としてはあまりにも多額であるから、当該従事員が受ける経済的利益は、給与所得として課税するのが相当とした事例

裁決事例集 No.55 - 248頁

 福利厚生行事が社会通念上一般的に行われているものと認められる範囲内のものである場合には、当該福利厚生行事の経済的利益については課税しないこととするのが相当と解されるところ、請求人の負担した本件慰安旅行に参加した役員及び従業員各人の1人当たりの費用(各人の家族等分を含む。)の平均額は、平成5年5月分が192,003円、平成6年5月分が449,918円及び平成7年5月分が260,332円であることから、社会通念上一般的に行われていると認められる範囲内の福利厚生行事としては、あまりにも多額であり、また、従業員等の家族等が参加し、その旅行費用までほとんど全額負担していることを考慮すると、本件慰安旅行が社会通念上一般的に行われていると認められる範囲内の福利厚生行事と同程度のものとは認められない。
 したがって、請求人は本件慰安旅行の実施によって、本件旅行参加者に対して経済的利益を供与したものと認められるので、本件旅行費用は、本件旅行参加者に支給した所得税法第28条に規定する給与等と認めるのが相当である。

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単身赴任者に支給した帰郷交通費は、職務を遂行するための旅行でなく、帰郷に要する交通費の負担を軽減するために支給されたものであるとして、当該単身赴任者に対する給与所得に該当するとした事例

裁決事例集 No.55 - 273頁

 請求人は、単身赴任者に支給した帰郷交通費は、所得税法第9条第1項第4号に規定されている非課税とされる旅費である旨主張するが、当該帰郷交通費は、請求人が受給者の帰郷に要する交通費の負担を軽減するため、その費用の一部を補助する目的で給与関係内規の別居手当の一部として支給したものと認められることから、職務を遂行するための旅費には当たらず、同号に規定する非課税とされる旅費には当たらない。

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請求人の元理事長らが不正行為により流用等した金員等は、当該元理事長らに対する給与所得又は退職所得として、請求人は源泉徴収義務を負うと認定した事例

裁決事例集 No.57 - 192頁

 請求人の元理事長が請求人の営む事業に係る人件費及び給食材料費等を架空又は水増し計上するなどの方法によりねん出した資金を簿外口座預金に預け入れた後、当該口座から元理事長名義預金に入金した金員、並びに元理事長の個人的費用に充てるための資金を立替金勘定に計上した後、雑費勘定に振替計上した金員について、請求人は、元理事長がその地位を利用して請求人の資金を不正に引き出したものであり、請求人が賞与として支給したものではない旨主張する。
 さらに請求人の元専務理事が、転換社債等を換金して同人名義の預金口座に入金した金員について、請求人は、元専務理事が請求人の資金を不正に引き出したものであるから、請求人が退職金として支給したものではない旨主張する。
 しかしながら、元理事長は請求人の設立者として理事長に就任し、退任後も自ら会長と称していたこと、また、自らの親族等を理事長等の役員に就任させていたことからすれば、設立以来、請求人の全運営についての権限を有しその地位等を利用してねん出した簿外資金を簿外口座で管理し、本件簿外口座から元理事長名義預金口座に入金した金員について、元理事長個人の借入金の返済資金等に支出されたと認められるほか、請求人の事業遂行のために使用されたとする証拠もないことからすれば、これを個人的費用に費消していたと認められる。また、雑費勘定に振替計上した金員は、元理事長が個人的な目的のために費消していたことは明らかである。仮に、本件金員及び本件立替金が不正に引き出されたとしても、所得税基本通達36−1が給与所得として収入すべき金額は、その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない旨定めており、その取扱いが相当であること、返還義務があるとしても所得税法上の所得とは、これを専ら経済的面から把握すべきであると解されるところ、実際に返還されない限り本件金員及び本件立替金は所得を構成するのであるから、この点に関する請求人の主張には理由がない。
 そうすると、これらの金員は所得税法第28条に規定する給与(賞与)所得と認められるので、請求人は、同法第183条第1項に規定する所得税の源泉徴収義務がある。
 また、請求人の元専務理事は、[1]平成5年3月31日に請求人を退職したこと、[2]長年にわたり請求人において理事として経理責任者であったこと及び[3]転換社債等を換金した金員を一時金として退職日の直前に受け取っていたことが認められるから、当該金員は退職所得に該当し、当該所得に対する源泉徴収義務者は請求人であると認定するのが相当である。
 そして、仮に転換社債等を換金した金員が不正に引き出されたとしても、元専務理事が現実に支配管理しているのであるから、所得税基本通達36−1が退職所得の金額の計算上収入すべき金額は、その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない旨定めているのであるから、請求人の主張には理由がない。
 そうすると、これらの金員は所得税法第30条に規定する退職所得と認められるので、請求人は、同法第199条第1項に規定する所得税の源泉徴収義務がある。

