裁決事例集 No.58

国税通則法関係

過少申告加算税/正当理由

裁決事例要旨 裁決事例

公的年金等に係る雑所得の金額を算出するに際し、いわゆる「雑所得速算表」を誤認した結果、所得税の確定申告が過少申告となった場合において、誤認したのは請求人の過失によるものと認められ、また、原処分庁から指摘があれば訂正するつもりで法定申告期限前に申告書を郵送したところ、期限内に指摘されなかったとしても、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」に当たらないとした事例(平成9年分所得税に係る過少申告加算税の賦課決定処分、平成9年分所得税に係る延滞税/平成9年分所得税に係る過少申告加算税の賦課決定処分は棄却、その他は却下)

重加算税/従業員の隠ぺい(横領)行為

裁決事例要旨 裁決事例

請求人が経営するパチンコ店のフロアー責任者及び経理責任者として実質的に経営に参画していた従業員が行った売上除外による隠ぺい行為について、それが横領目的であったとしても請求人の行為と同視すべきであるとして、重加算税の賦課決定処分を認容した事例(平成4年9月1日〜平成5年8月31日、平成5年9月1日〜平成6年8月31日、平成6年9月1日〜平成7年8月31日、平成7年9月1日〜平成8年8月31日事業年度法人税に係る重加算税の各賦課決定処分/棄却)

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所得税法関係

非課税とされる通勤手当の範囲

裁決事例要旨 裁決事例

年俸契約による給与等を得ている請求人の単身赴任費相当額又は通勤費相当額が非課税所得に当たるとの請求人の主張が排斥された事例(平成8年分及び9年分所得税に係る更正処分、平成7年分所得税に係る修正申告/平成9年分所得税に係る更正処分は一部取消、その他は却下)

事業所得/必要経費、退職金

裁決事例要旨 裁決事例

個人事業主の死亡は当然に雇用契約の終了事由、事業廃止原因であるから、従業員に支給する退職金の必要経費算入を認めるべきであるとの請求人の主張が排斥された事例(被相続人Aに係る平成7年分所得税の更正処分等/棄却)

財産分与した不動産の離婚直前における所有権の帰属

裁決事例要旨 裁決事例

夫婦の財産関係についていわゆる別産制を前提とする場合、夫婦が婚姻中に相互の協力、寄与等によって得た資産であっても、いずれか一方の名義となっている財産は、単なる名義貸しによるものであることが明らかである場合を除き、当然に共有とはならず、その名義人を所有者として取り扱うのが相当であるとした事例(平成7年分所得税の更正の請求に係る更正をすべき理由がない旨の通知処分/棄却)

一時所得/個人年金保険契約に基づく解約返戻金

裁決事例要旨 裁決事例

個人年金保険契約の解約に伴い支払われた解約返戻金等を他の年金保険契約の保険料に充てた場合、その解約返戻金等が一時所得の総収入金額に算入されるか否かが争われた事例(平成9年分所得税に係る更正処分等/棄却)

一時所得/自動車総合保険契約に基づく死亡保険金

裁決事例要旨 裁決事例

交通事故による死亡を基因として支払われた自動車総合保険契約に基づく死亡保険金は、一時所得、みなす相続財産のいずれに該当するかが争われた事例(平成6年分所得税に係る決定処分等/棄却)

みなし譲渡所得の発生/限定承認

裁決事例要旨 裁決事例

請求人らが限定承認により相続した不動産を債務弁済のために譲渡したところ、原処分庁が所得税法第59条第1項の規定を適用して被相続人についてみなし譲渡所得の課税を行った処分が適法なものとされた事例(被相続人Gに係る平成7年分所得税の決定処分等/棄却)

重加算税/虚偽答弁
事業所得/必要経費、租税公課
青色申告の承認の取消/帳簿の不存在

裁決事例要旨 裁決事例要旨 裁決事例

  1. 請求人が架空の必要経費を計上し、多額の所得金額を脱漏したばかりか、調査担当職員に帳簿書類の保存がない等の虚偽の答弁をしたことは、国税通則法第68条第1項に規定する「隠ぺい又は仮装」に当たるとされた事例
  2. 更正処分により賦課される事業税の額を見込額で必要経費に算入すべきとの請求人の主張が排斥された事例
  3. 請求人が会計データを保存していたフロッピーディスクに不具合が生じ、出力不可能となったこと等を理由に帳簿書類等を提示しなかったことは、青色申告承認取消事由に当たるとされた事例

(平成4年分以降所得税に係る青色申告承認の取消処分、平成4年分〜8年分所得税に係る各更正処分等、平成4年1月1日〜平成4年12月31日、平成5年1月1日〜平成5年12月31日、平成6年1月1日〜平成6年12月31日、平成7年1月1日〜平成7年12月31日、平成8年1月1日〜平成8年12月31日課税期間消費税に係る各更正処分/棄却)

住宅取得等特別控除の適用の可否

裁決事例要旨 裁決事例

父親所有の家屋に増改築を行った場合において、増改築後に当該家屋を取得した場合にも住宅取得等特別控除が適用されるとの請求人の主張が排斥された事例(平成9年分所得税に係る更正処分/棄却)

