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附帯税

隠ぺい、仮装の事実等を認めなかった事例

  1. 延滞税
  2. 過少申告加算税
  3. 無申告加算税
  4. 不納付加算税
  5. 重加算税
    1. 過少申告加算税との関係
    2. 重加算税の賦課
    3. 隠ぺい、仮装の認定
      1. 隠ぺい、仮装の事実等を認めた事例
      2. 隠ぺい、仮装の事実等を認めなかった事例(32件)
    4. 請求人以外の行為

棚卸資産の計上漏れは過失に基づくものであり、かつ、翌朝の売上げに計上されているから、事実の隠ぺい又は仮装に当たらないとした事例

裁決事例集 No.9 - 1頁

 棚卸資産に計上漏れとなった土地は、決算直前に請求人が購入者の希望により、1区画を2つの区画に分割して売買契約をした残りの一方の土地である。しかし、現場責任者から経理担当者に渡された現場見取図が不完全である等のため、経理担当者が、売買契約された一方の土地を旧区画の全部と誤認したため他の一方が計上漏れとなったものであり、本件土地は税務調査前において翌事業年度の売上げに計上されているものであるから、その計上漏れを仮装又は隠ぺいによるものであるとして重加算税を賦課決定したことは相当でない。

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会社の休業中における土地譲渡収入を代表者個人名義預金に入金したことが事実の隠ぺいに当たらないとした事例

裁決事例集 No.12 - 5頁

 休業中の請求人が土地譲渡収入を代表者の個人名義預金に入金していたが、原処分庁からの照会に対して請求人名義で譲渡先、譲渡金額等を記入した回答書を提出していることは、譲渡代金が請求人に帰属していることを実質的に回答したものであり、係官の調査に対しても譲渡代金の預金先を回答している。また、確定申告書を法定申告期限までに提出しなかったことについても、請求人が休業後相当の期間を経過していてその間帳簿等の整理も十分でなかった等のためであることが認められるので、土地等を譲渡した事実を隠ぺいして確定申告書を提出しなかったとして重加算税を賦課決定したことは相当でない。

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居住の用に供していない家屋の所在地に住民登録をし、その住民票の写しを添付したことについて、仮装行為の意図は認められないとした事例

裁決事例集 No.26 - 1頁

 請求人が本件家屋の所在地に住民登録したのは、住宅公団の地元居住者優先分譲を受けるためであって、本件申告書に添付するために住民登録を異動させたものでないことが認められ、また、譲渡する前に本件家屋に一時的に仮住まいしていたので租税特別措置法第35条の規定に該当すると信じて、住民票の写しを添付したことがうかがわれることから、請求人に仮装の意図があったとは認められず、したがって、重加算税を賦課することは相当でない。

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妻子と同居していた家屋とは別に、1年余の期間断続的に居住し、通勤に利用していた家屋を居住用財産であるとしたことについて、事実の隠ぺい又は仮装は認められないとした事例

裁決事例集 No.31 - 7頁

 請求人が譲渡前1年1か月にわたり断続的に居住し、そこから通勤もしていた本件家屋は、水道、電気及びガスの消費量が極めて少量であること、従前、妻子を同居し、引き続き妻子が居住している別の家屋の水道等の消費量にさしたる変動がないことなどの事実に照らし、本件家屋は請求人の従たる住居とみるのが相当であり、居住用財産には該当しないから租税特別措置法第35条の規定の適用はないが、本件家屋が請求人の1年余にわたる生活の場の一つであったことは確かであるから、そこに住民登録を移したことを不自然な行為であるとすることはできず、住民登録の異動をもって事実の隠ぺい又は仮装があったとすることは相当でない。

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隠ぺいされていた相続財産の存在を了知していなかった相続人に重加算税を賦課するのは相当でないとした事例

裁決事例集 No.34 - 1頁

 隠ぺいされ、相続財産として申告されていなかった無記名定期預金の原資は、被相続人及び相続人ら一族の不動産の賃貸料収入等であるから、その預金のうちに被相続人に帰属すべき金額があるにもかかわらず、本件無記名定期預金が無記名であったことを奇貨として被相続人の遺産から除外して相続税の申告書を提出した場合には、本件無記名定期預金を管理していた相続人は重加算税の課税要件を満たすが、本件無記名定期預金の存在を了知していなかった他の相続人は、重加算税の課税要件を備えていないので、重加算税を賦課した原処分は相当でない。

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特定退職金共済制度の導入に伴う過去勤務債務分を特別賞与として損金に算入し、従業員の代表者名義の預金を設定した行為が所得金額の隠ぺい又は仮装に当たらないとした事例

裁決事例集 No.45 - 53頁

 期末に一部の従業員に対し特別賞与として損金に算入した金額は、請求人が特定退職金共済制度に加入したことにより、退職金支給時に勤務年数の長い従業員が不利になるという問題が生じたので、一時金として支給することとし、それを一部の従業員名義の預金としていたものであるが、[1]算定基準が従業員の入社等の経緯におおむね見合ったものと認められること、[2]一般従業員にもおおむね周知されていたことが推認できること、[3]預金を他の用途に支出した事実がないことから、本件預金が法人税の課税を免れるために設定されたと認定するまでの証拠はないといわざるを得ない。
 したがって、請求人が所得金額の計算の基礎となるべき事実を隠ぺい又は仮装したとは認められない。

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同一相手方との間で土地を低価譲渡及び低価取得したことは、税負担の公平を害するといわざるを得ないが、この契約自体を虚偽仮装のものとみることは相当ではないとした事例

