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取得価額の認定
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- 譲渡所得
- 取得費
- 代物弁済による場合の取得費
- 相続、贈与による場合の取得費
- 借入金利子
- 譲渡担保の受戻し費用
- 開発負担金
- 減価償却資産の減価相当額
- 弁護士費用
- 道路の取得費
- 信用取引による株式の取得価額
- 取得価額の認定(11件)
- 譲渡費用
- 取得費
- 一時所得
- 雑所得
一括して支払った本件土地の取得費のうち、その内容が明らかでない部分についても、本件土地の当時の状況等を総合的に判断すると、取得のために支出したものと推認されるとした事例
本件譲渡に係る取得費は、本件土地の当時の状況が、建物の撤去及び埋土等の造成工事が必要であったこと並びに仲介業者が介入しており、その費用に充てる必要があったことなどから、複数の契約により総額を一括して支払い、これを青色申告の帳簿に計上していたものと認められ、本件取得費のうちその内容が明らかでない部分は、取得費として認められないとした原処分は、その全部を取り消すべきである。
平成4年4月22日裁決
土地の取得費は、前所有者自筆の売渡契約書に記載された1,200万円ではなく、売買契約書に記載された600万円と認めるのが相当であるとした事例
請求人は、本件土地の取得費は、昭和55年12月20日に支払った600万円だけではなく、この価額に昭和56年1月28日に支払った600万円を加えた1,200万円であると主張し、その理由として、[1]昭和56年1月28日に600万円を支払ったことは登記原因の日付が昭和56年1月28日となっていることからも明らかであり、[2]本件土地の取得に当たっての譲渡代金を600万円とする売買契約書は、印章の押印がなく、売買契約書としての効力がなく、請求人が保管していた前所有者自筆の売渡契約書こそ印章の押印もあり、真実の書類であって、[3]隣接地が昭和61年5月に坪当たり5万円で売買されていることからみて、本件土地の昭和55年頃の坪当たり単価は約4万円が相当であると主張する。
しかしながら、[1]登記原因の日付が昭和56年1月28日となったのは農業委員会の所有権移転の許可が昭和56年1月27日であったことからと認められ、登記原因の日が残金の支払いの証拠とはいえず、[2]売買契約書には契約の日付の記載がなく、買主欄に請求人の押印はないものの、2か所の訂正箇所には売主、買主双方の押印がされていることからすると、実態を反映しないものとは認められず、昭和56年1月28日に600万円を支払ったことを証明する領収書はなく、請求人が自ら原処分庁に600万円で買い入れたと回答していることなどから売渡契約書が真実の契約書であるとの請求人の主張は採用できず、更に、[3]請求人の売買事例は取得から5年以上経過後のもので、物件の形状なども異なっており事例として不適当であり、地価事情が類似し、かつ、取引年月日が近い売買実例価額は、1平方メートル当たり5,952円であることなどから、本件土地の取得費は600万円と認めるのが相当である。
平成8年3月22日裁決
請求人が貸付債権の担保として根抵当権を設定していた土地を、自ら競売の申立てを行い、客観的価額を大幅に上回る貸付債権相当額で落札・取得して譲渡した場合において、当該落札による価額は、譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得に要した金額には当たらないとした事例
請求人は、競売に付された不動産を取得しようとする者が、どうしてもその物件を手に入れたいと思えば競売価額は時価よりも高額になるのはやむを得ないことであり、仮に時価を上回る金額が取得費を構成しないとしても、本件落札価額でなければ本件土地を確実に取得できないと判断したのであるから、当然に譲渡所得の計算上控除される取得に要した金額に含めるべきであることは所得税法の規定からも明らかである旨主張する。