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簿外普通預金からの払戻金の使途は、代表者からの借入金の返済ではなく代表者に対する給与等の支給であるとした事例

裁決事例集 No.63 - 202頁

 請求人は、本件普通預金からの払戻金の使途は、請求人の代表者Gに対する借入金の返済である旨主張するが、[1]Gが請求人の代表者としてその経営の全般を掌握していること、[2]G自らが本件普通預金を管理して預入、払戻しを行っていたこと及び[3]請求人の帳簿に本件普通預金に係る入出金が記載されておらず、本件普通預金の払戻金をGからの借入金の返済に当てたとする経理処理をしていないことなどの事実から、給与等の支払いとしてなされたものと解するのが相当である。

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すべての使用人に対して、雇用されている限り毎年誕生月に支給している誕生日祝金について、その支給形態等が、広く一般に社会的な慣習として行われているとは認められないとして所得税法第28条第1項に規定する給与等に当たるとした事例

裁決事例集 No.66 - 212頁

 請求人は、本件誕生日祝金を請求人の誕生祝実施要領に基づき、各使用人の誕生月に独身者は10,000円、既婚者は15,000円を現金で支給しており、誕生日祝金の支給は、使用者と使用人との間に限らず広く一般に社会的な慣習として行われているので、本件誕生日祝金は、所得税基本通達28−5のただし書きに定める給与等として課税しなくて差し支えない結婚祝金品等に該当する旨主張する。
 しかしながら、ある金品の交付が、所得税基本通達28−5による例外的取扱いが認められるためには、少なくとも、その金品の交付が広く一般に社会的な慣習として行われていることを要するところ、本件誕生日祝金は、すべての使用人が、請求人に雇用されている限り、毎年誕生月に支給されるものであって、その支給形態等において、広く一般に社会的な慣習として行われているとは認められない。
 したがって、請求人の主張は採用できない。

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遠洋漁業を行う船舶に乗船させた外国人漁船員の人的役務の提供の対価は国内源泉所得に該当するから、当該対価の支払の際に源泉徴収する義務があるとした事例

裁決事例集 No.71 - 349頁

 請求人は、自らが所有し遠洋漁業を行う船舶(以下「本件船舶」という。)に乗船させた外国人漁船員とは雇用契約書を取り交わしておらず、外国人漁船員の手配等を行うH社から派遣されたものであるから、本件船舶に乗船させた外国人漁船員の人的役務の提供の対価(以下「本件対価」という。)は所得税法第161条第8号イに掲げる国内源泉所得に該当せず源泉徴収義務はない旨主張する。
 しかしながら、本件船舶に乗船させる外国人漁船員は請求人の意思でその採否を決定していること、請求人は外国人漁船員の船員手帳の交付申請に際し外国人漁船員の雇用(予約)証明書を提出していることなどからすれば、請求人と本件船舶に乗船させた外国人漁船員とが直接の雇用契約書を取り交わしていないとしても、請求人と当該外国人漁船員との間には雇用関係があると認めるのが相当である。したがって、本件対価は、請求人との雇用契約によるものであるから、所得税法第161条第8号イに規定する国内源泉所得に該当する。
 そして、請求人は本件対価をH社の国内預金口座に振り込む方法により支払っており、また、外国人漁船員が本件船舶に1年以上の期間乗船していたとしても、本件船舶は当該外国人漁船員にとって勤務地であって住所や居所には該当せず、当該外国人漁船員は非居住者に該当するから、所得税法第212条第1項の規定により、請求人は本件対価の支払の際に源泉徴収義務がある。
 なお、本件納税告知処分には、各月分の納付すべき源泉所得税の額及び法定納期限の認定に誤りが認められるが、法定納期限の認定の誤りは、国内源泉所得の支払地が国内か国外かによるものにすぎず、既に自動的に確定している各月分における源泉所得税に係る国税債権に影響するものとは認められず、また、正当な法定納期限後の日付をもって本件納税告知処分をしたことが請求人の利益侵害とも認められないから、当該誤りをもって本件納税告知処分を取り消すことは相当ではないと認められるが、本件納税告知処分のうち正当に計算した本件対価の支払に係る各月分の納付すべき源泉所得税の額を超える部分は違法となり取り消すべきである。