裁決事例集 No.46 - 137頁

 取引の相手方が、550百万円で取得した土地を240百万円で請求人に売却したことにより巨額な損失を生じる取引であっても、逆に請求人から600百万円で取得した土地を転売して利益を得ていることからすれば、本件各取引を不合理な取引ということはできない。
 原処分庁が本件土地の譲渡価額を910百万円と判断したことは必ずしも不当とはいえず、600百万円を計算の基礎とすることは税負担の公平を害するといわざるを得ない。しかし、上記の各取引の合意は明確に成立している事実が認められ、910百万円とする契約が存在し、それをあえて600百万円に偽装仮装した契約を作成したとは認定できない。
 したがって、本件取引について、国税通則法第70条第5項に規定する偽りその他不正の行為があったとは認定できないので、法定申告期限から3年を経過してなされた本件更正処分は違法であり、原処分は、その全部を取り消すべきである。

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請求人は本件譲渡代金のうち少なからぬ部分を債務の弁済に充てていない上、相当の価値を有する不動産等を所有しており、資力喪失に伴う資産の譲渡とはいえないが、隠ぺい仮装の故意は認められないとした事例

裁決事例集 No.48 - 7頁

 請求人は、[1]本件譲渡代金は全額請求人の借入金の返済に充てられており、[2]本件譲渡時の請求人の財産は無価値であること、[3]他に3,000万円の債務を有しており、高齢で他に収入の当てもないとして、本件譲渡に係る所得は所得税法第9条第1項第10号、同法施行令第26条の規定に該当する非課税所得であると主張する。
 ところで、所得税法施行令第26条の要件としては、[1]資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であること、[2]放っておけば強制執行が避けられない状態にあること及び[3]その譲渡に係る対価が債務の弁済に充てられたことが規定されている。
 これを本件譲渡についてみると、強制換価手続の執行が避けられないと認められる場合における譲渡には該当するが、譲渡代金から、借入金及び譲渡費用を支払った残額約430万円は債務の弁済に充てたとは認められないから、上記[3]の要件に当たらない。また、請求人には、他に債務はなく、一方、不動産及び債権を有しており、この点からも所得税法施行令第26条の要件に当たらない。
 しかし、請求人には、所得税法第9条第1項第10号に規定する非課税所得に該当しないことを認識していたと認めるまでの証拠はなく、隠ぺい仮装の故意はなかったというべきであり、重加算税は過少申告加算税の額を超える部分につき取り消すことが相当である。

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支払利息に係る借入金が総勘定元帳に記載されておらず、支払利息の経費算入割合が各年で異なる等の事実は存するが、これをもって、隠ぺい又は仮装を認定することはできないとし、重加算税賦課決定処分の一部を取り消した事例

裁決事例集 No.49 - 9頁

 原処分庁は、請求人が必要経費の額に算入した支払利息につき、[1]当該支払利息に係る借入金が総勘定元帳に記載されていないこと、[2]請求人は当該借入金が事業用資金でない旨申述していたこと、[3]支払利息の経費算入割合が係争各年で異なることから、事業所得に係る必要経費として支払利息の額を過大に付け込んだものであって、国税通則法第68条第1項に規定する「隠ぺい又は仮装」に該当する旨主張するが、請求人には事業所得及び不動産所得に係る借入金があること、当該借入金の一部は事業所得及び不動産所得に係る業務の用に供されていること、支払利息の経費算入割合が異なるのは借入金の使途についての記帳が不十分であったためであることが認められるから、上記[1]ないし[3]をもって、事実を隠ぺい又は仮装したとまでいうことはできず、支払利息に係る税額に対する各年分の重加算税の賦課決定処分をしたことは相当でない。

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重加算税の賦課要件を充足するためには、過少申告行為とは別に隠ぺい又は仮装と評価すべき行為の存在を必要としているものであると解されるところ、原処分庁は隠ぺい又は仮装であると評価すべき行為の存在について何らの主張・立証をしておらず、隠ぺい又は仮装の事実を認めることはできないとした事例

裁決事例集 No.54 - 94頁

 国税通則法第68条第1項の規定によれば、重加算税の賦課決定処分については、納税者が国税の課税標準又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺい又は仮装し、その隠ぺい又は仮装したところに基づき納税申告書を提出したことが要件となっている。これは、重加算税の賦課要件を充足するためには、過少申告行為とは別に隠ぺい又は仮装と評価すべき行為の存在を必要としているものであると解される。
 原処分庁の主張は、請求人が意識的な過少申告を行ったものであるというにすぎず、隠ぺい又は仮装であると評価すべき行為の存在について何らの主張・立証をしておらず、また、当審判所の調査その他本件に関する全資料をもってしても、本件貸付金について隠ぺい又は仮装の事実を認めることはできない。
 したがって、重加算税の賦課決定処分のうち、争いのある部分については重加算税を賦課することは相当ではない。

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取引及び登記等に事実の隠ぺい又は仮装が認められず、調査時にも事実の把握を困難にさせるような特段の行為が認められないなどとして、重加算税の賦課要件は満たしていないとした事例

裁決事例集 No.55 - 25頁

 原処分庁は、請求人が3区画の土地を譲渡したにもかかわらず、1区画分のみを確定申告し、調査時の指摘により修正申告したのは、その譲渡代金の使途目的があって計画的に行われたこと及び3区画分の譲渡所得に係る所得税の納付資金不足に起因したものと認められ、意図的に行われた過少申告であるとして重加算税の賦課決定処分をした。
 しかしながら、請求人に当該土地の譲渡に関する売買契約書の作成、所有権移転登記、譲渡代金の授受及び使途等について、何ら隠ぺい又は仮装の行為は認められず、また、確定申告後においても調査による事実の把握を困難にさせるような特段の行為は一切認められない上、請求人には資金ねん出方法として、原処分庁が指摘する方法以外にも多種多様の方法が可能であり、本件物件の譲渡に係る所得税の納付資金が不足しているとはいえず、さらに、請求人が本件申告等を任せていた次男において、譲渡の事実を隠ぺいする意図の下に1区画分のみを申告したものと認めるに足りる証拠はなく、本件においては、請求人に国税通則法第68条第1項に規定する仮装・隠ぺいの具体的事実が認められないことから、重加算税の賦課決定処分は、過少申告加算税の額を超える部分を取り消すべきである。