しかしながら、請求人が貸付債権の担保として根抵当権を設定していた本件土地に係る競売において、入札したのは請求人のみであり、しかも落札価額は貸付債権額と同額であること、競売に際しH地方裁判所が決定した本件土地の最低売却価額は、105,000円であり本件落札価額はその約230倍であること、また、落札により取得してから約半年後に113,000円で譲渡したことには経済的合理性が認められないこと等から、本件土地の譲渡所得の金額の計算上、収入金額から控除される取得価額は、請求人が主張する落札価額ではなく、取得時の客観的価額とするのが相当である。
平成11年2月25日裁決
土地・建物を一括して譲渡した場合において、それぞれの取得価額が不明なときには、[1]先ず建物の取得費をN調査会が公表している着工建築物構造単価から算定し、[2]次いで土地の取得費は、譲渡価額の総額から建物の取得費を控除し、土地の譲渡価額を算定した上で、譲渡時に対する取得時の○○価格指数(住宅地)の割合を乗じて算定した事例
請求人は、分離の課税長期譲渡所得金額の計算上、本件建物と本件宅地を一括して譲渡し、そのいずれの取得価額も不明である場合の取得日の算定について、次の通り主張する。
本件建物、本件土地及び農地を一括して3,000万円で取得したが、本件建物は老朽化と傷みによってその価値はなく、また農地も利用価値に乏しい無価値のものであり、よって取得価額の全てが本件宅地の価額である。
しかしながら、当審判所の調査によれば、本件建物のうち昭和55年に建設された新建物については、築後4年の経過で損傷もさほど認められないから、価値は現存し、大正6年に建築された旧建物は価値はないが、一部改築部分については、改築を請け負った工務店の金銭出納帳に記載された金額が取得費の額と認められる。
なお、請求人が主張する本件宅地の取得費は、その支払先・支払金額を確認することができず、請求人の主張は認められない。
これらのことから、本件建物の取得費は、取得時期は判明しているが取得価額が不明なもの(新建物)については、N調査会(以下「調査会」という。)が公表している着工建築物構造単価から算定する。また、本件宅地については、譲渡価額の総額から建物の取得費を控除して宅地の譲渡価額を算定したうえで、譲渡時に対する取得時の六大都市を除く市街地価格指数(住宅地)の割合を乗じて算定する。
上記の算定方法は、調査会が公表した数値であり、市場価格を反映した近似値の取得費が計算でき、合理的であると認められる。
平成12年11月16日裁決
請求人から、その主張する本件譲渡土地の取得に係る裏金の支払事実を確認できる資料の提出がないとして、前所有者が有していた同土地に係る請求人との売買契約書及び確定申告額等に基づいて取得費の額を算定した原処分は適法であるとした事例
請求人は、譲渡した各土地(6筆)の取得に当たって、原処分庁が認めた裏代金以外に多額の裏代金及び造成費の支払があった旨主張し、裏代金の支払いについては、請求人からそれを明らかにする証拠書類の提出があって初めてその事実を確認できるところ、請求人は、本件税務調査に際し、F土地(裏代金の支出を認めたもの)に係る領収証以外の本件土地に係る売買契約書等を提出せず、また、当審判所に対しても、その主張する裏代金及び造成費の内訳を明らかにする証拠書類を提出しないため、請求人の主張は採用できない。
平成13年6月26日裁決
民事再生法に基づく再生計画により、預託金会員制ゴルフ会員権につきその預託金債権の全額が切り捨てられるとともに優先的施設利用権だけのゴルフ会員権を取得した場合、その優先的施設利用権だけのゴルフ会員権の取得価額はその取得時の時価であるとした事例
請求人は、所有していた預託金会員制ゴルフ会員権(以下「本件旧会員権」という。)に係るゴルフ場の経営法人の民事再生法に基づく再生計画に従い、本件旧会員権に係る預託金債権の全額が切り捨てられるとともに付与された預託金債権のないゴルフ場施設の優先的施設利用権のみのゴルフ会員権(以下「本件新会員権」という。)を譲渡したが、その譲渡所得の金額の計算に当たって、本件旧会員権の取得に要した金額から再生計画により切り捨てられた預託金相当額を差し引いた価額を本件新会員権の取得に要した費用とすべき旨主張する。
