所得金額の計算

耐用年数

  1. 収益の帰属事業年度
  2. 益金の額の範囲及び計算
  3. 損失の帰属事業年度
  4. 損金の額の範囲及び計算
    1. 売上原価
    2. 山林ぶ育費
    3. 有価証券の評価
    4. 固定資産の取得価額
    5. 減価償却資産の償却等
      1. 範囲
      2. 取得価額
      3. 事業の用に供した時期
      4. 耐用年数(10件)
      5. 損金処理
      6. リース取引
      7. 取引の時期
      8. その他
    6. 繰延資産の償却等
    7. 役員報酬、賞与及び退職給与
    8. 使用人給与、賞与及び退職給与
    9. 寄付金
    10. 外注費
    11. 海外渡航費
    12. 賃貸料、使用料
    13. 売上割戻し
    14. 弔慰金
    15. 支払利息
    16. 為替差損益
    17. 貸倒損失及び債権償却特別勘定
    18. 横領損失
    19. 損害賠償金
    20. 不動産取引に係る手数料等
    21. 福利厚生費
    22. 資産の評価損
    23. 燃料費、消耗品費
    24. 雑損失
    25. 使途不明金
    26. その他の費用
  5. 圧縮記帳
  6. 引当金
  7. 繰越欠損金
  8. 借地権の設定等に伴う所得の計算
  9. 特殊な損益の計算
  10. 適格合併

保冷施設は、建物に固着した内部造作物であるから、冷蔵業用設備の耐用年数ではなく、冷蔵倉庫用建物の耐用年数を適用するのが相当であるとした事例

裁決事例集 No.27 - 225頁

 本件保冷施設は、冷蔵倉庫用建物の内部に固着した[1]保冷のための天井、周壁のウレタン吹付並びに床のスタイロホーム、ピッチ、ルーフィング及びこれらに付随する取付部品等、[2]自動扉及びこれに付随する凍結防止のための造作物等から構成されており、これらは構造上いずれも冷蔵倉庫用建物と一体不可分の内部造作物であるから、建物の一部とみるのが相当であり、本件保冷施設につき減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第二の冷蔵業用の機械及び装置には該当せず、同省令別表第一の冷蔵倉庫用建物に該当するとした原処分は相当である。

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建物に設置された鋼製建具、木製建具、畳敷物及びユニットバス等は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第一の「建物」に該当するとした事例

裁決事例集 No.39 - 201頁

 減価償却資産の耐用年数に関する省令別表第一にいう「器具及び備品」は、建物とは構造上独立・可分のものであり、かつ、機能上建物の用途及び使用の状況に即した建物本来の効用を維持する目的以外の固有の目的により設置されたものであることを要するものと解するのが相当である。本件建具等のうち、鋼製建具、木製建具、硝子工事及び畳敷物は、建物と構造上独立・可分のものとは認められないから、「器具及び備品」に該当しないことは明らかであり、また、ユニットバスについては、建物内の浴室と予定され、給湯及び給排水設備が施工された場所に、浴室ユニット部材を結合させて一個の浴室を形成しているもので、本件建物の部屋の一つであるから「器具及び備品」に該当しないことは明らかである。

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釣堀用浮桟橋は減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第一の「構築物」の「合成樹脂造のもの」に該当するとした事例

裁決事例集 No.39 - 212頁

 本件浮桟橋は鉄骨枠の中に発砲スチロールのブロックを納め、その枠の上部に鋼板を据え付け、更に、その鋼板の上にコンクリートパネルを張ったものを連結したものであるから、工作物に当たり、また、釣堀の水面に浮いているが、浮遊しないようにその一端を釣堀の周囲の岸に固着させるとともに、要所に支柱を立てて固定されており、土地に定着するものであることが認められるから、その種類を「構築物」とするのが相当である。更に、本件浮桟橋の主要な材料は発砲スチロールであり、その構造を「合成樹脂造のもの」とするのが相当である。したがって、本件浮桟橋は減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第一に掲げる「構築物」の「合成樹脂造のもの」に該当し、その耐用年数は10年とするのが相当である。

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バラ出荷設備は、基礎、屋根、壁、柱、窓及びバラ輸送車の搬出口あるいは風よけのためのシャッターで構成され、機械等の蔵置あるいは人の作業の用に供されていることから、建物と認めその耐用年数を適用するのが相当であるとした事例

