ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例要旨 >> 所得税法関係 >> 造成土地の譲渡による所得
造成土地の譲渡による所得
区画形質を変更して土地を譲渡したことによる所得について、譲渡所得と事業所得又は雑所得に区分して課税するのが相当であるとした事例
裁決事例集 No.18 - 25頁
所得税法上、譲渡所得には、棚卸資産(これに準ずる資産を含む。)の譲渡、その他営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡によるものは含まれないから、土地に区画形質の変更を加えたり、水道その他の施設を設けて宅地等として譲渡した場合には、その所得の全部が事業所得又は雑所得に該当するものと解されるところ、譲渡所得に対する課税の本質は、資産の値上がりにより所有者に帰属する増加益を所得として、その資産の所有権の移転を機会にこれを清算して課税する趣旨のものであり、したがって、区画形質の変更等を加えた土地の譲渡であっても、その土地が極めて長期間引き続き所有されていたものであるときは、その譲渡による所得には、本来の譲渡所得の本質を有する部分も含んでいるとみるべきであるから、このような場合は、資産の譲渡による所得を譲渡所得と事業所得又は雑所得とに区分して課税することが相当である。
昭和54年7月9日裁決
低湿地を盛土して譲渡した場合の所得について、雑所得ではなく譲渡所得に該当するとした事例
裁決事例集 No.20 - 58頁
持分共有で取得した低湿地を2〜3メートル盛土して譲渡した場合において、[1]本件土地は取得後放置されていたことからゴミ捨場のようになり、市当局等から所有者の管理責任を問われたため、通常の管理行為として埋立てをしたものと認められること、[2]埋立工事に要した金額が過少で、後日、本件土地の取得者が宅地造成するために多額の金額を要していること、[3]埋立工事は、2〜3メートルの盛土をしているが表面をならしただけで、下水道工事はもとより、隣接地との境界に対する擁壁工事、石垣積み等の工事をしておらず、その境界は土盛りのまま傾斜地となっていたため雨水等によりくずれ落ちる危険性が高く、そのまま宅地として使用できる状態でなかったなどの事実が認められ、これらを併せ考えると、本件土地は、宅地ないし宅地に近い状態にまで区画形質の変更が加えられて譲渡したものとは認められないから、その譲渡による所得は譲渡所得に該当し、雑所得に該当するとした原処分は相当でない。
昭和55年6月13日裁決