しかしながら、所得税法第33条第1項の規定の内容及び譲渡所得課税の趣旨からすれば、資産の譲渡による譲渡所得の計算に当たっては、その譲渡時点と取得時点で資産の同質性が維持されている必要があり、譲渡所得の金額の計算上控除されるべき取得費とは、特段の定めがない限り、譲渡資産と同質性が維持された資産の取得に要した金額をいうものと解されるところ、預託金会員制ゴルフ会員権は、優先的施設利用権、預託金返還請求権及び年会費納入等の義務からなる契約上の地位を総称するものと解されることから、預託金会員制ゴルフ会員権の取得に要した金額が、その後のゴルフ会員権の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上取得費として控除されるには、取得時点における預託金会員制ゴルフ会員権としての上記の契約上の地位が、譲渡時点において維持されている必要があると解される。
そうすると、本件旧会員権は、優先的施設利用権及び預託金返還請求権を有する預託金会員制ゴルフ会員権であり、一方、本件新会員権は、優先的施設利用権のみで預託金返還請求権のないゴルフ会員権であることから、本件新会員権における契約上の地位(資産)は、本件旧会員権における預託金返還請求権を失ったことによりこれを要素とする契約上の地位(資産)としての同一性を失っているので、契約上の地位としての性質に変容があったものであり、本件旧会員権と本件新会員権は、別個の資産というべきである。そして、本件旧会員権の取得価額を本件新会員権の取得価額に引き継ぐ旨の所得税法上の規定もないことから、本件新会員権の譲渡所得の計算に当たって、本件旧会員権の取得価額を引き継いで計算することはできない。したがって、本件新会員権の取得価額は、その取得時の時価相当額とするのが相当である。
平成18年11月29日裁決
特例上場株式等の特定口座への受入れの際に、証券会社に対し実際の取得価額を証明する取引報告書を提出していないことから、実際の取得価額に基づいて株式等に係る譲渡所得の金額の計算上控除すべき取得費を計算することはできないとした事例
請求人は、本件株式の実際の取得価額(以下「本件実際取得価額」という。)を証明できる取引報告書を所持しているから、たとえ本件株式がA証券会社の特定口座にみなし取得価額で受け入れられていても、本件実際取得価額を取得費として認めるべきである旨主張するが、特定口座に受け入れられる特例上場株式等の取得価額を本件実際取得価額とするためには、当該取引報告書を証券会社に提出して営業所の長の確認を受ける必要があるところ、請求人は当該取引報告書を証券会社に提出していない。そうすると、請求人は、当該取引報告書を所持しているものの、同報告書に基づいて本件実際取得価額で特定口座に受入れをするための手続を履行しなかったのであるから、本件実際取得価額に基づいて本件株式に係る譲渡所得の金額の計算上控除すべき取得費を計算することはできないというべきである。
上場株式等の譲渡を行う個人投資家の特定口座制度の利用等については、その個人投資家の自由な判断にゆだねられており、請求人は、特定口座を利用せず、あるいは特定口座を設定しても本件株式を特定口座に保管の委託をせずに本件株式を譲渡することにより本件実際取得価額をもって本件株式の譲渡に係る譲渡所得の金額を計算することもできたところ、請求人が自由な判断に基づいて、特定口座制度の利用を選択し、かつ、本件株式を当該口座へ保管の委託をしたものというべきであるから、国の制度変更により本件実際取得価額に基づいて本件株式に係る譲渡所得の金額を計算することができなくなったということはできない。
平成20年5月19日裁決
請求人が審査請求において新たに主張した建物の取得費について、その一部を認容した事例
《要旨》
原処分庁は、請求人が譲渡した土地(本件土地)及び各建物(本件各建物)の各持分の取得費の額は譲渡代金の100分の5に相当する金額(本件概算取得費額)とするのが相当であって、請求人が本件審査請求に至り明らかにした各証拠をもって直ちに取得費の額と判断することはできない旨主張する。
しかしながら、本件土地については、当該各証拠により明らかとなる金額が譲渡代金の100分の5に相当する金額を下回るから、確かに、本件概算取得費額が取得費の額となるものの、本件各建物については、当該各証拠のうち、領収書等の一部は、その宛名や作成時期が他の客観的証拠と符合することからすると、当該一部の領収書等に記載された各金額は、本件各建物の建築のために支払われたものと認められること及び当該各金額の合計額は本件概算取得費額を上回ることからすると、当該各金額の合計額をもって、本件各建物の取得費とするのが相当である。
