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特別控除額の計算
- 不動産所得及び事業所得等の特例
- 譲渡所得の特例
- 株式等に係る譲渡所得等の特例
- 住宅借入金(取得)等特別控除
- 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除
- タックスヘイブン対策税制
- 寄附金特別控除
家屋に係る居住用財産の特別控除不足額をその家屋の敷地の所有者である叔母の譲渡所得金額から控除することはできないとした事例
裁決事例集 No.9 - 38頁
居住用家屋の所有者と土地の所有者とが異なるものを同時に譲渡した場合に、居住用家屋の譲渡に係る特別控除額の控除不足額を土地の譲渡所得の金額から控除できるのは、家屋の所有者と土地の所有者が、夫と妻、親と子又は祖父母と孫の関係にあり、かつ、その家屋に同居して生計を一にしている場合に限られるのであるが、家屋の所有者は請求人の叔母であり、土地の所有者は請求人で、当該家屋に同居して生計を一にしているとは認められないから、家屋に係る特別控除額の控除不足額を土地の譲渡に係る所得金額から控除することはできない。
昭和49年11月26日裁決
夫婦共有の居住用財産を一体として譲渡して、譲渡益をあん分し、夫婦それぞれの特別控除の限度額の合計額を控除するような恣意的な計算を行うことは許されないとした事例
請求人は、共有の居住用財産に係る譲渡益のあん分方法について法律の規定はないから、夫婦が共有する場合には各人の特別控除額(3,000万円)の全額を適用できるように所得金額を算定すべきであると主張するが、かかる主張は請求人独自の見解であり、また、その算定方法に合理性があるとは認められない。
そして、本件の場合、譲渡契約書の特約事項において、請求人らが建物を解体した上で更地にして引き渡すことが条件とされていることから、売買代金の総額を土地の譲渡対価とみるのが相当である。
したがって、請求人に係る譲渡収入金額は、譲渡土地の総面積のうち請求人が譲渡した土地の面積の占める割合を譲渡価額の総額に乗じて計算するのが相当である。また、取得費については、本件土地建物の取得時の価額を算定するに足りる証拠もないから、固定資産税評価額を基に算定したことが不合理とはいえない。
さらに、解体した建物に係る未償却残高は、資産の取壊しによる損失とするのが相当であるから、譲渡費用に算入するのが相当である。
平成5年6月23日裁決
居住用土地建物及び非居住用土地建物と一体で利用されていた私道を譲渡した場合において、当該私道の面積のうち租税特別措置法第35条に規定する特例の適用がある部分は、居住用土地及び非居住用土地の各面積を基にあん分により求めた面積とすることが相当であるとした事例(平成24年分の所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・一部取消し・平成27年1月23日裁決)
《要旨》
請求人は、居住の用に供していた家屋(本件居住用家屋)の敷地(甲土地)のほか、甲土地に隣接する土地上にあった通路(本件通路)のうち4分の1に相当する部分にも、租税特別措置法第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項に規定する特例の適用がある旨主張する。
しかしながら、同項に規定する「居住の用に供している家屋の敷地」であるかどうかは、当該土地等が当該家屋と一体として利用されている土地等であったかどうかにより判定することが相当である。これを本件についてみると、本件通路は、本件居住用家屋のほか、本件通路に面している6棟の建物(本件各空家)の出入りにも必要な土地であり、現に、その出入りに利用されてきた土地であることから、本件居住用家屋及び本件各空家と一体で利用されていた土地であると認められる。そうすると、本件通路のうち租税特別措置法第35条第1項に規定する居住の用に供している家屋の敷地に該当していた部分は、本件通路を本件居住用家屋と本件各空家に対応する部分であん分した本件居住用家屋に対応する部分とすることが合理的であると認められる。そして、そのあん分に当たっては、本件通路は甲土地及び本件各空家の敷地への出入りに利用されていた土地であるから、甲土地及び本件各空家の敷地面積を基にあん分することが合理的である。したがって、請求人の主張は採用できない。
《参照条文等》
租税特別措置法第35条
租税特別措置法通達(山林所得・譲渡所得関係)31の3-12