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建物の使用状況が記載された売買契約書に基づき確定申告書を提出したことのみをもって、重加算税の賦課要件(隠ぺい又は仮装)に当たるということはできないとした事例

裁決事例集 No.56 - 78頁

 原処分庁は、請求人が本件2階建部分を請求人の居住の用に供されていたかのごとく装ったものと認定した。
 しかしながら、本件2階建部分が措置法の特例の適用対象となる居住用家屋の範囲に含まれないとしても、賃借人が実際に本件2階建部分をほとんど使用せず、請求人が賃借人ヘの賃貸前と同じように本件2階建部分を使用していたことからすれば、請求人が本件2階建部分を居住用部分として認識していたとしても無理もないと認められ、まして、その認識に基づき本件売買契約書に本件2階建部分を居宅及び応接室として使用している旨の記載をしたことのみをもって、仮装行為とまでいうことはできないから、過少申告加算税相当額を超える部分の重加算税の金額を取り消すべきである。

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請求人が木材の輸入取引において仕入に計上した取引額の一部に、本事業年度以外の事業年度の損金の額に算入すべきものがあるが、当該金額については、架空、金額の水増し又は重複計上などによって過大に計上したものとは認められず、損金算入時期の誤りによるものと認められるから、重加算税の賦課要件たる事実を隠ぺい仮装したことには当たらないとした事例

裁決事例集 No.59 - 47頁

 原処分庁は、請求人の木材輸入取引について[1]請求人の輸入先会社に対する送金は、木材の輸入時期、数量、金額のいずれとも密接に関係しておらず、その実質は「貸付金」と認められるが、請求人はこの貸付金を公表帳簿に計上していない。[2]請求人は輸入先会社から、「貸付金」の一部を「調整金」の名目で返金させこれを簿外預金に預け入れているが、これを公表帳簿に計上していない。これらの取引はいずれも請求人の公表帳簿に計上することなく行われた取引であり、請求人は、これにより真実の所得金額を隠ぺいしたことが認められる旨主張する。
 しかしながら、本件輸入取引については、[1]輸入先会社に対する送金は、いずれは請求人の公表帳簿に「仕入」として計上されるものであり仕入代金の前渡金と見るのが相当であること[2]本件事業年度の仕入計上額は過大となっている事実は認められるが、これは、架空、水増し又は重複計上などによって過大となったものとは認められず、かつ、意図的な計上時期の操作及び原始記録の改ざん等の不正が行われているとは認められないこと[3]請求人が輸入先会社から、「調整金」の名目で返金させこれを簿外預金に預け入れている事実は認められるが、この簿外預金なるものも結果において、その資金の出所たる借入金の返済に当てられており、また、当該預金の果実たる受取利息も本件事業年度の収益に計上済であること、などから、請求人が所得金額の計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺい又は仮装したところに基づいて申告書を提出したとは認め難い。

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工事代金の一部を本件事業年度の売上げに計上しないで、売掛金の過入金として処理したことが、重加算税を課すべき事実に該当しないと判断した事例

裁決事例集 No.60 - 148頁

 原処分庁は、請求人が、A社から入金した工事代金を、過入金と判断して本件事業年度の売上げに計上しなかったことについて、[1]本件事業年度末までに適正に処理されていれば、当該過入金は当然発生しないこと及び[2]翌事業年度に当該過入金を売上げに計上した際に、小口に区分処理しただけでなくその対応する原価として他の工事原価を計上したことは、通則法第68条第1項の隠ぺい、仮装に当たるとした。
 しかしながら、請求人は、本件過入金を本件事業年度においてA社からの売掛金の入金として経理しており、また、翌事業年度には売上げに計上していることから、利益が繰り延べられていることをもって通則法第68条第1項の隠ぺい、仮装に当たるとまでは認められない。また、請求人が、工事原価を付け替えた処理については、当該処理が本件事業年度に係るものでなく、この点については理由がない。
 以上により、重加算税の賦課決定処分は、過少申告加算税相当額を超える部分の金額について取り消すのが相当である。

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アドバイザリー業務に係る契約書の契約締結日が真実と異なる記載であったとしても、契約締結日は課税仕入れの時期の判定要素となるものではないから、役務提供の真実の完了を仮装したことにはならないとした事例

裁決事例集 No.67 - 103頁

 原処分庁は、本件アドバイザリー業務の役務提供完了日が本件契約書の契約締結日である平成14年11月25日であるにもかかわらず、請求人は、契約締結日を同年10月1日にバックデートして本件契約書に記載し、その本件契約書に基づいて本件アドバイザリー報酬の額に係る消費税額を本件課税期間(平成13年11月9日〜平成14年10月31日)の控除対象仕入税額に含めていることから、このことは仮装行為に当たる旨主張する。
 課税仕入れを行った日がいつであるかは、原則として引渡基準によるのが相当であると認められ、本件アドバイザリー業務は役務の提供を行うことを目的とするものであるから、本件アドバイザリー業務に係る課税仕入れの時期については、役務の全部を完了した日であると解することが相当である。そして、本件課税期間においては、役務提供の全部が完了していないことについて、請求人及び原処分庁は争わず、当審判所においても相当であると認められ、本件アドバイザリー報酬の額に係る消費税額は本件課税期間の課税仕入れに該当しないことは明らかであるところ、本件契約書の契約締結日が真実の契約締結日と異なっていたとしても、本件契約書の契約締結日は課税仕入れの時期の判定要素となるものではないから、請求人が真実の契約締結日を本件契約書に記載しなかったことをもって、役務提供の真実の完了日を仮装したものと認めることはできない。
 したがって、本件修正申告書により増加した所得に相当する部分ついては、重加算税の賦課要件を満たさないことは明らかであり、本件重加算税の賦課決定処分については、過少申告加算税を超える部分の金額につき取り消すのが相当である。