《参照条文等》
所得税法第38条
租税特別措置法第31条の4
租税特別措置法関係通達31の4−1
請求人は、所得税法第58条第5項に規定する「第1項の規定の適用を受けた居住者」に該当することから、本件土地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除すべき取得費の額は、所得税法第58条第5項及び所得税法施行令第168条第3号の規定を適用して計算した金額になるとした事例(平成23年分の所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分、平成23年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却・平成27年6月15日裁決)
《要旨》
請求人は、平成8年分の所得税の申告において、請求人の借地権(本件借地権)と相手方所有の土地(本件土地)の交換(本件交換)による本件借地権の譲渡に係る譲渡所得について、本件交換時の交換対象資産の各価額の差額を計算すると当該差額が多い方の価額の20%を超えることなどから、所得税法第58条《固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例》第1項に規定する特例(本件特例)の適用を受けていたとは認められないので、請求人は同条第5項に規定する「第1項の規定の適用を受けた居住者」に該当せず、したがって、原処分庁が、平成23年の本件土地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除すべき取得費の額について、所得税法施行令第168条《交換による取得資産の取得価額等の計算》第3号の規定を適用して計算したことは誤りである旨主張する。
しかしながら、所得税法が採用する申告納税方式の下では、居住者が固定資産を交換した日の属する年分の所得税につき確定申告書に本件特例の適用を受けようとする旨を記載するなどして申告をした場合には、その申告により本件特例の適用を前提として計算された税額は確定し、修正申告又は更正により本件特例の適用が否定されない限り、そのような居住者は所得税法第58条第5項に規定する「第1項の規定の適用を受けた居住者」に該当すると解される。本件においては、請求人は、本件交換による本件借地権の譲渡に係る譲渡所得について本件土地を交換取得資産として本件特例の適用を受けようとする旨の平成8年分の所得税の申告をしたものと認められ、その後は、請求人が修正申告をした事実、あるいは原処分庁が更正処分をした事実はいずれも認められない。したがって、請求人は、所得税法第58条第5項に規定する「第1項の規定の適用を受けた居住者」に該当することとなるから、本件土地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除すべき取得費の額は、所得税法第58条第5項及び所得税法施行令第168条第3号の規定を適用して計算した金額によるべきである。
《参照条文等》
所得税法第58条第1項、第5項
所得税法施行令第168条第3号
《参考判決・裁決》
東京地裁平成15年9月19日判決(税資253号順号9443)
旧ゴルフ会員権と新ゴルフ会員権には資産としての同一性があるものとは認められないため、旧ゴルフ会員権の入会時に支払った預託金等は、新ゴルフ会員権の譲渡所得の計算上、取得費として控除することができないとした事例(平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却・平成29年1月6日裁決)
《ポイント》
本事例は、ゴルフ場経営会社に係る民事再生手続における再生計画及び営業譲渡契約において、新運営会社は旧運営会社の債務及び旧会員契約を承継しないこと、ゴルフ場施設の利用を希望する会員は、新たに会員契約を締結する必要があることが定められていることから、旧ゴルフ会員権の優先的施設利用権と預託金債権はいずれも消滅していると認められ、旧ゴルフ会員権と新ゴルフ会員権とは同一性があるものとは認められないと判断したものである。
《要旨》