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受給者が確定申告をしたことにより支払者の源泉徴収義務が消滅することはないとした事例

裁決事例集 No.73 - 312頁

 請求人は、源泉徴収義務者が源泉所得税を徴収しなかったとしても、受給者がその所得を確定申告し、納税すれば源泉所得税相当額が国庫に歳入される以上、その時点で源泉徴収義務は消滅する旨主張する。
 しかしながら、源泉所得税の納税義務を負う者は、源泉徴収の対象となるべき所得の支払者であって(所得税法第183条第1項、第204条第1項)、その納税義務は、その所得の受給者に係る所得税の納税義務とは別個のものとして成立、確定し、これと並存するものであり(国税通則法第15条)、所得税法第221条、第222条及び国税通則法第36条の各規定からしても、源泉所得税の納税に関し、国と法律関係を有するのは徴収義務者のみで、その所得の受給者との間には直接の法律関係を生じない。
 また、「源泉徴収をされた又はされるべき所得税額」がある場合には、所定の税率を適用して算出された所得税の額からこれを控除した金額が所得税の確定申告書の記載事項(所得税法第120条第1項)とされているところ、この「源泉徴収された又はされるべき所得税額」については、所得税法の源泉徴収の規定に基づき正当に徴収された又はされるべき所得税の額を意味するものであって、確定申告の際に、源泉所得税自体の過不足額の精算を行うことを予定しておらず、その所得の受給者が徴収されるべき源泉所得税を確定申告により納税することはできない。
 したがって、受給者の確定申告によって請求人の源泉徴収義務が消滅することはない。

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審査請求人が架空仕入れ等を計上して支出した現金について、審査請求人の代表者に支給した臨時の給与であり、役員賞与に該当すると認定した事例

裁決事例集 No.74 - 111頁

 請求人は、零細企業で、賞与を支給できる財務内容ではなく、請求人の代表者(以下「本件代表者」という。)が自由に費消できる資金などは全くないこと、また、請求人には本件代表者に対して賞与を支給する意思はなく、同人も賞与を受けた認識はないことから、請求人が仕入れ等のために振り出した小切手を本件代表者が現金化し、同人が所持していた現金(以下「本件各現金」という。)を本件代表者への賞与とする納税告知処分は取り消されるべきである旨主張する。
 しかしながら、1本件代表者は、請求人の事業経営及び経理の実権を有する唯一の者であると認められること、2請求人は、青色申告法人であり、取引に関係する帳簿の記録及び資料の保存が必要であるところ、本件各現金の使途を明らかにする帳簿の記録や資料等の保存が一切なく、当該小切手を現金化した後の本件各現金の使途が不明であること、及び3本件代表者が、当該小切手を現金化した後に本件各現金に相当する金員を会社のために支出した事実が認められないことからすれば、本件各現金は、本件代表者が取得したとみるほかなく、請求人から本件代表者に対して支給された臨時的な給与、すなわち役員賞与に当たるものと認められる。したがって、本件各現金を本件代表者に対する賞与とした原処分は適法である。

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家族を外国に居住させ、自らは国内に住民票を置き、出入国を繰り返している請求人代表者を所得税法第2条第1項第3号の「居住者」に該当すると判断した事例

