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居住用部分の判定
- 不動産所得及び事業所得等の特例
- 譲渡所得の特例
- 株式等に係る譲渡所得等の特例
- 住宅借入金(取得)等特別控除
- 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除
- タックスヘイブン対策税制
- 寄附金特別控除
居住用部分と非居住用部分の譲渡収入金額のあん分比は当該資産の相続税評価額の比によるのが合理的であるとした事例
裁決事例集 No.15 - 21頁
譲渡資産には、居住用部分と非居住用部分とがあるので、租税特別措置法(昭和49年法律第17号による改正前のもの)第35条第1項に規定する特別控除適用金額を適正に算定するには、当該譲渡資産の相続税評価額の比によるのが最も合理的である。
昭和53年3月15日裁決
建物の居住用部分と非居住用部分との区分割合について原処分庁の主張を退けた事例
裁決事例集 No.23 - 238頁
本件家屋の居住用部分と非居住用部分との区分割合につき、原処分庁は、居住用部分は3分の1にすぎないと認定したが、本件家屋の使用状況からみると、非居住用部分と認められるのは物置、土間の一部だけで、居住用部分の占める割合は82.2パーセントと認められるから、この割合により居住用部分に係る譲渡所得の金額を算出し、これにつき租税特別措置法(昭和53年法律第11号による改正前のもの)第35条に規定する居住用財産の譲渡所得の特別控除を認めるのが相当である。
昭和56年10月15日裁決
居住用及び貸間用に併用されている家屋の敷地のうち観賞用の庭園等として利用されている部分を居住専用部分と認定した事例
裁決事例集 No.28 - 302頁
原処分庁は、本件家屋は1階と2階の床面積が等しく、かつ、1階は居住用、2階は貸間用とされているので、敷地の利用割合も居住用部分、非居住用部分とも50パーセントずつと認定したが、[1]間借人の居住する2階部分から庭園観賞は困難であること、[2]間借人は庭を物置、物干し又は洗濯場として利用していないこと、[3]庭園があることにより賃貸料が他に比し高額になっている因果関係が認められないことから敷地のうち庭の部分は居住専用とし、残りの部分の2分の1を居住用とし、結局敷地の居住用部分の面積割合は64.5パーセントとするのが相当である。
昭和59年4月20日裁決
譲渡した宅地の一部分は租税特別措置法第35条第1項の規定の適用のない非居住用部分であるとの原処分庁の主張を退けた事例
裁決事例集 No.29 - 193頁
原処分庁は、譲渡した本件宅地につき、[1]市販の住宅地図には「○○商店」と表示されており、また、固定資産課税台帳によれば、本件宅地上にあって譲渡時に取り壊した本件家屋は「居宅兼店舗」とされていること、[2]本件宅地には、鉄くずが落ちないように鉄さくが張られ、また、物干場兼物置には、商品が置かれていたこと、[3]本件宅地内に営業用のトラックを駐車していたことから、その一部は請求人の事業の用に供されていたものと認められると主張するが、[1]請求人は本件宅地の周囲の土地を商品置場として借り受け古物業の営業を行っていたが、昭和47年からは現住所地にその営業を移していること、[2]本件家屋に店舗等事業の用に供し得るとみられる部分はなく、また、本件宅地には本件家屋のほか、庭石、庭木等も存したことが認められ、本件宅地の一部を事業の用に供したとするには無理があること、[3]件宅地に鉄さくを張り、商品を置いた事実はなく、また、昭和56年11月以降においては、トラックの駐車場としていた事実はないことから、本件宅地はすべて居住用財産に該当すると認めるのが相当である。
昭和60年1月9日裁決
高床式居宅兼共同住宅の床下部分の土地が賃貸駐車場として利用されている場合においてその敷地全体を居住用、事業用の併用であると判定した上、その土地の譲渡価額を居住用部分と事業用部分に区分計算すべきであるとした事例
裁決事例集 No.39 - 479頁
一般に、駐車場には土地をそのまま使用するいわゆる青空駐車場から屋根付きの駐車場、更には建物内部に設けられた駐車場等各種の形態があるが、本件の場合は建物の床下部分を駐車場としているのであるから、外壁がない点を除けば2階建ての建物の1階部分を駐車場として使用している場合と基本的には変わらないとみるのが相当であり、そうすると、本件建物は居住用、事業用の併用であることから、その敷地である本件土地も居住用、事業用の併用とみるべきであり、原処分庁において本件土地を本件建物の居住用、事業用それぞれの使用割合に応じて区分計算した方法には合理性があり、これを不相当とする理由は認められない。
平成2年4月13日裁決
譲渡した土地上に存する2棟の家屋は独立しており、租税特別措置法第35条第1項に規定する特例対象土地は、家屋の建築面積に近似する床面積で按分した居住用家屋の敷地部分に限られるとした事例
《ポイント》
本事例は、譲渡した土地上の2棟の家屋が2階部分で接合されていたとしても、それぞれ独立した居住用家屋であり、併せて一構えの一の家屋であるとは認められない。本件特例の対象となる土地に係る譲渡所得の金額は、譲渡した土地の譲渡所得の収入金額に、各家屋の建築面積に近似する床面積の合計に占める本件甲家屋(請求人が所有し居住用に供していた家屋)の建築面積に近似する床面積の割合を乗じて算出することが合理的としたものである。
《要旨》
請求人は、譲渡した土地上に、請求人が所有し居住用に供していた家屋(本件甲家屋)と子が所有する家屋(本件乙家屋)の2棟が存するが、これらの家屋は併せて一構えの一の家屋と認められるから、いずれの家屋の敷地も租税特別措置法第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項の規定(本件特例)の適用がある旨主張する。
しかしながら、各家屋は、それぞれ、玄関、台所、風呂及び便所を備え、電気、ガス、水道及び固定電話回線の各設備を有し、その規模、構造、間取り、設備等の状況からすれば、各家屋はそれぞれ独立した居住用家屋であることから、併せて一構えの一の家屋であるとは認められず、本件乙家屋敷地について本件特例を適用することはできない。
そして、本件特例の対象となる土地(本件甲家屋の敷地)に係る譲渡所得の金額は、譲渡した土地の譲渡所得の収入金額に、各家屋における各階の登記上の床面積のうち、建築面積に近似する最も広い床面積を、両家屋の各建築面積として用いるのが合理的であり、各家屋の建築面積に近似する床面積の合計に占める本件甲家屋の建築面積に近似する床面積の割合を乗じて算出することが合理的である。