請求人は、譲渡したゴルフ会員権(本件ゴルフ会員権)は、当初取得した旧運営会社のゴルフ会員権(旧ゴルフ会員権)が民事再生手続における再生計画(本件再生計画)に基づき、営業譲渡に際して新運営会社に預託金が減額されて引き継がれたものであり、本件ゴルフ会員権の譲渡所得の計算上、当初取得時に支払った登録料及び入会保証金(預託金等)は、取得費として控除することができる旨主張する。
しかしながら、譲渡所得の金額の計算上控除されるべき取得費は、譲渡資産と同一性が認められる資産の取得に要した金額をいうものと解されるところ、本件再生計画及び営業譲渡契約において、新運営会社は旧運営会社の債務及び旧会員契約を承継しないこと、ゴルフ場施設の利用を希望する会員は、新たに会員契約を締結する必要があることが定められていることからすると、旧ゴルフ会員権の優先的施設利用権と預託金債権はいずれも消滅していると認められ、旧ゴルフ会員権と本件ゴルフ会員権には資産としての同一性があるものとは認められない。したがって、請求人が入会時に支払った預託金等は、所得税法第33条《譲渡所得》第3項に規定する譲渡所得の計算上、取得費として控除することができない。
《参照条文等》
所得税法第33条第3項
《参考判決・裁決》
東京高裁平成24年6月27日判決(税資262号順号11977)
平成24年8月2日裁決(裁決事例集88)
相続により取得した土地(本件土地)の分離長期譲渡所得の計算上、控除する取得費は、被相続人が本件土地を取得した際の売主が作成した土地台帳に記載された金額であると判断した事例(平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正処分・一部取消し・平成29年12月13日裁決)
《ポイント》
本事例は、分離長期譲渡所得の計算上、控除する取得費は、当審判所の調査により把握された、被相続人が土地(本件土地)を取得した際の売主が作成した土地台帳記載の金額によるべきであり、請求人の主張する地価公示価格から推計した金額や、原処分庁が主張する本件土地の譲渡に係る収入金額の100分の5に相当する金額によることはできないとして、原処分の一部を取り消したものである。
《要旨》
請求人は、本件土地の譲渡に係る分離長期譲渡所得の計算上控除される本件土地の取得費は、地価公示価格から推計した金額によるべきである旨主張し、原処分庁は、本件土地の取得に要した金額の実額は不明であるから、本件土地の譲渡に係る収入金額の100分の5に相当する金額(概算取得費)を本件土地の取得費とすべきであると主張する。
しかしながら、当審判所の調査により把握された、本件土地を被相続人が取得した際の売主が作成した土地台帳(本件土地台帳)の記載内容の信用性は高く、記載内容どおりの事実を認定することができるから、本件土地台帳に記載された金額を本件土地の取得費と認めるのが相当である。なお、請求人の主張する本件土地の取得費の金額は推計したものに過ぎないことから採用することはできない
。
《参照条文等》
租税特別措置法第31条の4
請求人が相続により取得した上場株式の譲渡所得に係る取得費は、当該株式の被相続人への名義書換日を取得時期とし、その時期の相場(終値)によって算定することも合理的な取得費の推定方法であると判断した事例(平成28年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分・一部取消し・令和元年11月28日裁決)
《ポイント》
本件は、請求人が相続により取得した上場株式の譲渡所得の計算上、控除する取得費に算入する金額は、当該株式の被相続人への名義書換日を確認し、当該名義書換日の終値により算定することも合理性を有する取得価額の把握方法であると判断したものである。
《要旨》
原処分庁は、請求人が相続により取得した上場株式(本件株式)の取得費について、できる限りの調査を尽くしたものの、有償で取得した上場株式等はごく一部であり、大部分の上場株式等の実際の取得価額は判明しなかった旨主張する。
しかしながら、名義書換日が判明している株式については、当該名義書換日を取得時期とし、その時期の相場(終値)で取得価額を算定することも、明確かつ簡便な推定方法として合理的であると解されるから、本件株式の取得費は概算取得費によらず、総平均法に準ずる方法により算定すべきである。