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当初から所得を過少に申告するとの意図を外部からうかがい得るような特段の行為をしたとまでいうことはできないとして重加算税の賦課要件を満たさないとした事例

裁決事例集 No.76 - 42頁

 原処分庁は、FX取引に係る所得の申告義務等については、FX取引先の顧客に対する周知状況からみて、請求人は認識し得る状況にあったこと、FX取引に係る雑所得の金額が、請求人の各年分の給与所得の金額の約14倍から16倍と請求人にとって多額の金額となること、及び請求人は平成18年分の給与所得者に係る年末調整に際し、住宅借入金等特別控除申告書の「年間所得の見積額」欄を空欄のまま勤務先に提出していることなどの一連の行為をもって、請求人が、本件FX取引に係る真実の所得金額を隠ぺいすることを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行為をし、その意図に基づいた過少申告をしたとし、これらの行為を総合勘案すれば、重加算税の課税要件を充足している旨主張する。
 しかしながら、請求人はFX取引に係る所得の申告義務について、FX取引先からの利用マニュアル及びホームページ上において知ることが可能であったこと、また、請求人のパソコンでFX取引事績を確認すれば売買損益を知ることができたことから、FX取引に係る所得の申告義務及び多額の所得があったことについては認識していたのではないかという疑いも存するものの、FX取引に係る税務上の取扱いについて、請求人が税理士等の専門家に相談したといった事実は認められず、また、当審判所の調査等により把握した本件事実関係の下においては、当初申告当時、請求人は、FX取引に係る所得について、株式の売買等の場合と同様に、源泉分離課税であると誤解していた可能性も否定できず、請求人が当初から所得を過少に申告する意図を明らかに有していたことまでは認められない。
 また、請求人が、年末調整に際し、住宅借入金等特別控除申告書の「年間所得の見積額」欄を空欄のまま勤務先に提出した行為についても、仮に請求人がFX取引に係る所得が源泉分離課税であると誤解していたとすれば、同欄を空欄にして提出する可能性もあり得るのであり、そのような事実をもって、当初から所得を過少に申告するとの意図を外部からうかがい得るような特段の行為をしたとまでいうことはできない。
 そのほか、請求人には、原始資料等をあえて散逸したり、虚偽の答弁、虚偽資料を提出するなど調査に非協力であったという事実もないことからすれば、原処分庁が主張する事実をもって、直ちに、請求人が当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行為をした上で、その意図に基づいて過少申告をしたものということはできない。
 さらに、当審判所の調査その他本件に関する資料をもってしても、請求人に真実の所得を隠ぺい又は仮装したものと評価すべき行為や事実の存在があったものと認めることはできず、他にこれと異なる認定をするに足る証拠もない。
 したがって、請求人が、国税通則法第68条第1項に規定する「国税の課税標準等又は税額の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出」した場合には該当しないというべきである。

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所得を過少に申告するという確定的な意図について、請求人には外部からもうかがい得る特段の行動があったとは認められないから、隠ぺい又は仮装があるとはいえず重加算税を賦課することは相当でないとした事例

平成23年2月23日裁決

《要旨》
 原処分庁は、請求人が本来行うべき仮受金勘定から売上勘定への振替処理を行っていなかったことについて、まる1税理士から仮受金勘定の増加原因の解明を求められながらこれを行わなかったこと、まる2現金出納帳に虚偽の記載をしたり、同税理士にあえて説明しなかったこと及びまる3同税理士に特定の帳簿を提出しなかったことなどからすると、この行為は隠ぺい若しくは仮装に当たる又は所得を過少に申告する確定的な意図を外部からうかがい得る特段の行動であるなどとして、請求人の経理処理が隠ぺい又は仮装に当たる旨主張する。
 しかしながら、まる3同税理士に特定の帳簿を提出しなかったとしても、そのことを容易に知り得るだけの資料を提出していたこと、まる2請求人が取引内容の具体的説明を同税理士にしなかったからといって、それが故意の隠ぺい又は仮装の行為であるなどとはいえないこと、まる1仮受金勘定の増加原因の解明について同税理士と請求人との間に認識の相違や意思疎通の欠如があったとしても、請求人が積極的な意思をもってあえて適正な経理処理を行うことなくこれを放置したとまで認めるに至らなかったこと等からすれば、請求人に故意の隠ぺい又は仮装の行為や過少申告の確定的意図を外部からうかがい得る特段の行動があったとまではいうことはできない。したがって、重加算税を賦課することは相当ではない。

《参照条文等》
 国税通則法第68条第1項

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会社員である請求人が、勤務の傍ら個人的に行った取引に係る事業所得の申告を怠ったことに関して、当初から当該事業所得を申告しないとの意図を外部からもうかがい得る特段の行動は認められないとした事例

平成23年1月25日裁決

《要旨》
 会社員である請求人が、勤務の傍ら個人的に行った取引に係る事業所得があるとして、所得税の期限後申告書を提出したところ、原処分庁は、請求人が当初から当該事業所得を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上で、その意図に基づき法定申告期限までに申告しなかったものであり、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する重加算税の賦課要件を満たす旨主張する。
 しかしながら、原処分庁が上記「特段の行動」に当たるとした、まる1請求人は、勤務先等に当該取引が露見しないようにするため、取引先の従業員に対して、リベートと称する金員を支払ったこと、まる2請求人は、勤務する営業所の売上げを記載した「請求書明細」を週1回本社に報告する際に、当該取引を記載せずに報告したことについては、請求人が当該取引を秘匿することを意図して行ったものとはいえず、ほかに請求人が当該取引及びこれに係る事業所得を隠ぺい又は仮装したと評価すべき事実は認められないことから、原処分については、無申告加算税相当額を超える部分の金額を取り消すのが相当である。

