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その他
- 収益の帰属事業年度
- 益金の額の範囲及び計算
- 損失の帰属事業年度
- 損金の額の範囲及び計算
- 圧縮記帳
- 引当金
- 繰越欠損金
- 借地権の設定等に伴う所得の計算
- 特殊な損益の計算
- 適格合併
請求人が監査役に対して支出したとする役員報酬は、取締役に対する報酬を監査役に対する報酬と仮装して経理したと認められることから、損金算入は認められないとした事例
請求人は、その監査役である代表者の父及び義姉に対する役員報酬について、両監査役が監査役として就任し登記されている以上、報酬の支給が行われて当然であり、両監査役は、商法上の責任の対価としても報酬を受給する権利があるから、当該報酬の額は損金の額に算入されるべきであり、また、当該報酬を代表者の妻である常務が費消していたのは、当該報酬の額の一部を常務を通じて実際に両監査役に対して支給し、その残額を両監査役から代表者が借り受けていたものである旨主張する。
しかしながら、監査役に対する報酬として請求人が支出した金員の全額について、常務は、現金で直接受領し、自己の預貯金口座に入金するなどして管理し、自らの支払に費消していたこと、本件金員は常務の意思により管理し自由に費消可能な状態にあったこと、代表者と両監査役との間に本件金員に関する金銭消費貸借の事実も認められず、両監査役が実際に監査業務に従事しておらず、常務が監査業務を行っていることなどの諸事情を併せ考慮すれば、本件金員が、常務に対して支給されたものであり、請求人から常務に対する報酬と認めるのが相当であり、また、本件金員を請求人が両監査役に対して支給したとしていたことは、常務に対する報酬を監査役に対する報酬に仮装して経理していたと認められる。
平成21年11月6日裁決
役員給与の減額理由が業績悪化改定事由に該当しないから減額後の定期給与の額を超える部分は定期同額給与とはいえず損金の額に算入することができないとした事例
《ポイント》
役員給与のうち、定期同額給与、事前確定届出給与及び利益連動給与のいずれにも該当しないものの額は、損金の額に算入されないこととされている。このうち、定期同額給与とは、各支給時期における支給額が同額である定期給与のほか、支給額の改定があった場合において一定の要件を満たす定期給与をいう。
この事例は、請求人における役員給与の減額改定につき、業績悪化改定事由の存否を判断したものである。
《要旨》
請求人は、決算月(平成20年7月)の2か月前において、経常利益が対前年比で6%減少している状況から、代表取締役の給与を減額改定したことは、法人税法施行令第69条《定期同額給与の範囲等》第1項第1号ハに規定する役員給与の減額に係る業績悪化改定事由に該当する旨主張する。
しかしながら、法人税法施行令第69条第1項第1号ハに規定する業績悪化改定事由とは、法人の経営状況の著しい悪化その他これに類する理由によりやむを得ず役員給与の額を減額せざるを得ない事情があることをいうのであり、本件は、本件事業年度の売上高、経常利益は過去の業績と比べて何らそん色がないこと、
請求人が設定した業務目標を達成できなかったことが減額の理由であること等からすれば、業績悪化改定事由があるとは認められず、また、上記理由以外に役員給与を減額せざるを得ない特段の事情が生じていたと認めるに足る事実はない。
《参照条文等》
法人税法第34条第1項第1号
法人税法施行令第69条第1項第1号ハ
法人税基本通達9−2−13
各役員への給与に係る支払債務は実際に確定し、請求人においてその支給事務が行われたのであるから、当該役員給与は架空のものとは認められないとした事例
《要旨》
原処分庁は、請求人の役員であるJ、N及びP(本件各役員)に対する役員給与(本件各役員給与)について、役員給与を受け取っていない旨のJ及びNの申述などから、本件各役員給与は本件各役員に支給されておらず、架空の役員給与である旨主張する。
しかしながら、本件各役員はいずれも役員として勤務実態がある上、本件各役員の役員給与の金額が、請求人の取締役会等において承認され、支給時期等は、請求人の従業員と同様に、毎月10日払いとされており、これらの事実に基づいて、請求人は、本件各事業年度において、本件各役員の役員給与の合計額を総勘定元帳の「役員報酬」勘定に計上したのであるから、毎月10日の時点で、請求人の本件各役員の役員給与の当月分の支払債務が実際に確定していたとみるのが相当である。そして、支払債務の確定した本件各役員の役員給与は、請求人において支給事務が行われたと認められるのであるから、本件各役員給与は架空のものとは認められない。
《参照条文等》
法人税法第127条、第130条