裁決事例集 No.76 - 228頁

 請求人は、請求人代表者が、家族をD国に居住させ、自らも同国での住所を有したまま、同国での勤務に加え日本での勤務も行い、D国と日本を行き来する生活を送っていることから、その住所地は、所得税基本通達3-1に定める船舶又は航空機の乗組員の住所の判定と同様に、「その者の配偶者その他生計を一にする親族の居住している地」、すなわちD国にあり、代表者は、所得税法第2条第1項第5号に規定する「非居住者」に当たると主張する。
 しかしながら、請求人代表者は、出入国を繰り返しているものの、日本国内における居住地以外に、生活の本拠としての実態がある場所もなく、請求人の代表者として活動していることからも、請求人を中心とするグループ企業の実権を掌握し、その地位に照らしても相当期間にわたり国内に存在することを必要としていたもので、その住所は国内にあり、所得税法第2条第1項第3号に規定する「居住者」に当たる。

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関係会社の名義による源泉所得税の納付は、請求人による納付としての法的効果を生じないとした事例

裁決事例集 No.77 - 207頁

 請求人は、各関係会社名義を用いての源泉所得税の納付であったものとしても、それは請求人が法定期限内に納付していたものであるから、請求人による納付があったものと扱うべきである旨主張する。
 しかしながら、租税法は、源泉徴収義務者本人が第三者名義で源泉所得税を徴収・納付することを予定していないというべきであり、これが外観上一見して源泉徴収義務者本人の通称ないし別名と判断できるような場合でない限り、源泉徴収義務者本人の徴収・納付としての法的効果は生じないものと解するのが相当である。本件における請求人の各関係会社は、それぞれが、1商業登記された法人であること、2給与支払事務所等の開設届出書を提出し、本件関係各社名で源泉所得税が納付されていること、及び3法人税及び消費税等の申告をしていることが認められ、これらのことからすれば、請求人による当該各関係会社の名義を用いた源泉所得税の徴収・納付は、外観上一見して請求人の通称ないし別名でなされたと判断することはできないから、本来の源泉徴収義務者である請求人自身の徴収・納付としての法的効果を生じないものと解される。

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救急病院等に勤務する医師等に対する宿直料は、本来の職務に従事したことに対する対価であるから、所得税基本通達28−1ただし書は適用できないとした事例

裁決事例集 No.77 - 222頁

 請求人は、所得税基本通達28−1に定める宿直料又は日直料の一部非課税の取扱いについて、宿直料が実費支弁の性格を有するので、宿直における仕事の内容及びその責任の軽重などにかかわらず一律4,000円までを非課税とするものであり、宿直とは夜間勤務のことをいうのであるから、請求人が設置する救急病院等に勤務する医師等に対する宿直料は4,000円まで非課税とすべきである旨主張する。
 しかしながら、所得税基本通達28−1が、ただし書において、課税しない宿日直料の対象となる宿日直勤務から1本来の職務として行ったもの、2通常の勤務時間に行ったもの、3代日休暇が与えられるもの及び4給与比例額により支給されるものを除いていることからすると、同通達の取扱いの適用対象とされる宿日直勤務とは、所定労働時間外または休日において、本来の業務に従事しないで行う構内巡視、文書等の収受又は非常事態に備えての待機などをいうものと解され、夜間行われる勤務であるからといって直ちに同通達の適用対象とされる宿日直勤務に該当するということはできず、また、同通達が夜間の勤務1回について一律4,000円までを非課税とする旨を定めたものであると解することはできない。よって、請求人の主張は採用できない。

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外国人研修生等が在留資格の基準に適合する活動を行っていないことを理由に日中租税条約第21条の免税規定の適用がないとした事例