《参照条文等》
 国税通則法第68条第2項

《参考判例・裁決》
 最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)

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相続税の申告に当たり、相続財産の一部について、相続人がその存在を認識しながら申告しなかったとしても、重加算税の賦課要件は満たさないとした事例

平成23年5月11日裁決

《ポイント》
 この事例は、相続税の申告に当たり、相続財産の一部である被相続人名義の株式について、請求人がその存在を認識しながら申告に至らなかった事情について個別に検討したところ、請求人が当初から相続財産を過少に申告することを意図した上、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をしたとまでは認められないとしたものである。

《要旨》
 原処分庁は、請求人が、当初申告において計上していなかった被相続人名義の株式(本件株式)を相続財産であると認識していたにもかかわらず、関与税理士に対しその存在を秘匿し、過少な申告額を記載した本件相続税の申告書を作成させ、これを原処分庁に提出したものであるから、当初から相続財産を過少に申告することを意図した上、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をしたもので、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する隠ぺい又は仮装の行為に当たる旨主張する。
 しかしながら、確かに、請求人は、法定申告期限前に本件株式の存在を相続財産として認識していたと推認できるものの、原処分庁の主張するまる1請求人が関与税理士から証券会社の残高証明書を入手するように指示されたにもかかわらず、それに従わなかったこと、まる2請求人が関与税理士から申告書案記載の財産について個々に説明を受けていたにもかかわらず、本件株式の記載漏れを指摘しなかったこと、まる3本件相続税の調査の際、請求人が虚偽答弁を行ったことについては、それぞれ、まる1請求人が、本件相続税の申告に当たって、関与税理士が本件株式を把握するために必要な資料を既に所持しており、改めて提出する必要がないと考えた可能性を否定しえないこと、まる2請求人は、関与税理士から申告書案記載の財産について個々に説明を受けていたとは認められず、また、申告書案に本件株式が相続財産として当然記載されていると誤認したまま、記載内容を十分に確認せず、その誤りに気付かなかったという可能性を否定しえないこと、まる3請求人が虚偽答弁を行ったと認めるに足りる証拠がないことから、これらのことをもって、請求人が当初から相続財産を過少に申告することを意図した上、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をしたとまでは認められない。

《参照条文等》
 国税通則法第68条

《参考判決・裁決》
 最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)

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相続財産の申告漏れの一部について、請求人がその存在を認識していたとまでは認められず、重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例

平成23年9月27日裁決

《要旨》
 請求人は、相続財産である現金、貯金及び出資金の申告漏れについて、現金については相続税申告時に手元になく失念したためであり、また、貯金及び出資金については、その存在を知らなかったためであるから、隠ぺい又は仮装の行為はなかった旨主張する。
 しかしながら、重加算税は、その制度の趣旨にかんがみれば、架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為が存在したことまで必要と解するのは相当でなく、納税者が当初から財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたような場合には、重加算税の賦課要件が満たされるものと解すべきであるところ、請求人は、現金については、その保管状況等からみてその存在を認識していたものと認められるにもかかわらず、申告書作成の際に関与税理士に対してその存在を秘匿する虚偽の説明をしていること、また、貯金については、請求人の取引への関与の状況からしてその存在を認識していたものと認められるにもかかわらず、申告書作成の際に関与税理士から金融機関の残高証明書の入手依頼があったのに入手手続を行わず関与税理士にその存在を知らせなかったことからすれば、これらの財産の申告漏れについては、当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をした上でその意図に基づく過少申告をしたものと認められるから、重加算税の賦課要件を満たしているといえる。一方、出資金の申告漏れについては、申告前に請求人がその存在を認識していたとまでは認められないから、重加算税の賦課要件を満たしているとはいえない。

《参照条文等》
 国税通則法第68条第1項

《参考判決・裁決》
 最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)

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請求人が、当初から所得を申告しないことを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められないとした事例

平成24年2月14日裁決

《要旨》
 原処分庁は、請求人が平成19年分の所得税について無申告であったことにつき、eワラント取引に係る申告義務及び申告方法について熟知していたにもかかわらず、まる1請求人の夫において申告していない夫自身のeワラント取引による利益を原資として請求人個人のeワラント取引を開始し、まる2eワラント取引について、損失が生じた場合にのみ所得税の申告をし、利益が生じた場合には申告をしていないこと及びまる3eワラント取引に係る取引残高報告書等を保存せず散逸するに任せていたことは、当初から所得を申告しないことを意図し、その意図を外部からうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき法定申告期限までに申告書を提出しなかったものと認められるから、国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する隠ぺい又は仮装の行為に当たる旨主張する。
 しかしながら、上記まる1については、請求人のeワラント取引に関する認識を直接に示す事情ではなく、上記まる2については、請求人は、平成20年分の所得税については、eワラント取引から生じた利益を法定申告期限までに申告しているのであるから、請求人がeワラント取引によって損失が生じた場合にのみ申告をしていたとはいえず、また、上記まる3については、証券会社に有価証券取引用の口座を開設し、インターネットを経由して当該証券会社を通じて当該取引をした場合には、当該取引のデータは、一定期間、インターネットを経由して当該証券会社から入手することができるのであるから、請求人が、eワラント取引に係る証拠書類を保存せず散逸するに任せていたと評価するのは相当でない。したがって、原処分庁が主張する請求人の行為は、いずれも上記にいう特段の行動と評価することはできない 。

《参考判決・裁決》
 最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)

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積極的な隠ぺい、仮装行為も租税負担を免れる意図を外部からもうかがい得る特段の行動も認められないため、重加算税の賦課要件を満たさないとした事例