裁決事例集 No.50 - 175頁

 請求人は、そのバラ出荷設備のうち、「上屋及び側壁」、「基礎工事」、「出荷口防風雪設備」及び「タンク架構部分」(以下、これらを併せて「本件各資産」という。)については、出荷設備の一部であり、当該出荷設備全体として機械装置の機能を果たしているのであるから、機械及び装置に該当し、その耐用年数は10年である旨主張するが、本件出荷設備は、[1]基礎工事を施した上、支柱を立て土地に定着させた建造物であり、構造的には本件タンク等を取り囲む形で周囲に支柱があり、この支柱に上屋、側壁及び出荷口防風雪設備をタンク架構部分に直接取り付け、本件タンク等を覆ったものであること、[2]機能的には、物の蔵置に供され、人の作業の用に供されていること、[3]本件出荷設備を倉庫として、残留防止用バラ出荷設備を建築物として登記がなされ、建築物として建築確認がなされていること、[4]不動産取得申告書にバラ出荷棟を取得した旨記載して申告していることから、本件各資産は、本件タンク等に附帯的に取り付けられたものではなく、基礎、屋根、壁、柱、窓及びバラ輸送車の搬出口あるいは風よけのためのシャッターで構成され、機械等の蔵置あるいは人の作業の用に供されていることから、建物と認めその構造に従い35年の耐用年数を適用するのが相当である。

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自走式立体駐車場設備に適用すべき耐用年数は45年であるとされた事例

裁決事例集 No.56 - 251頁

 請求人は、[1]自走式立体駐車場設備に適用すべき耐用年数は、耐用年数省令別表一に掲げる「構築物」に本来特掲すべきであること、また、[2]本件立体駐車場設備は、屋外露天式であること等から劣化が進み、その使用可能期間が耐用年数に比べ著しく短くなるため、法人税法施行令第57条の規定に基づき、平成9年1月22日付で耐用年数を15年とする耐用年数の短縮承認申請を所轄国税局長に対して行い、同年1月22日付の本件承認通知書を受け取り承認されているところであるが、本来、自走式立体駐車場設備は、当該制度を経由することなく耐用年数を15年として認めるべき資産である旨等主張する。
 しかしながら、[1]当審判所は、原処分庁が行った処分が違法又は不当なものであるか否かを判断する機関であって、その処分の基となった法令等自体の適否又は合理性を判断することはその権限に属さないこと、また、[2]本件立体駐車場設備の耐用年数は、耐用年数省令別表一の「構築物」の「金属造のもの(前掲のものを除く。)」、細目の「その他のもの」に該当し45年となるものであるから、請求人は、本件立体駐車場設備について、法人税法施行令第57条の規定に基づく耐用年数の短縮承認申請を、本件更正処分のあった後の平成9年1月22日に所轄国税局長に対して行っている事実が認められるものの、本件更正処分の対象とされた事業年度末の平成8年2月29日までに、当該耐用年数の短縮承認申請をした事実が認められないため、原処分庁が本件立体駐車場設備に係る耐用年数を45年と認定したことは相当であると認められる。

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請求人が取得した事業用建物は、主要構造体である耐力壁が鉄筋コンクリートで造られていることから、耐用年数省令の別表一に掲げられている「鉄筋コンクリート造のもの」に該当するされた事例

裁決事例集 No.58 - 161頁

 請求人は、取得した事業用建物(以下「本件建物」という。)の減価償却費の計算に当たり、本件建物は、不動産登記簿上鉄筋コンクリート造となっているが、いわゆる総鉄筋と言われるものではなく、鉄筋コンクリート造となっているのは外壁及び内壁の一部だけであり、その他は木造で、その構造様式は鉄筋コンクリート造と木造の折衷様式であるから、このような構造の建物は、耐用年数省令の別表一に掲げる「鉄筋コンクリート造のもの」に該当せず、耐用年数の短縮の承認申請を却下した原処分は違法である旨主張する。
 しかしながら、[1]税法上、建物の法定耐用年数の算定において、その骨格的存在とも考えられる構成部分(構造体)が中核となっているので、構造様式の判定においてもその構造体に着目して判定するのが相当であること、[2]社会通念上、建物の構造様式は、主要構造部により判定することとされていることからすれば、本件建物は、屋根を含め内部構造には木造が主体となっていることが認められるものの、主要構造体である耐力壁が鉄筋コンクリートで造られていることから、耐用年数省令の別表一に掲げられている「鉄筋コンクリート造のもの」に該当するというべきである。
 そうすると、本件建物の耐用年数は、法定耐用年数を適用すべきであり、本件耐用年数の承認申請を却下した原処分は適法である。

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耐用年数省令別表第一に基づき耐用年数を適用する場合には、新たな技術又は素材により製造等されたものであっても、個々の減価償却資産を同表に掲げる「種類」、「構造又は用途」及び「細目」の順に従って同表のいずれに該当するかを判断し、その該当する耐用年数を適用するとした事例