裁決事例集 No.77 - 232頁

 請求人は、外国人研修生等に支払った研修手当等について、研修生等は、現に「研修」又は「特定活動」の在留資格を有しており、中華人民共和国政府及び日本国政府が認めた研修生又は実習生であり、また、実際に水産加工における包丁の技術、日本語などの研修を行っているから、本件研修生が受領した研修手当等は、日中租税条約第21条に規定する所得税の免税の適用がある旨主張する。
 しかしながら、日中租税条約第21条の事業修習者等は、在留資格をもって日本に滞在している者であり、許可された在留資格に応じたそれぞれの活動を行うことができるのであるから、技術等の修得をする活動を行う「研修」などの資格をもった者はその在留資格の基準に適合する活動を行わなければならず、たとえ、在留を許可され滞在している者であっても、在留資格の基準に適合しないような活動を行っている者にあっては、日中租税条約第21条に規定する事業修習者等には該当しないと解されるところ、請求人は、水産加工品梱包方法など研修計画書に記載された研修を行っていないことなどからすれば、本件研修生は、「研修」等の在留資格の基準に適合するような活動を行っている者とはいえず、日中租税条約第21条に規定する事業修習者等には該当しないので、研修手当等について、日中租税条約に規定する租税の免除の適用はない。

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法人の代表者が当該法人所有の資産を無償で専属的に利用したことは、経済的利益を享受していることに当たるから、源泉所得税の課税対象となるとした事例

裁決事例集 No.78 - 237頁

 請求人は、本件家具等は、請求人が宗教活動の用に供するために取得し、装飾や請求人の来客用等として本件マンション内に設置され、直接的あるいは間接的に宗教活動の用に供されるものであって、代表者に貸与したものではない旨主張する。
 しかしながら、本件マンションの間取りは居住用であり、代表者が一人で居住していることや宗教活動の用に供された事実がないことなどからすると、本件マンションは、その全体が専ら代表者の居住の用に供されていたと認められ、そうすると、本件マンション内に設置されている本件家具等は、請求人が、代表者が使用する目的で購入して代表者に貸与し、これを代表者が専属的に使用していたものと認めるのが相当である。
 そして、代表者は、請求人に対し、本件家具等の使用料名目での金員の支払をしておらず、また、本件マンションの賃貸料にも、本件家具等の使用料は含まれていないというべきであるから、本件家具等は、請求人から代表者に対して無償で貸与されていると認められ、代表者はこれにより通常支払うべき対価に相当する利益、すなわち本件家具等の使用に係る経済的利益を享受しているというべきである。

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請求人が実施した社員旅行は、社会通念上一般的に行われているレクリエーション行事として行われる旅行とは認められないとした事例

平成22年12月17日裁決

 請求人は、請求人が従業員等を参加者として実施した海外への社員旅行(本件旅行)は、1実施日程が2泊3日であること、2従業員のほぼ全員が参加していること及び3従業員には経済的利益を受けることについての選択性が認められないものであること等から、所得税基本通達36−30《課税しない経済的利益……使用者が負担するレクリエーションの費用》(本件基本通達)にいう社会通念上一般的に認められる範囲内のレクリエーション行事であるから、請求人が負担した本件旅行の費用は、従業員に対する経済的利益(給与)として課税されるべきではない旨主張する。
 しかしながら、レクリエーション行事として行われる旅行が本件基本通達にいう社会通念上一般的に行われていると認められるものに当たるか否かの判断に当たっては、当該旅行の企画立案、主催者、旅行の目的・規模・行程、従業員の参加割合、使用者及び参加従業員の負担額、両者の負担割合等を総合的に考慮すべきであるが、少額の現物給与は強いて課税しない(少額不追求)という本件基本通達の趣旨からすれば、従業員の参加割合、参加従業員の費用負担額ないし両者の負担割合よりも、参加従業員の受ける経済的利益、すなわちレクリエーション行事における使用者の負担額が重視されるべきであるところ、請求人が負担した従業員一人当たりの本件旅行の費用の額は、海外への社員旅行を実施した企業の一人当たりの会社負担金額を大きく上回る多額なものであるから、少額不追求の観点から、強いて課税しないとして取り扱うべき根拠はないものといわざるを得ない。
 したがって、本件旅行については、社会通念上一般的に行われているレクリエーション行事の範囲内と認めることはできない。

《参照条文等》
 所得税法第28条第1項、第36条第1項
 所得税基本通達36−30

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派遣医に支払う給与等の源泉徴収につき、勤務した日ごとに定額の給与を支給していた場合であっても、月間の給与総額をあらかじめ定めておき、これを月ごとに又は派遣を受ける都度分割して支払うこととするものとして月額表の乙欄に掲げる税額を源泉徴収すべきとした事例