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法人税法関係

賃貸料収入

裁決事例要旨 裁決事例

公益法人である請求人が債権未確定であるとして収益に計上しなかった本件賃貸料収入について、賃貸借契約が有効に成立していること等から収益に計上すべきであるとして請求人の主張を斥けるとともに、原処分庁が本件賃貸料収入を収益事業以外の事業のために支出したみなし寄附金に該当するとして行った更正処分について、本件賃貸料収入は収益事業以外の事業に支出したとする経理がなされていないので、原処分庁がみなし寄附金として所得金額を計算したのは誤りであるとした事例(平成7年4月1日〜平成8年3月31日及び平成8年4月1日〜平成9年3月31日事業年度法人税に係る各更正処分等/棄却)

耐用年数の短縮

裁決事例要旨 裁決事例

請求人が取得した事業用建物は、主要構造体である耐力壁が鉄筋コンクリートで造られていることから、耐用年数省令の別表一に掲げられている「鉄筋コンクリート造のもの」に該当するされた事例(社宅用建物に係る耐用年数の短縮の承認申請の却下処分、平成6年4月1日〜平成7年3月31日、平成7年4月1日〜平成8年3月31日、平成8年4月1日〜平成9年3月31日事業年度法人税に係る各更正処分等/棄却)

財団法人に対する出捐金の費用性

裁決事例要旨 裁決事例

請求人が財団法人に対して支出した本件出捐金は基本財産とすることを指定して支出したものであるから、寄付金に該当するとした原処分が適法とされた事例(平成8年1月1日〜平成8年12月31日事業年度法人税に係る更正処分等/棄却)

交際費等

裁決事例要旨 裁決事例

外注費として計上された本件利益金は、工事受注の際のいわゆる降り賃として、共同企業体の入札を有利に進めるための請託に関連して支出された談合金等であるから、交際費等の額に該当するとの原処分庁の主張が排斥された事例(平成5年8月1日〜平成6年7月31日事業年度法人税に係る更正処分等/全部取消)

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相続税法関係

人格のない社団に対する出資の評価

裁決事例要旨 裁決事例

人格のない社団に対する出資の評価については、企業組合等の出資の評価に準じて純資産価額方式によるのが相当であり、その場合、評価差額に対する法人税等相当額の控除を行うのは相当でないとされた事例(平成7年12月25日相続開始相続税に係る各更正処分等/一部取消)

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消費税法関係

課税仕入れ等の範囲

裁決事例要旨 裁決事例

請求人が、出向契約に基づいて支払った本件業務分担金は、消費税法第2条第1項第12号のかっこ書に規定する「給与等を対価とする役務の提供によるもの」に該当するから、仕入税額控除の対象にはならないとした事例(平成6年7月1日〜平成7年6月30日及び平成7年7月1日〜平成8年6月30日課税期間消費税に係る各更正処分等、平成8年7月1日〜平成9年6月30日課税期間消費税及び地方消費税に係る各更正処分等/棄却)

仕入税額控除/課税仕入れの時期

裁決事例要旨 裁決事例

消費税の課税仕入れの時期は、建物建築契約にあっては目的物たる建物の引渡日と、また、建物建設に関するコンサルタント契約にあっては役務の全部の提供を受けるのが完了した日と解するのが相当とされた事例(平成8年8月1日〜平成9年7月31日課税期間消費税及び地方消費税に係る過少申告加算税の賦課決定処分、平成8年8月1日〜平成9年7月31日課税期間消費税及び地方消費税の更正の請求に係る更正をすべき理由がない旨の通知処分/棄却)

簡易課税制度選択の届出

裁決事例要旨 裁決事例

消費税につき提出した「簡易課税制度選択届出書」の効力は、課税期間の基準期間における課税売上高が3,000万円以下となった場合に提出することとされている「納税義務者でなくなった旨の届出書」の提出によっては、失効しないとされた事例(平成9年3月1日〜平成10年2月28日課税期間の消費税及び地方消費税の更正の請求に係る更正をすべき理由がない旨の通知処分/棄却)

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国税徴収法関係

国税と他の債権との調整/譲渡担保

裁決事例要旨 裁決事例

国税徴収法第24条の規定に基づく譲渡担保権者に対する告知処分が適法と認められた事例(納税者G、H及びJの滞納国税に係る譲渡担保権者の物的納税責任に関する告知処分、納税者G、H及びJの滞納国税に係る不動産の差押処分/棄却)

第二次納税義務

裁決事例要旨 裁決事例

国税徴収法第38条の第二次納税義務の告知処分に至る手続に違法があり、また、納付相談の要請を了解したにもかかわらず、この了解事項を一方的に破棄して告知処分を行ったことは、信義則に反するとの請求人の主張が排斥された事例(第二次納税義務の納付通知書による告知処分/棄却)

差押え及び参加差押え

裁決事例要旨 裁決事例

バブル崩壊による担保不足を請求人の責任として差押処分等をすることは不合理である等の請求人の主張が排斥された事例(不動産の差押処分、参加差押処分/棄却)

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