所得税法の特例

買換資産等の範囲

  1. 不動産所得及び事業所得等の特例
  2. 譲渡所得の特例
    1. 長期譲渡所得と短期譲渡所得
    2. 長期譲渡所得に係る課税の特例
    3. 短期譲渡所得の課税の特例
    4. 収用等の場合の譲渡所得の特別控除等
    5. 特定事業の用地買収等の場合の譲渡所得の特別控除
    6. 居住用財産の譲渡所得の特別控除
    7. 居住用財産の買換えの場合の課税の特例
    8. 特定の事業用資産の買換えの場合等の課税の特例
      1. 事業用資産の判定
      2. 買換資産等の範囲(2件)
      3. 買換資産等の事業供用の認定事例
      4. 申告手続
    9. 既成市街地等内にある土地等の中高層耐火共同住宅の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例
    10. 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例
    11. その他
  3. 株式等に係る譲渡所得等の特例
  4. 住宅借入金(取得)等特別控除
  5. 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  6. 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除
  7. タックスヘイブン対策税制
  8. 寄附金特別控除

法人から残余財産の分配等により取得した土地は買換取得資産に当たらないとした事例

裁決事例集 No.14 - 54頁

 法人の解散に伴い残余財産の分配として請求人が取得した土地は、出資の金額が残余財産の分配によって単に他の資産に化体したものと解するのが相当であり、また、租税特別措置法(昭和43年法律第23号による改正後のもの)第38条の6“事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の金額の計算”の規定によれば、買換資産は個人が事業用の特定資産を譲渡し、その譲渡対価により取得したものに限ると解されるところから、請求人の取得した上記の土地は事業用買換資産に当たらないとした原処分は相当である。

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面積制限を超えて取得した二以上の買換土地の面積は、当該土地を平均的に取得したものとして計算するのが正当であるとして請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 No.52 - 64頁

 買換土地の面積制限の計算に当たり、請求人は、原処分庁は租税特別措置法通達37−10に基づきQ市及びM市の土地を平均的に取得したとしているが、本件買換資産は同通達の発遣前に取得しているので、同通達は適用される余地がなく、法人の取扱いと同様に納税者に有利になるよう任意に買換土地を選択できる旨主張するが、次の理由から、買換土地を平均的に取得したとする本件更正処分は適法である。

  1.  租税特別措置法施行令第25条の2第2項は、租税特別措置法第37条の3第1項の規定を受けて、買換資産が二以上ある場合の各買換資産の取得価額は、各買換資産の買換資産の合計額のうちに占める割合を乗じた金額とする旨規定していることから、買換土地の面積制限の計算も平均的に取得したものと解するのが相当である。
  2.  租税法規の解釈として、通達が公開されているのは、課税庁内部の取扱いの統一と納税者の申告・納税の便に供していることが認められ、その内容が法律の正しい解釈に合致している以上、法律の根拠に基づくものと解するのが相当である。
  3.  租税特別措置法通達37−10は、請求人が買換資産を取得した後に発遣されているが、同通達の発遣前から租税特別措置法通達37−19及び37の3−2が存在し、従来から二以上の土地を平均的に買換資産とする取扱いがされていたと認められ、平成3年度の税制改正に伴い、租税特別措置法通達37−10によりそれまでの取扱いが明確にされたものといえる。
  4.  さらに、特定の事業用資産の買換特例に関して、[1]個人は租税特別措置法第37条第1項及び第37条の3第1項において、譲渡所得の金額及び引継価額の計算方法を規定しているが、[2]法人は租税特別措置法第65条の7第1項において、損金の額に算入する金額の計算方法を規定しているのみであり、同法第37条の3第1項及び租税特別措置法施行令第25条の2第2項と同様な規定がなく、その規定振りが異なる。

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