平成23年6月7日裁決

《ポイント》
 所得税法上、居住者に対し支払う給与等につき源泉徴収すべき税額を求める際に適用すべき税額表は、支給期が毎月、毎半月、毎旬及び月の整数倍ごとと定められているものは月額表、支給期が毎日と定められているものは日額表とされており、求めるべき税額は、扶養控除等申告書の提出の有無に応じ、それぞれ、甲欄、乙欄に掲げる税額とされている。また、労働した日又は時間によって算定され、かつ、労働した日ごとに支払われる給与等で一定のものは、日額表の丙欄に掲げる税額とされている。
 この事例は、いわゆる派遣医に対して支払う給与について、派遣医との契約内容等に応じ、月額表又は日額表の乙欄、あるいは日額表丙欄が適用されると判断したものである。

《要旨》
 原処分庁は、請求人に大学から派遣される医師(大学派遣医)及び請求人と医師個人との契約等により勤務する医師(個人契約医)に請求人が支払う給与について、源泉徴収税額表の日額表が適用される旨主張し、これに対し請求人は月額表が適用される旨主張するところ、大学派遣医については、大学との間で勤務1回当たりの額という形で給与の額を定め、勤務予定については四半期ないし半年という期間ごとに一応決定されていたものの、実際に勤務する医師が誰であるか勤務直前になるまで分からないのであるから、勤務回数が一定の期間で何回になるか事前に確定しているとはいえない。したがって、勤務した日ごとに支払っている大学派遣医の給与は、勤務した日ごとに定められているということができ、「給与等の支給期が毎日と定められている場合」に該当すると認められるから、日額表の乙欄に掲げる税額を源泉徴収すべきである。
 また、勤務日を毎週木曜日として1年間継続して請求人に勤務する旨の契約を取り交わし、その後勤務を続け、平成17年3月から同年12月までの間は、継続して第2及び第4木曜日に勤務していた個人契約医は、請求人との間において、毎月一定日数勤務することをあらかじめ取り決めてあったということができ、同人の給与については、「月間の給与総額をあらかじめ定めておき、これを月ごとに又は派遣を受ける都度分割して支払うこととするもの」と認められるから、月額表の乙欄に掲げる税額を源泉徴収すべきである。
 一方、請求人の病院に継続して勤務する取決めはなく、請求人の依頼に基づいて臨時的に勤務していた個人契約医は、勤務1回当たりの給与についてもその都度取り決めていたというのであるから、日日雇い入れられる者に対して労働した日によって算定した額を労働した日ごとに支払っている給与であると認められるので、日額表の丙欄に掲げる税額を源泉徴収すべきである。

《参照条文等》
 所得税法第185条第1項
 所得税法施行令第309条

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海外出向者の帰国後に、当該海外出向者の国外勤務中の給与に係る外国所得税の額を請求人が負担したことについて、居住者に対する経済的利益の供与に当たるとした事例

平成23年7月6日裁決

《ポイント》
 所得税法第8条において、非居住者から居住者になった場合など、個人が年の中途で納税義務者の区分に異動を生じた場合には、その者がその年においてそれぞれの納税義務者の区分であった期間に応じ、それぞれの期間内に生じた所得税法第7条第1項に掲げる所得に対し、所得税を課することとされている。
 この事例は、国外勤務を終えて日本に帰国した社員の国外勤務中の給与に係る外国所得税額を請求人が負担したことによる経済的利益について、非居住者期間内と居住者期間内のいずれに生じた所得かが争われたものである。

