所得金額の計算

他支出に係る認定

  1. 収益の帰属事業年度
  2. 益金の額の範囲及び計算
  3. 損失の帰属事業年度
  4. 損金の額の範囲及び計算
    1. 売上原価
    2. 山林ぶ育費
    3. 有価証券の評価
    4. 固定資産の取得価額
    5. 減価償却資産の償却等
    6. 繰延資産の償却等
    7. 役員報酬、賞与及び退職給与
    8. 使用人給与、賞与及び退職給与
    9. 寄付金
      1. 寄付金の範囲
      2. 金銭、経済的利益の無償供与
      3. 無利息貸付け
      4. 他支出に係る認定 (1件)
      5. その他
    10. 外注費
    11. 海外渡航費
    12. 賃貸料、使用料
    13. 売上割戻し
    14. 弔慰金
    15. 支払利息
    16. 為替差損益
    17. 貸倒損失及び債権償却特別勘定
    18. 横領損失
    19. 損害賠償金
    20. 不動産取引に係る手数料等
    21. 福利厚生費
    22. 資産の評価損
    23. 燃料費、消耗品費
    24. 雑損失
    25. 使途不明金
    26. その他の費用
  5. 圧縮記帳
  6. 引当金
  7. 繰越欠損金
  8. 借地権の設定等に伴う所得の計算
  9. 特殊な損益の計算
  10. 適格合併

請求人が支払った建物等の請負工事代金のうち請負業者が請求人の関連法人に支払った金額は、寄附金の額に該当すると判断した事例(1平成27年8月1日から平成28年7月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分並びに令和3年8月1日から令和4年7月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、2平成27年8月1日から平成28年7月31日まで及び令和3年8月1日から令和4年7月31日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分、3平成27年8月1日から平成28年7月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに重加算税の賦課決定処分、4平成27年8月1日から平成28年7月31日までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消処分・12及び3一部取消し、4棄却)

令和6年12月10日裁決

《ポイント》
 本事例は、請求人が支払った建物等の請負工事代金のうち請負業者が請求人の関連法人に支払った金額は、請求人が当該請負業者を介して、請求人の関連法人に金銭を対価なく移転するもの(資金の贈与)であると認められ、かつ、請求人が当該資金の贈与を行うことに通常の経済取引として是認することができる合理的理由は認められないから、寄附金の額に該当すると判断したものである。

《要旨》
 請求人は、取得した建物等の新築工事(本件建物等工事)等につき、これらを請け負った建設会社(本件建設会社)及び建築士(本件建築士)が請求人の関連法人(N社、P社及びQ社)に支払った各金額(本件支払額1及び本件支払額2)は、N社、P社及びQ社による役務の提供の対価であるから、法人税法第37条《寄附金の損金不算入》第7項に規定する寄附金の額に該当しない旨主張する。
 しかしながら、本件支払額1及び本件支払額2については、本件建設会社及び本件建築士がN社、P社及びQ社から何ら役務の提供を受けていないにもかかわらず、請求人の指示に従って支払われたものであることに加え、請求人は、本件建物等工事等に係る契約書等の請負代金等に本件支払額1及び本件支払額2に相当する金額を含めて当該契約書等を作成するとともに、本件建設会社及び本件建築士に対し、本件支払額1及び本件支払額2をN社、P社及びQ社に支払うよう指示していたことを併せ考慮すれば、本件支払額1及び本件支払額2に相当する金額は、請求人が本件建設会社及び本件建築士を介して、N社、P社及びQ社に金銭を対価なく移転するもの(資金の贈与)であると認められ、かつ、請求人が当該資金の贈与を行うことに通常の経済取引として是認することができる合理的理由は認められないから、本件支払額1及び本件支払額2に相当する金額は同項に規定する寄附金の額に該当する。
 また、原処分庁は、請求人が取得した構築物の新設工事(本件構築物工事)につき、これを請け負った本件建設会社が請求人の指示に従ってN社及びP社に支払った金額(本件支払額3)については、本件建設会社がN社及びP社から役務の提供を受けていないこと、また、本件構築物工事に係る契約書記載の請負代金は、請求人が本件建設会社に依頼して本件支払額3に相当する金額を上乗せしたものであることなどの諸事情を総合勘案すると、本件支払額3に相当する金額は、請求人が本件建設会社を介してN社及びP社に対し贈与したものと認められる旨主張する。
 しかしながら、本件支払額3については、本件建設会社がN社及びP社に対し本件構築物工事に係る資材の購入等の対価として支払をしたものと認められることから、本件支払額3に相当する金額は、請求人が本件建設会社を介して行ったN社及びP社に対する資金の贈与の額であると認めることはできない。

《参照条文等》
 法人税法第37条第7項

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