平成24年2月22日裁決

《要旨》
 原処分庁は、請求人が、申告していないのに市役所の職員に青色申告していると話した事実、徴収職員から申告していないことを指摘されたにも関わらず申告していない事実などから、請求人は、所得税の確定申告をすべきこと及び所得金額を十分に認識していた上、消費税等についても、確定申告をすべきことを十分に認識していたにも関わらず、申告をしなかったものであり、重加算税の賦課要件を満たしている旨主張する。
 確かに、請求人は、確定申告の必要性を認識しており、調査年分の確定申告をしなかった理由の一つとして租税の負担を免れるという点があったことは認められるものの、原処分庁が指摘する事実などは、それらのいずれによっても、積極的な隠ぺい、仮装行為が存在し、これに合わせて納税申告書を提出しなかったものとはいえず、租税負担を免れる意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったともいえない。また、請求人は、本件調査において、保存されていた全ての書類を提示し、終始協力的であったこと、調査年分の事業所得の金額を算定する上で必要となる書類等のうち作成保存していないものについて、請求人が意図的にこれらを破棄したことなどをうかがわせる事実も認められないことからしても、所得税及び消費税等について、請求人が納税申告書を提出しなかったこととは別に、積極的な隠ぺい、仮装行為が存在し、これに合わせて納税申告書を提出しなかったものとは認められず、租税負担を免れる意図を外部からもうかがい得る特段の行動があるとも認められないので、重加算税の賦課要件が満たされているとはいえない 。

《参考判決・裁決》
 最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)

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原処分庁が事実の隠ぺい又は仮装の行為によって過大に計上したとする貸倒損失額は、更正処分をした事業年度において所得金額に加算することはできないから、当該事業年度には当該貸倒損失額に係る重加算税の計算の基礎となる税額が生じないとした事例

平成24年3月28日裁決

《要旨》
 原処分庁は、M社に対する貸付金が架空であることを認識していながら当該貸付金の全額を貸倒損失とした請求人の行為は、事実の隠ぺい又は仮装に当たる旨主張する。
 しかしながら、請求人のM社に対する債権債務の推移からすれば、原処分庁が更正処分をした事業年度の前事業年度では、損金の額に算入されない貸倒損失の計上が認められるものの、当該更正処分をした事業年度においては、原処分庁が過大に計上したとする貸倒損失額について所得金額に加算できないのであるから、当該貸倒損失額に係る重加算税については、その計算の基礎となる納付すべき法人税額は生じない 。

《参照条文等》
 国税通則法第68条第1項

《参考判決・裁決》
 最高裁昭和58年10月27日第一小法廷判決(民集37巻8号1196頁)

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法人税法施行令(平成22年政令第51号による改正前のもの)第72条の5に規定する使用人に対する賞与の支給額の通知につき、国税通則法第68条第1項に規定する仮装は認められないとした事例

平成24年4月20日裁決

《要旨》
 原処分庁は、請求人が本件事業年度の損金の額に算入した使用人に対する未払賞与の額に関し、法人税法施行令(平成22年政令第51号による改正前のもの)第72条の5《使用人賞与の損金算入時期》第2号の「各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して」なすべき通知を、翌事業年度の決算賞与支給明細書の交付により行ったにも関わらず、取締役会議事録及び人事総務部長から部下職員に対する電子メールの案内文に、これと異なる記載をするなどして、上記の通知を本件事業年度終了の日までにしたかのように事実を仮装したと認められるから、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する事実の仮装に当たる旨主張する。
 しかしながら、上記の取締役会議事録及び案内文に記載された日付は、人事総務部長が従前からの事務処理手順を踏襲して年内最後の営業日としたことがうかがえる上、その記載内容は、従業員に決算賞与の支給を案内するにとどまり、各人別の通知の日を記載したものではないことなどからすれば、請求人が上記の通知の日を仮装したとは認められない。

《参照条文等》
 国税通則法第68条第1項
 法人税法施行令(平成22年政令第51号による改正前のもの)第72条の5

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出張日の記載のない請求書に基づいて計上した旅行費用について、事実の仮装は認められないとした事例

平成25年7月12日裁決

《ポイント》
 本事例は、請求人が、出張日の記載がなく、旅行業者が通常使用する書式と相違する請求書(本件各旅費請求書)に基づき、翌事業年度に行われる旅行費用を繰上計上していたところ、当該費用は支払われ、当該出張は実施されており、また、旅行業者の側に別の書式を使用せざるを得ない合理的な理由があり、本件各旅費請求書に単に出張日の記載がないのみであって、事実と異なる出張日を記載した、あるいは、出張日を隠ぺいした事実はないから、本件各旅費請求書は、虚偽の証ひょう書類とはいえないとして、重加算税の一部を取り消したものである。

《要旨》
 原処分庁は、請求人が旅行費用(本件各旅行費用)を前倒し計上したことについて、旅行業者が通常使用する書式と相違する請求書(本件各旅費請求書)を使用したこと及び本件各旅費請求書に出張日を表記させなかったことなどから、本件各旅費請求書が、請求人代表者と相手先との通謀によって作成された虚偽の証ひょう書類に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件各旅費請求書の発行経緯に不自然な点は認められず、本件旅行費用は旅行業者に支払われ、旅行も実施されており、本件各旅行費用の計上に際し請求人が旅行業者と通謀の上本件各旅行請求書を発行させた等の事実を推認する証拠は見受けられず、請求人がそれらの計上に際し、事実を隠ぺいした、又は事実を仮装したと評価すべき行為を行ったことは認められない。

《参照条文等》
 国税通則法第68条

《参考判決・裁決》
 最高裁平成7年4月28日第二小法廷判決(民集49巻4号1193頁)

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課税仕入れに係る支払対価の額に翌課税期間に納品されたパンフレット等の制作費を含めたことについて、隠ぺい仮装の行為はないとした事例