《要旨》
 請求人が国外勤務を終えて帰国した海外出向社員ら(本件海外出向社員ら)の外国所得税額(本件外国所得税額)をその帰国後に納付したことについて、原処分庁が居住者に対する給与等の支払に当たるとして、源泉所得税の納税告知処分等をしたのに対し、請求人は、海外出向社員の外国所得税額を請求人が負担することは海外勤務規定においてあらかじめ定められており、また、本件外国所得税額は、本件海外出向社員らが非居住者であった外国で勤務していた期間に支給された手取給与の額を基礎にグロスアップ計算されたものであり、当該手取給与と一体不可分であるから、所得税基本通達181〜223共−4《源泉徴収の対象となるものの支払額が税引手取額で定められている場合の税額の計算》の考え方に従い、本件海外出向社員らの非居住者期間中に生じた所得として取り扱うべきである旨主張する。
 しかしながら、請求人の海外勤務規定には、請求人が海外出向社員の外国所得税額を負担する時期についての規定はないところ、本件海外出向社員らは、使用者である請求人が同人らに代わって本件外国所得税額を納付した時に請求人から租税債務の消滅による経済的利益の供与を受けたものと認められ、また、当該納付が本件海外出向社員らの帰国後に行われていることからすれば、当該経済的利益は本件海外出向社員らが居住者となった以後の所得となる。

《参照条文等》
 所得税法第183条第1項

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理事長に対する債務免除は、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合に受けたものに該当せず給与として源泉徴収を要するとした事例

平成23年12月20日裁決

《要旨》
 請求人は、請求人の理事長に対し行った債務の免除(本件債務免除)について、本件債務免除に係る経済的な利益(本件債務免除益)は、所得税基本通達36−17《債務免除益の特例》に定める「債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合に受けたもの」に該当し、理事長の所得の金額の計算上収入金額に算入されないから、源泉徴収義務を負わない旨主張する。
 しかしながら、理事長は、本件債務免除時において、債務超過の状態であったものの、本件債務免除時の収入、資産等から債務の一部を弁済することができただけでなく、信用、才能等を活用すれば、将来において、当該債務の一部を弁済するための資金を調達することができたものと認められるから、本件債務免除益は、上記通達に定める「債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合に受けたもの」には該当しない。
 そして、本件債務免除は、請求人に対する理事長の長年にわたる貢献を理由としていることなどからすれば、理事長が請求人の理事長の地位、労務又は役務に対する広義の対価としてされたものといえ、理事長が請求人の理事長であることと無関係になされたものと認めるべき特段の事情は認められないから、本件債務免除益は、所得税法第28条《給与所得》第1項に規定する給与所得に該当し、請求人は、本件債務免除益について源泉徴収義務を負う。

《参照条文等》
 所得税法第28条第1項、第36条第1項
 所得税基本通達36-17

《参考判決・裁決》
 最高裁昭和56年4月24日第二小法廷判決(民集35巻3号672頁)
 さいたま地裁平成15年9月10日判決(税資253号順号9428)
 最高裁平成元年9月14日第一小法廷判決(集民157号555頁)
 東京高裁平成16年9月13日判決(税資254号順号9742)

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発行法人がその役員に対して割り当てた新株予約権は、有利な発行価額により新株を取得する権利に該当するとした事例

平成24年3月15日裁決

《要旨》
 請求人は、2名の役員に新株予約権を割り当てたことについて、当該新株予約権は、所得税法施行令(平成18年政令第124号による改正前のもの)第84条《株式等を取得する権利の価額》第4号に規定する有利な発行価額により新株を取得する権利には当たらない旨主張する。
 しかしながら、請求人の株式は、非上場株式で気配相場のない株式であり、売買事例及び類似する他の法人の株式の価額があるとは認められないから、所得税基本通達23−35共−9《株式等を取得する権利の価額》の(4)に定める権利行使日等又は権利行使日等に最も近い日におけるその株式の発行法人の1株当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額により評価すべきところ、その評価方法は、必要な修正をした上で財産評価基本通達178《取引相場のない株式の評価上の区分》から189−7《株式の割当てを受ける権利等の発生している特定の評価会社の株式の価額の修正》までの例によって評価することが相当と認められるので、これにより、請求人の新株の発行価額を決定した日における請求人株式の1株当たりの価額を算定すると、当該新株の1株当たりの発行価額を大きく上回るから、当該新株予約権は、所得税法施行令第84条第4号に規定する有利な発行価額により新株を取得する権利に該当する。

