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使用人兼務役員に対する賞与
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使用人兼務役員の使用人としての職務に対する相当な賞与の額を算出する場合に比準者が存しないときはその地域の給与等の伸び率を勘案して算出すべきであるとした事例
裁決事例集 No.34 - 96頁
使用人兼務役員に対する使用人分賞与は、請求人の他の使用人を比準者として算定すべきであり、当該他の使用人が能率給を受給する者で使用人兼務役員とは職務内容、給与の支給基準を異にしていたとしても、上記判断に何ら影響を及ぼすものではないと原処分庁は主張するが、使用人兼務役員と他の使用人とがその職務内容、給与の支給基準を著しく異にする場合には、比準者とすることは合理性がなく、その地域の平均の給与の伸び率、賞与の支給倍率等を勘案して算出するのが相当である。
昭和62年11月30日裁決
請求人の取締役が使用人兼務役員に該当しないとした事例
《ポイント》
本事例は、請求人の取締役が、職務分掌の変更により使用人としての職制上の地位を有しないこととなったと認められることから、当該職務分掌以後は使用人兼務役員に該当しないとしたものである。
《要旨》
請求人は、同族会社である請求人の取締役(本件取締役)について、取締役に就任した後も、請求人の営業部の部長職である職制上の地位を有していること、営業部長として代表取締役の指揮命令系統に属する職務を行っていること、請求人の代表取締役の親族でもなくまた株主でもないこと、及び請求人の実質的な意思決定の場である月例会議にも参加していないことから、使用人兼務役員に該当し、当該取締役に対して支払った賞与は使用人としての職務に対する賞与であるから、損金の額に算入できる旨主張する。
しかしながら、請求人では、機構上、使用人としての職制上の地位が明確に定められているところ、本件取締役は、請求人及び請求人のグループ法人内での職務分掌の変更(分掌変更)により請求人の営業部の部長職の地位を失っていることから、請求人における使用人としての職制上の地位を有していないと認められるので、分掌変更以後、本件取締役は使用人兼務役員には該当せず、分掌変更以後に支給された賞与の額は損金の額に算入されない。
なお、分掌変更前の使用人兼務役員に該当する期間において支給された賞与の額については、他の使用人と同様に給与規程に基づく方法で決定されているものではないものの、他の使用人に対する賞与の支給時期に支給され、使用人としての職務の対価であったことを否定するに足りる証拠はないことから、損金の額に算入される。
《参照条文等》
法人税法第34条第1項、第6項
法人税法施行令第71条第1項
《参考判決・裁決》
東京地裁平29年1月18日判決(税資267号順号12956)