所得金額の計算

損金処理

  1. 収益の帰属事業年度
  2. 益金の額の範囲及び計算
  3. 損失の帰属事業年度
  4. 損金の額の範囲及び計算
    1. 売上原価
    2. 山林ぶ育費
    3. 有価証券の評価
    4. 固定資産の取得価額
    5. 減価償却資産の償却等
      1. 範囲
      2. 取得価額
      3. 事業の用に供した時期
      4. 耐用年数
      5. 損金処理(4件)
      6. リース取引
      7. 取引の時期
      8. その他
    6. 繰延資産の償却等
    7. 役員報酬、賞与及び退職給与
    8. 使用人給与、賞与及び退職給与
    9. 寄付金
    10. 外注費
    11. 海外渡航費
    12. 賃貸料、使用料
    13. 売上割戻し
    14. 弔慰金
    15. 支払利息
    16. 為替差損益
    17. 貸倒損失及び債権償却特別勘定
    18. 横領損失
    19. 損害賠償金
    20. 不動産取引に係る手数料等
    21. 福利厚生費
    22. 資産の評価損
    23. 燃料費、消耗品費
    24. 雑損失
    25. 使途不明金
    26. その他の費用
  5. 圧縮記帳
  6. 引当金
  7. 繰越欠損金
  8. 借地権の設定等に伴う所得の計算
  9. 特殊な損益の計算
  10. 適格合併

確定した決算に基づき法人税の確定申告をした後に決算を変更する株主総会決議をしたとしても、確定決算において損金経理されていない減価償却費及び債権償却特別勘定繰入額は、損金の額に算入されないとした事例

裁決事例集 No.37 - 165頁

 請求人は、本件事業年度の決算は、定時株主総会ではなく、その後に開催された臨時株主総会において減価償却費及び債権償却特別勘定繰入額を計上した新決算書が承認されたことにより確定し、これに基づき修正申告をしたのであるから、本件償却費等の損金算入を認めるべきであると主張する。
 しかし、[1]請求人の代理人である税理士が請求人の依頼に基づき定時株主総会に報告するため本件償却費等の計上のない旧決算書を作成したこと、[2]請求人は、旧決算書が適法に確定したことを前提とする法人税の確定申告書を法定申告期限内に提出し、かつ、当該申告が有効であることを自認していること、[3]請求人が提出した臨時株主総会の議事録は、重大な誤りがあり信用できないことなどからすれば、旧決算書が、定時株主総会の承認を受けた決算、すなわち「確定した決算」であると認められ、このような確定した決算を変更することは、確定申告が無効となるような特別の事情がない限り認められないと解すべきであり、請求人には、そのような特別の事情はないのであるから、損金経理されていない本件償却費等は、損金の額に算入することはできない。

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土地信託に係る建物の減価償却費を損金経理していないので認めなかった事例

裁決事例集 No.41 - 193頁

 減価償却費の損金算入は、法人税法第31条第1項の規定により、簿外資産であるか否かを問わず損金経理することを要件とし、損金経理には、その性質上損金経理がされたとみなす場合及び減価償却資産の全部又は一部を資産に計上しないで損金経理し、法人税法施行令第63条に規定する明細書にその資産の償却費の計算明細を記載して申告調整した場合が含まれるところ、本件信託建物は財務諸表に記載されておらず、その償却費は損金経理もされていないことから、いずれにも該当せず、償却費の損金算入は認められない。

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請求人が取得した減価償却資産について、租税特別措置法第67条の5の規定は適用できないとしても、償却限度額に達するまでの金額が損金の額に算入されるとした事例

平成24年6月19日裁決

《ポイント》
 本事例は、請求人の青色申告の承認が取り消されたことに伴い、青色申告を要件とする租税特別措置法第67条の5《中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例》は適用できないとしても、償却費として損金経理した金額のうち、取得した減価償却資産の償却限度額に達するまでの金額は減価償却費として損金の額に算入されるとしたものである。

《要旨》
 原処分庁は、請求人が取得価額の全額を償却費として損金の額に算入した減価償却資産(本件減価償却資産)について、請求人から資料の提出がなく、償却限度額の計算をすることが不可能であったから、その全額の損金算入を認めないとする更正処分をした。
 しかしながら、法人税法第31条《減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法》第1項は、所得の金額の計算上減価償却費として損金の額に算入できる金額は、当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額のうち、償却限度額に達するまでの金額とする旨規定し、同条第4項は、損金経理をした金額には、償却費として損金経理をした事業年度前の各事業年度における当該減価償却資産に係る損金経理額のうち当該償却事業年度前の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかった金額を含むものとする旨規定するところ、審判所の調査によれば、請求人は本件減価償却資産を取得し、事業の用に供していると認められるから、本件減価償却資産につき、各事業年度における償却限度額に達するまでの金額は減価償却費として損金の額に算入される。

《参照条文等》
 法人税法第31条
 租税特別措置法第67条の5

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設備を事業の用に供していなかったことから損金不算入額となった償却費は償却超過額には該当せず、翌事業年度において損金経理額に含まれないとした事例(平成26年4月1日から平成27年3月31日まで及び平成27年4月1日から平成28年3月31日までの各事業年度の法人税の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分、平成26年4月1日から平成27年3月31日まで及び平成27年4月1日から平成28年3月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、平成27年4月1日から平成28年3月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却・平成30年3月27日裁決)

平成30年3月27日裁決

《ポイント》
 本事例は、事業年度終了時において事業の用に供されていない資産について、当該事業年度において償却費として損金経理した金額が損金不算入額となった場合、それは法人税法上の減価償却資産に該当しない資産に係るものであるから、当該事業年度の償却超過額には該当せず、翌事業年度の損金経理額に含まれないとしたものである。

《要旨》
 請求人は、太陽光発電設備を取得した事業年度において、同設備に係る償却費の額を損金の額に算入して法人税の確定申告をした後、同設備を当該事業年度内に事業の用に供していなかったとして当該償却費の額を償却超過額として修正申告したところ、当該事業年度の翌事業年度に電力の供給を開始して同設備を事業の用に供したことから、当該翌事業年度の法人税について、同設備に係る償却費の額を損金の額に算入すべきである旨主張する。
 しかしながら、同設備は当該事業年度終了時においては事業の用に供されていないから、法人税法上の減価償却資産に該当しない。そして、当該事業年度において償却費として損金経理をしていたとしても、それは法人税法上の減価償却資産に該当しない資産に係るものであって、法人税法第31条《減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法》第1項に規定する償却費として損金経理をした金額(損金経理額)に該当せず、また、法人税法上の減価償却資産に係る償却超過額にも当たらない。そうすると、請求人が当該事業年度に償却超過額とした金額は、当該翌事業年度において、同条第4項に規定する当該償却事業年度前の各事業年度における当該減価償却資産に係る損金経理額のうち当該償却事業年度前の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかった金額(償却超過額)には該当せず、当該翌事業年度の損金経理額に含まれないから、当該翌事業年度の損金の額に算入することはできない。

《参照条文等》
 法人税法第2条第23号、第31条第1項・第4項
 法人税法施行令第13条
 租税特別措置法第42条の5第1項・第6項

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