所得税法の特例

申告手続

  1. 不動産所得及び事業所得等の特例
  2. 譲渡所得の特例
    1. 長期譲渡所得と短期譲渡所得
    2. 長期譲渡所得に係る課税の特例
    3. 短期譲渡所得の課税の特例
    4. 収用等の場合の譲渡所得の特別控除等
    5. 特定事業の用地買収等の場合の譲渡所得の特別控除
    6. 居住用財産の譲渡所得の特別控除
    7. 居住用財産の買換えの場合の課税の特例
    8. 特定の事業用資産の買換えの場合等の課税の特例
      1. 事業用資産の判定
      2. 買換資産等の範囲
      3. 買換資産等の事業供用の認定事例
      4. 申告手続(4件)
    9. 既成市街地等内にある土地等の中高層耐火共同住宅の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例
    10. 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例
    11. その他
  3. 株式等に係る譲渡所得等の特例
  4. 住宅借入金(取得)等特別控除
  5. 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  6. 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除
  7. タックスヘイブン対策税制
  8. 寄附金特別控除

租税特別措置法第37条第4項に規定する承認に係る通知書が送達されたと推定されるとして、本件更正に更正期限を徒過した違法はないとした事例

裁決事例集 No.30 - 202頁

 請求人は、租税特別措置法(昭和55年法律第9号による改正前のもの)第37条第1項の規定の適用を受けるため、買換資産の取得予定年月日等を記載した買換承認申請書を提出したのに、同条第4項に規定する承認に係る通知書を受け取った事実はないから、同条第1項の規定の適用はないこととなり、買換資産を取得予定年月日までに取得しなかったことによりなされた本件更正は、法定申告期限(確定申告書の提出期限)から3年経過後になされたものであって、違法であると主張するが、当該通知書が請求人に送達されなかったとする特段の事情の認められない当該通知書の送達にあっては、税務署長が郵便によって発送した日から起算して通常到達すべきであった時に送達があったと推定するのが相当であり、これにより請求人は同法第37条第4項に規定する承認を受けていると認められるから、当該承認に係る買換資産の取得予定年月日までに買換資産を取得しなかった場合の法定申告期限(同法第37条の2第2項に規定する修正申告書の提出期限)から3年以内になされた本件更正について、更正期限を徒過した違法はない。

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租税特別措置法第37条の課税の特例を適用して確定申告書を提出した者が、その後に当該特例の適用を取りやめる旨の修正申告書の提出をすることはできないとした事例

裁決事例集 No.37 - 295頁

 譲渡所得の金額の計算について、納税者が租税特別措置法第37条の特例の適用を受ける旨を記載した確定申告書を提出した以上、やむを得ない事情がある場合のほかは、修正申告書を提出することによってその適用を受けない旨の変更をすることはできないと解されるところ、請求人の当該特例を適用した昭和58年分の確定申告は、適法なものであり、請求人が提出した同年分の修正申告書が同法第37条の2第2項の修正申告書の提出要件にも該当しないことは条文上明らかである上、請求人は、原処分の調査時に、当該特例を適用した場合、昭和61年分の分離短期譲渡所得の金額が増加することを知って、昭和58年分の修正申告書を提出したものであり、当該特例を適用して確定申告書を提出したことについてやむを得ない事情がある場合にも該当するとは認められないから、請求人の主張には理由がない。

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租税特別措置法第37条第3項に規定する届出をその提出期限までにしなかった場合には、同条第8項のゆうじょ規定を適用することはできないとした事例

裁決事例集 No.61 - 355頁

 請求人は、租税特別措置法第37条第3項に規定する届出(以下「本件届出」という。)をその提出期限までにしなかったことについては、やむを得ない事情があるとして、租税特別措置法第38条第8項の規定(以下「本件ゆうじょ規定」という。)により、譲渡所得の金額の計算について租税特別措置法第37条第3項の規定を適用すべきである旨主張する。
 しかしながら、本件ゆうじょ規定は、確定申告書に租税特別措置法第37条第1項の規定を受ける旨の記載がなかった場合等においてやむを得ない事情があるときに、同項の規定の適用を認めることができる旨を定めたものであり、本件届出を提出期限までにしなかった場合のゆうじょ規定ではないから、たとえ、実質的には本件特例の適用要件を満たしているとしても、本件届出を期限までに行わなかった以上、本件特例の適用を受けることはできない。

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買換承認申請書の買換期限の延長承認申請書が提出期限までに提出されていないので買換特例の適用はないとした事例

裁決事例集 No.63 - 236頁

 請求人は、確定申告書に添付した買換承認申請書の提出をもって、やむを得ない事情がある場合の延長承認申請書の提出があったものとみなすべきであるから、租税特別措置法第37条の5《既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例》に規定する課税の特例の適用を受けることができる旨主張する。
 しかしながら、買換承認申請書を延長承認申請書とみなすことができる規定はなく、請求人が提出した買換承認申請書には延長承認申請書に記載すべき所定の事項の記載もないのであるし、また、請求人が提出した延長承認申請書は、その提出期限後に提出されているから適法なものと認めることはできないのであり、そうすると、請求人は、買換資産を買換承認申請書による取得期限までに取得していないから、租税特別措置法第37条の5の適用を受けることはできない。

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