平成25年9月26日裁決

《要旨》
 原処分庁は、請求人の会計処理が、請求書をもって納品があったものとみなして行われていたところ、請求人が、パンフレットの納品前に、取引先に対して請求書の発行を依頼したことは、通謀による虚偽の証ひょう書類の作成に当たり、また、当該課税期間内に納品されないこととなったにもかかわらず、あえて課税仕入れに係る支払対価の額から除かなかったことは、帳簿書類の意図的な集計違算に当たるから、請求人がパンフレットの製作費を当該課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に含めたことについて、隠ぺい又は仮装の行為がある旨主張する。
 しかしながら、請求人は、パンフレットの納品時に納品書を受領しており、当該請求書は前払いを求める書類として作成を依頼したもので納品の事実を示す書類として受領したものとはいえず、また、当該請求書に虚偽の記載もないのであって、通謀による虚偽の証ひょう書類の作成があったとはいえない。また、納品されないこととなったにもかかわらず課税仕入れに係る支払対価の額から除かなかったのは、単に請求人の会計処理を行う部署において納品の事実の確認を怠っていたことによるものであって、これをもって隠ぺい又は仮装と評価すべき行為をしたともいえない。したがって、請求人が当該パンフレットの製作費を当該課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に含めたことについて、隠ぺい又は仮装の行為があったとは認められない。

《参照条文等》
 国税通則法第68条第1項

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不動産取引に当たり売買価額を分散させるために虚偽の売買契約書等を作成し事実を仮装したとの原処分庁の主張を排斥して重加算税の賦課決定処分の一部を取り消した事例(平22.9.1〜平23.8.31の課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分・一部取消し・平成25年11月13日裁決)

平成25年11月13日裁決

《要旨》
 原処分庁は、請求人が購入した土地及び建物(本件不動産)の取引について、不動産売買契約書に記載された本件不動産の売買契約代金は虚偽の表示と認められ、また、本件不動産の取引に係る業務委託契約(本件業務委託契約)は、本件不動産の売主が売買契約代金を別途受領するために締結された実体のないものであり、請求人も実体のない本件業務委託契約書の作成に携わっていたと認められ、請求人は、本件不動産の売買価額を分散させたものであることを了知していたにもかかわらず、その分散させた金額が消費税等の確定申告書に適正に反映しているか否か何ら確認することなく、確定申告をしたのであるから、請求人の行為には、事実の仮装がある旨主張する。
しかしながら、本件業務委託契約の各委託先は、本件不動産の根抵当権を抹消するための債務の弁済額の交渉や本件不動産の見分及び図面等の閲覧の段取り等を行っており、これらの業務内容は本件業務委託契約書に記載された業務の内容に符合するものであって、請求人が当該各委託先に対して支払った金員は、本件業務委託契約に係る役務の提供に対する対価と認められるから、本件不動産の売買価額を分散したとは認められず、ほかに、請求人が本件不動産の購入に関し、何らかの事実を仮装したと認めるに足る客観的な証拠もないから、本件不動産の購入に関する行為について、事実の仮装はなかったと認められる。

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従業員からの預り金及び当該預り金を返還しないこととした事実が帳簿書類に記載されていないことにつき仮装隠ぺいの事実は認められないとした事例(平16.11.1〜平23.10.31の各事業年度の法人税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分・全部取消し・平成26年2月21日裁決)

平成26年2月21日裁決

《ポイント》
 本事例は、請求人が従業員からの預り金を返還しないこととしたことについて、そもそも請求人は収益に計上すべきとの認識を有していなかったと認められるとし、これを故意に帳簿書類に計上しなかったとか、預り金を返還しないこととなった事実を隠ぺいしたなどの証拠は認められず、当該収益(雑収入)の計上漏れは単なる過少申告に該当するとしたものである。

《要旨》
 原処分庁は、請求人が、従業員からの預り金(その1)及び預り金(その2)を当該従業員に対し返金しないこととしたという雑収入発生の事実を帳簿書類に記載せず、また、雑収入発生の事実を裏付ける資料(本件資料)を関与税理士に提示せずに請求人代表者の机の引出し内に管理していた行為は、国税通則法第68条《重加算税》が規定する「隠ぺい又は仮装」の行為に該当する旨主張する。
 しかしながら、当審判所の調査の結果によれば、預り金(その1)に関しては、請求人に雑収入発生の事実を認めることができない以上、請求人に「隠ぺい又は仮装」の行為を認めることはできず、また、預り金(その2)に関しては、請求人に雑収入発生の事実を認めることができるところ、当該事実を帳簿書類に記載していないものの、本件資料が請求人代表者の机の引出し内に管理されていた事実のみをもって、請求人が雑収入発生の事実を「隠ぺい」したとは認めることはできないし、その他請求人が雑収入計上漏れの事実を故意に帳簿書類に記録せずに「隠ぺい」したと見受けられる証拠はなく、そもそも、請求人は収益が実現したとの認識を有していなかったと認められるから、請求人に「隠ぺい又は仮装」の行為を認めることはできない。

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請求人が、法定申告期限までに相続税の申告書を提出しなかったことについて、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例(平成23年4月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分・一部取消し・平成26年4月17日裁決)

平成26年4月17日裁決

《ポイント》
 本事例は、請求人は相続財産を過少に記載したお尋ね書の回答を提出しているものの、そのことのみをもって、「相続財産について申告をしない意図を外部からもうかがい得る特段の行動」と評価することはできないとして、重加算税の賦課要件を満たさないとしたものである。

《要旨》
 原処分庁は、請求人が、基礎控除額を超える相続財産の存在を認識しながら、「相続についてのお尋ね」(お尋ね書)に一部の財産のみを記載し、遺産総額が基礎控除額以下であるから、申告は不要と思っているとして、お尋ね書を原処分庁に対して提出したことは、「隠ぺい、仮装と評価すべき行為」又は「相続財産を申告しないとの意図を外部からもうかがい得る特段の行動」と認められる旨主張する。
 しかしながら、お尋ね書の提出は、相続税の申告をすべきことを知りながらこれをしなかったこと(認識ある無申告)と同等の行為と評価することができ、無申告行為そのものとは別に、「隠ぺい、仮装と評価すべき行為」をしたものと認めることはできない。また、お尋ね書は、課税庁が、申告の要否を確認する趣旨で、納税者に対して提出を求める書面であるところ、お尋ね書には金額の記載のないものを含めれば、基礎控除額を超える相続財産の記載があり、原処分庁として、請求人が申告義務を有することを十分に予想することができたものといえるから、お尋ね書を提出したことをもって、「相続財産を申告しないとの意図を外部からもうかがい得る特段の行動」と評価することはできない。