《参照条文等》
 所得税法施行令第84条第4号(平成18年政令第124号による改正前のもの)
 所得税基本通達23〜35共−7(平成18年12月19日付課個2−18ほかによる改正前のもの)、23〜35共−9(平成19年6月22日付課個2−11ほかによる改正前のもの)

《参考判決・裁決》
 最高裁平成17年11月8日第三小法廷判決(判タ1198号121頁)

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請求人が代表者に代わって送金した金員につき代表者に対してその返済を免除した事実は認められないとした事例

平成24年10月16日裁決

《要旨》
 原処分庁は、請求人が代表者個人を貸主とする金銭消費貸借契約に基づく貸付けに係る送金を行ったことついて、まる1請求人は当該送金が代表者個人の貸金債権に係るものであることを認識していながら送金をしていること、まる2請求人と代表者との間で当該送金に係る金銭の返済に関する取決めが行われた事実は認められないことからすると、請求人は代表者に対して返済を求める意思を有さずに当該送金をしたものと認められることから、代表者に対して経済的な利益を供与したことになる旨主張する。
 しかしながら、請求人は当該送金した額について仮払金として経理していることからすると、請求人が代表者に代わって立て替えて送金をしたものと認めるのが相当であり、また、当該仮払金と経理した金額について貸倒処理を行うまでの間、請求人の帳簿上、依然として仮払金として計上していたことからすると、請求人において、代表者に対し当該送金の額の返済を免除するなどの明示的又は黙示的な行為を行った事実は認められないから、請求人が当該仮払金の額について、代表者に対して経済的な利益を供与したということはできない。

《参照条文等》
 国税通則法第68条
 所得税法第36条、第183条
 法人税法第127条、第130条

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使用人等に対する食事の支給による経済的利益の供与について、「使用人が購入して支給する食事」として評価するのが相当であるとした事例(平成20年1月〜平成22年10月の各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及び不納付加算税の各賦課決定処分・一部取消し・平成26年5月13日裁決)

平成26年5月13日裁決

《ポイント》
 本事例は、請求人が使用人等に提供した食事については、請求人が給食委託業者に支払った委託料等を加算したところにより評価すべきであるとして請求人の主張を排斥しているものの、原処分庁における経済的利益及び源泉所得税額の算定に一部誤りがあったため、原処分の一部を取り消したものである。

《要旨》
 請求人は、請求人が給食業者(本件受託業者)に委託して調理させ従業員等に対して支給した食事は、所得税基本通達36−38《食事の評価》(1)に定める「使用者が調理して支給する食事」として食事の材料費相当額により評価すべきである旨主張する。
 しかしながら、当該食事の材料は本件受託業者が調達しており、請求人はこれらの材料の明細及び内容を関知しておらず、その在庫を請求人の帳簿書類にも記載していなかったことに鑑みれば、自己の計算に基づき材料の調達及び管理を行っていたのは本件受託業者であるということができるから、請求人が材料を提供し当該食事の調理のみを委託していたとみることはできない。また、請求人は従業員等から徴収した食券代金を集計し本件受託業者に支払っていたところ、当該金額は、あらかじめ本件受託業者との間で定めたメニューごとの材料費相当額に基づき計算されてはいたものの、食事の材料費そのものとはいえないから、請求人が材料費を負担していたとみることもできない。そして、請求人は、従業員等が購入した食券代金を従業員等の給与から差し引いて預り金として経理し、本件受託業者に支払う際には預り金勘定から減額処理をしていたことからすると、請求人は本件受託業者が従業員等から直接受領すべき食事代金を本件受託業者に代わって徴収していたと認められ、請求人が本件受託業者に対して毎月一定額の給食業務委託料及び副食費を支払っていた事実を併せ考慮すると、請求人は、従業員等が本件受託業者から食事を安価で購入できるよう、給食業務委託料等を負担し、食事の購入代金の補助をしていたとみるのが相当である。したがって、当該食事は所得税基本通達36−38(2)に定める「使用者が購入して支給する食事」と同様に、食券代金、副食費及び給食業務委託料の合計額をもって評価するのが相当である。

《参照条文等》
 所得税法第36条第1項
 所得税基本通達36−38、36−38の2

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