裁決事例集 No.60 - 387頁

 原処分庁は、本件空調設備のように冷凍機に直結する電動機がない場合には、その冷凍能力を冷凍機の出力として判定すべき旨、また、その場合の冷凍能力は351.6キロワットとなり、耐用年数省令で定める基準22キロワットを超えるから、本件空調設備は「その他の冷暖房設備」に該当し、耐用年数は15年となる旨主張するが、本件空調設備が冷凍機の出力が22キロワット以下の「冷暖房設備」又は冷凍機の出力が22キロワット超の「その他の冷暖房設備」のいずれに該当するかは、「冷凍機の出力」のみを基準として区分しており、「冷凍機の出力」とは、冷凍機に直結する電動機の出力をいうものと解するのが相当であるから、冷凍機に直結する電動機を有しない本件空調設備は「冷暖房設備」に該当し、その耐用年数は13年とするのが相当である。

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賃借した土地に設置した支柱付き鉄骨屋根の駐輪場施設は、当該土地の賃借期間満了時に解体撤去されることが確実であることを理由としてされた当該賃借期間を耐用年数とする短縮承認申請は、法人税法施行令第57条第1項に掲げる事由に該当せず認められないとした事例

裁決事例集 No.68 - 125頁

 請求人は、自転車駐車場設備に係る支柱付き鉄骨屋根の耐用年数の短縮承認事由として、[1]駐車場設備を供する事業は公共性が高いこと、[2]事業契約期間の満了時には当該駐車場設備を無償譲渡又は解体撤去することが将来確実であり、当該賃借期間は法定耐用年数に比して短くなっているから短縮承認されるべきと主張する。
 しかしながら、耐用年数の短縮を規定する法人税法施行令第57条第1項は、減価償却資産の材質や製作方法が著しく異なったり、地盤の隆起沈下や陳腐化する等使用可能期間がその法定耐用年数に比して短いこととなった事由が現に発生している場合を列挙しているところ、当該支柱付き鉄骨屋根については、その設置状況及びそれ自体に使用可能期間が法定耐用年数よりも物理的ないし客観的に短いこととなった事由が現に発生しているとは認められず、また、請求人の短縮申請事由は規定された短縮事由のいずれにも該当しないから、これを却下した原処分は適法である。

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金属造のさん橋の耐用年数については、金属造の鋼矢板岸壁の25年が適用できると判断した事例

裁決事例集 No.69 - 177頁

 原処分庁は、耐用年数省令別表第一の第1欄「種類」が「構築物」、第2欄「構造又は用途」が「金属造のもの」に該当する本件各さん橋の耐用年数については、耐用年数の適用等に関する取扱通達1−1−9の取扱いによっても、その構造が鋼矢板岸壁と類似しないことから、「構築物」の「金属造のもの」の第3欄「細目」欄に特掲されている「鋼矢板岸壁」の25年を適用することはできず、「その他のもの」の45年の耐用年数を適用すべきである旨主張する。
 しかしながら、本件各さん橋と鋼矢板岸壁は、「構造又は用途」及び使用状況が類似していると認められることから、本件各さん橋の法定耐用年数として、「構築物」の「金属造のもの」の「鋼矢板岸壁」の25年を適用することができる。

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中古資産の耐用年数を法定耐用年数ではなく使用可能期間の年数を見積り適用するには当該中古資産を事業の用に供した最初の事業年度において適用しなければならないとした事例(平19.4.1〜平24.3.31の各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平成25年12月17日裁決)

平成25年12月17日裁決

《要旨》
 請求人は、中古建物に適用すべき耐用年数について、誤って法定耐用年数を適用していた場合、その誤りに気付いた時点において是正できないという解釈は、社会通念等に即さないものであり、また、新築建物の耐用年数を遡って是正する以上、中古建物についても使用可能期間を実態に即して見直した耐用年数を遡って適用すべきである旨主張する。
 しかしながら、請求人は、中古建物を取得した事業年度において、法定耐用年数を適用していたものと認められるところ、中古資産についての減価償却資産の耐用年数等に関する省令(耐用年数省令)第3条《中古資産の耐用年数等》第1項第1号及び第2号に掲げる各方法(見積法等)による耐用年数の算定は、当該中古資産を取得してこれを事業の用に供した最初の事業年度に限りすることができ、当該事業年度においてその算定をしなかった場合は、その後の事業年度において算定することができないこととなるのは、耐用年数の適用等に関する取扱通達1−5−1《中古資産の耐用年数の見積法及び簡便法》の定めのとおりであるから、当該事業年度後の事業年度において、当該中古建物の耐用年数を見積法等を用いて変更することはできない。

《参照条文等》
  減価償却資産の耐用年数等に関する省令第1条、第3条
  耐用年数の適用等に関する取扱通達1−5−1

《参考判決・裁決》
広島地裁平成8年12月19日判決(税資221号961頁)

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