《参照条文等》
 国税通則法第68条第2項

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輸入貨物に係る消費税及び地方消費税の申告につき、意図的に過少申告することを認識した上で、正規の価格を示す書類を隠匿したものとは認められないと認定した事例(輸入申告に係る消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分・全部取消し・平成26年10月9日裁決)

平成26年10月9日裁決

《ポイント》
 本事例は、貨物の輸出者から送付されたインボイスに記載された貨物の価格が本来の価格に比し著しく低い金額であったため、輸入貨物に係る消費税等の申告が過少申告になったのであるが、かかる過少申告に事実の隠ぺいは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消したものである。

《要旨》
 原処分庁は、請求人が、機械部品(本件貨物)の輸入に際し、本件貨物の課税価格が輸出者から受領した各書類(本件各書類)に記載された金額であることを認識し、また、本件貨物に係るインボイス(本件インボイス)に記載された金額が現実に支払う金額より著しく過少であり、本件インボイスが課税価格の決定のための資料として不十分であることを認識していたにもかかわらず、本件貨物の輸入申告手続を依頼した通関業者(本件通関業者)に対して本件インボイスのみを送付し、あえて本件各書類を送付しなかったことは書類の隠匿に該当し、さらに、請求人にはこのことが事実を隠ぺいする行為であるとの認識があったのであるから、事実の隠ぺいがあったと認められる旨主張する。
 しかしながら、請求人が本件インボイスを本件貨物の輸入申告手続に必要な書類と判断し、本件インボイスのみを本件通関業者に送付したとしても不自然な行動であったとは認められず、また、請求人が本件通関業者が作成する本件貨物の輸入に係る申告書の記載内容を意識した上で本件インボイスのみを送付したとまでは認められない。さらに、請求人が、本件の調査担当者に対し、本件インボイスのみならず、本件貨物の課税価格が記載された本件各書類も提示していたことを併せ考慮すると、請求人が本件通関業者に対し本件各書類を送付せず、本件インボイスのみを送付したことをもって、事実の隠ぺいがあったとは認められない。

《参照条文等》
 国税通則法第68条

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仕入先との間の契約の解除に伴う解約料として支払った金員の額を損金の額に算入したことについて、隠ぺい又は仮装の行為があったとは認められないとした事例(平20.12.1〜平21.11.30までの事業年度の法人税の重加算税の賦課決定処分・一部取消し・平成27年6月9日裁決)

平成27年6月9日裁決

《要旨》
 原処分庁は、請求人が、仕入先からの棚卸資産の購入に係る取引に関し、当該仕入先との間の契約の解除に伴う解約料として支払った金員の額(本件解約料)を損金の額に算入したことについて、請求人と当該仕入先との間に解約の合意はなく、契約が存続したまま当該棚卸資産の購入が継続されているにもかかわらず、請求人は、当該仕入先と通謀して虚偽の解約契約書及び関係書類を作成し、本件解約料を当該棚卸資産の取得価額に含めず期末棚卸高を算定したことに隠ぺい又は仮装の行為が認められる旨主張する。
 しかしながら、請求人と当該仕入先との間では解約の合意は成立し、当該解約の合意に基づき当該金員が支払われたものと認められ、解約契約書は当該合意に基づき作成されたものと認められること、また、解約合意後に請求人と当該仕入先との間で行われた当該棚卸資産に係る取引に係る契約条件が当該解約の合意の時点では合意されておらず、その後に締結された新たな契約に基づき行われていることからすると、請求人が、本件解約料を当該製品の取得価額に含めず期末棚卸高を算定したことについて隠ぺい又は仮装の行為があったとは認められない。

《参照条文等》
 国税通則法第68条第1項

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収支内訳書に虚偽記載をしただけでは、隠ぺい仮装があったとは認められないと判断した事例(1平成20年分〜平成23年分の所得税の重加算税の各賦課決定処分、2平21.1.1〜平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の重加算税の各賦課決定処分、3平成22年分の所得税の過少申告加算税の賦課決定処分、4平21.1.1〜平23.12.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の無申告加算税の各賦課決定処分・12一部取消し、34棄却・平成27年7月1日裁決)

平成27年7月1日裁決

《要旨》
 原処分庁は、請求人が、過少申告の意図に基づき、1得意先に対する売上金額を記載したメモの一部を破棄したこと、2平成18年分の所得税額を試算した際のメモと同様の原処分に係る各年分のメモを破棄したこと、3正確な収入金額等を容易に確認できたにもかかわらず、収支内訳書に根拠のない額を記載したことという一連の行為は、当初から所得等を過少に申告する意図であったことを外部からもうかがい得る特段の行動に当たり、重加算税の賦課要件を充足する旨主張する。
 しかしながら、請求人に過少申告の意図があったことは認められるものの、上記1のメモについては、売上金は全て振り込まれ、しかもその入金のあった預金口座の通帳は保存されていたこと等からすると、請求人は当該メモ書を保存する必要がなくなったから廃棄した可能性が十分に考えられること、上記2のメモについては、そのようなメモを作成していた事実が認められないこと、上記3については、収支内訳書に根拠のない額を記載する行為は過少申告行為そのものであることから、原処分庁が主張する請求人の行為は、当初から所得等を過少に申告する意図であったことを外部からもうかがい得る特段の行動には当たらず、重加算税の賦課要件を充足しない。

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